英国の芸術大学 ロイヤルカレッジ オブ アート は、今後はテクノロジーのカリキュラムを拡大するそうです。
RCAにはいまも充実したエンジニアリングのカリキュラムがあるそうですが、さらに深く総合的な教育体系を構築する方針のようです。そこに英国政府が7100万ドルの資金を提供することになりました。
複雑になったこの世界で、こらからのデザイナーが取り組むべき課題のためには、テクノロジーやサイエンスの訓練を受けなければならないそうです。MITなどの工科大学がデザインのカリキュラムを取り入れるのではなく、伝統的な美術・芸術のRCAがテクノロジーのカリキュラムに取り入れるということが大きな変化だというわけです。
具体的には、都市計画とかデジタルストーリーテリングなどのカリキュラムが計画されてるようです。
そういうカリキュラムの美術大学ならぜひ勉強し直したい。
日本の美術大学もそういうカリキュラムになってるのかな?
元記事はこちら
The design school of the future is nothing like the one you went to >>
深く広い洞察で、創造的で、説得力があります。
表層的なデザインの流行予想ではなく、社会の変化のなかで必要になるデザイン思想を予見してくれています。
■個人の精神衛生のためのデザイン
■永続性とエコシステムのためのデザイン
■信頼と透明性のためのデザイン
■移動と輸送のためのデザイン
■セグメンテーションからマインドセットへ
■デジタルと現実をつなぐデザイン
■合成された現実のためのデザイン
などをテーマにして、これらのテーマについて「何が起きているのか」「次はどうなるのか」「なにをするべきか」で紹介してくれています。
ビジネス本などでも取り上げられるテーマですが、結論が批判ではなく、もっと良い世の中にするための創造的な解決方法を考察してます。
いくつか気になったところ。
2019年の成功は、個人だけでなく世界にも関連する価値の提供にあります。 価値創造は、単純に大きくなるのではなく、より良くなることによって生まれます。
精神衛生のために自分自身とデジタル技術の間に壁を置くように、企業は騒がしい世界で静けさを渇望するユーザーに価値を提供する方法を学ばなければなりません。
かつては斬新さ、興奮、瞬間的な満足感を称えていましたが、今の私たちは注目されるために叫ぶような企業を拒否します。
人間の価値を革新の中心に戻す新しいデザイン精神を採用しなければなりません。
デザイナーは、人々が必要としないものを作ったり、イノベーションの最前線に人間の価値を戻したりすることによって、より倫理的なアプローチをとる責任があります。
個人の状況に対する配慮と尊重は、組織の未来が依存する長期的、付加価値的、有意義な関係構築の柱になるでしょう。
組織が自社の製品やサービスに必要なデータだけを活用するように努力するにつれて、「データ最大化」から「データ最小化」への移行が予想されます。最小限の実行可能データが製品設計の新しいトレンドになります。
今、私たちはライフスタイルや考え方をより重視する「ポスト・デモグラ消費」の世界にいます。
そしてブランドはブランドの魅力を維持するためにブランド自体を再発明する必要に迫られています。
デジタルと現実の体験をシームレスに相互接続する方法を見つけなければなりません。
合成現実の世界では、真正性(消費者が高く評価するもの)がこれまで以上に重要になるでしょう。
本物になる方法を理解して、ブランドの信憑性を効果的に伝える必要があります。
合成現実が真実を曲げていると非難してはいけません。
すぐに人々は日常生活の中で合成の現実を受け入れるでしょう。
Fjord(フィヨルド)はアクセンチュア・インタラクティブのデジタルデザインの子会社。
いずれ『Fjord Trends 2019』の日本語版が出ると思われます。
おもしろかったです。
インスタグラムにアップされている画像を写真論/メディア論として分析・考察してます。
知識と主観から始めるのではなく、膨大なデータからの定量的な分析からの論考。
インスタグラムユーザーの心理、ルック(意匠)、スタイル、美学、一貫性 などなど、わかりやすくて共感できる印象でした。
2012年にはFacebookに破格の高値で買収されたインスタグラムですが、つい最近、インスタグラム創業者の二人がそろってfacebookを辞職すると発表しました。いま起きていることはもう次のステージに向かいつつあるかも。
とくに広告のビジュアルデザインをしている人には参考になりそう。
SNS時代のコマーショルなビジュアル表現は旧来のメディア上にあるビジュアル表現と何が同じで何が違ってるのか、というのを考えるヒントになる気がしました。
詩的な内容の色彩研究のようですが、色彩の前進/後退など現在の美術教育の色彩理論の先駆けとなった研究と言えそうです。
よく似ているように見えますが、ヨゼフ・アルバースよりも時代的には前になります。
当時は女性の社会的立場が弱い時代だったため重要視されなかったのか、あるいは、時代に先行しすぎたのか・・・。長い間忘れ去られていたそうです。
再出版に向けてKICKSTARTERで出資を募って、すでに充分な資金が集まったようです。
Color Problems – A Book by Emily Noyes Vanderpoel | KICKSTARTER >>
毎年新しいビジョンを見せてくれますが、今年は組織や文化のテーマが強調されてる感じ。
◆コンピューテーショナル・デザイナー の役割
◆企業内カルチャーにおけるデザイナーの立場と権限の獲得
◆会話型のUIデザイン
◆AIがもたらす不平等に対抗するためのインクルーシブ・デザイン
といったトピックスが興味深いです。
コンピューテーショナル・デザインとは・・・
UXデザインとかでAmazonやFacebookがやってることのような感じでしたが、少し違うかも。
イスやテーブルのように一人のユーザーのための成果物を作るのではなく、夥しい数のユーザーの体験をデザインすることのようで、データサイエンスとデザインが緊密に連携していくようなイメージ。(英語なので誤解もあるかも・・・)
プレゼンテーションのなかで『将来のための最も貴重な10のデザインスキル』として、下記が紹介されています。
1. 技術革新と社会変化に対する適応性
2. 共感
3. コミュニケーションスキル
4. 良い質問をする
5. クロスファンクショナルスキル
6. ストーリーテリング
7. 異文化スキル
8. 観測と聞き取り
9. 心理学と人間の行動
10. 複雑さの管理
これらはデザインスキルというよも、組織のなかで働くデザイナーに望まれる特性といった感じもします。
統計、数学、プログラミング、データビジュアライゼーション などのスキルがあると楽しくなりそう。
個人的には、いろいろと考えてみたことがそれほど間違ってなかったと思わせてくれる内容でした。
そう思わせるようにデザインされているプレゼンテーションかもしれませんが、少し希望が持てました。
動画のなかで出てくる「Crit」は「Critical(批評)」の意味のようです。この人によく似合います。
リアルなデザイナーには「Crit(批評)」と「Evidence(証明)」が必要だと話してるようです。
話している Natasha Jen さんはPentagramNYオフィスのパートナーで、輝かしい受賞歴を持つ著名グラフィックデザイナーです。
たしかにデザイン・シンキングのプロセスでは正しい批評・評論のプロセスが抜け落ちることで、デザインの過程と意思決定が低レベルのお絵描きワークショップになってしまう危険があると感じます。
もしそうなっても、デザイン・シンキングに満足を感じる「non-designer」が来てくれたら講師やスクールが儲かるので問題ないことになってるのも問題だと話しているようです。
そのためのマーケティングがしやすように「デザイン・シンキング」がバズワードなってるとも話してるようです。
むかしヒューマンセンタード・デザインとかでも似たような話を聞いたことあります。
日本のデザイン教育全般でみても、似たような問題がある気がします。
「微妙な審美的問題に今後も囚われ続けていると、デザインは忘れ去られるだろう・・・。」
テクノロジー、ブランディング、UXデザイン、建築、都市計画、プロダクトデザインなどの分野の未来のビジョンだそうです。 勉強になります。
1. デザイナーは変化の起点になる。
バックミンスター・フラーの言葉を借りれば、デザイナーの職業は「ユートピアと忘却」の間にあると言えるそうで、マイナーな審美的問題に引き続き取り組んでいたら「忘却」になる。デザイナーが今日のメジャーな社会的問題に取り組めば「ユートピア」になる。
20世紀建築の自負に満ちたビジョンから、21世紀のデジタル主導型の協調的で包括的なプロセスへ変化してるそうです。
そこで、デザイナーは生物学の「突然変異誘発物質」と呼ばれるような役割で、分野間の相互作用を誘発させるべきだそうです。
2. システム思考がデザインの基礎になる。
センサー、ソフトウェア、などの多くの技術が導入された複雑なシステムで何が起こっているか、何が影響を及ぼしているか、人々が何をしているのか・・・これらを洞察して学習してデザインがより良くなっていくそうです。
そういう社会でデザイナーは、積極的に方法論を変えながら、領域外へ出て行く姿勢が望まれるようです。(英語が理解しきれずに意味が違ってるかもですが、やや納得できる感じです。)
3. デザイナーは資本主義のサイクルを中断する。
デザイナーが経済システムの一部として利益を上げる役割を果たすだけでなく、そのデザインされた製品を使うユーザーの「必要性」や「有用性」を自覚すべき、だそうです。
たしかに、そこから別のサイクルがはじまるかもです。
4. デザイナーは活動家になる。
今日の社会的問題であるところの、気候変動、社会不安、経済的不公正、がデザインにどのように影響を与えているかについて考えるべきだそうです。
そうして、意思決定の段階から(倫理観を持って)課題の発見、解決、コラボレーションに関わるデザイナーが役割を担うようになるべきだそうです。
5. 政治がデザインの新分野になる。
社会的な問題解決に、デザイナーの知識や問題解決能力が有効であることを政治家に理解してもらおう・・・ということのようです。
6. 倫理観を失わない。
不平等を永続化して利益を上げるようなシステムや、ユーザーを中毒にして判断基準を失わせるようなUXをデザインしない。
正直で善良なアプローチを取るべきだそうです。
まったく、その通りだと思います。
7. ブランディングはもっと純粋なものになる。
メディアとテクノロジーの融合によって、ブランディングは複雑に高度化して統合管理されて、人々の生活に浸透していきます。
でも、ユーザーから望まれるのは、単純で正直な、昔ながらのブランド・コミュニケーションになるだろう・・・とのことです。
8. デザイナーは謙遜しない。
デザイナーの名声ではなくそのアイデアによって影響力を持ち得るような、民主的な組織体制が望まれるそうです。
とくに、企業内の階層構造によってデザイナーは声を失うことが多いです。
企業内でデザイナーが自らの視点を提示するためにも、コミュニケーションスキルが必要で、デザイナーには自分たちの仕事を擁護する押しの強さと謙虚さのバランスが必要だそうです。
9. デザイナーは機械と一体化する。
クラウドコンピューティング、IoT、とくにAIがの普及は、あらゆる創造に関わる人を熱狂させるでしょう。でもまだデザインの分野はこの普及が遅れている。
その原因はデザインプロセスの変化を受け入れられないからだそうです。
ときに残酷でもあるデザインの変革に、前向きになる必要があるようです。
元記事はこちら
9 Ideas Shaping The Future Of Design, According To Ideo, Microsoft, Autodesk, MIT, And More >>
今年のSXSWインタラクティブ のカンファレンスでの ジョン マエダ 氏のスピーチでそういう話があったそうです。
デザイナーが雑誌にコラムを書いて出版するとか、自身の作品の解説を感動的に書ける、とかいうことではないようです。文章を書く基本的な技術がUXデザインに通じるものがある…という話のようです。
ストーリーテラーということでしょうか。
ずっと昔、個人的な興味で読んだ脚本の本で、観客と映画の関係性のなかで観客にどのよう視点でどのように認知させるか、そこにドラマやサスペンスはどのように成立するのか…など興味深いことが書かれていたのを思い出しました。
ほとんど忘れてしまったので、もう一度勉強してみよう。
デジタル革命の技術的側面の必要性から生まれたインタラクション・デザインは、今日においてはデザインとしての命題を持ち得ず、デジタルサービスの収益性にだけフォーカスしていて、利用者を「スマート」にすることもなく、創造的な開発の場ではなくなったそうです。
厳しい指摘です。
では、そのあとに来るものは何か?
生物学的システムに基づいた「ナチュラル・デザイン」だそうです。
「ナチュラル・デザイン」には3つの原則があるそです。
1. 「ナチュラル・デザイン」は生活との関係性を示し、それを形にする。
モノと人、情報と人、人と人、社会と人 などの関係性を形づくる命題をもつようです。
2. 「ナチュラル・デザイン」のデザイナーは問題を解決するだけでなく、問題を発見する。
問題解決では、足りないようです。
問題の解決策ではなく、現状を解釈する能力が必要なようです。
それには、リサーチだけでなく、直感と創造性が求められます。
(これはこれから重要になっていきそうな気がします。)
3. 工芸にもとづく創造性の習得と創造の喜び。
デザインは工芸をルーツとして捉えているようです。
デザインの本質は暗黙知であり、言葉で伝えることはできません。
それは修練をもって身につけるものです。
むずかしくてわからない部分もあります。
やや前時代的ですが、ユートピア思想っぽくて魅力的です。
これからのデザインについて考えるときに、ひとつの指標になりそうなビジョンかも。
ユーザーエクスペリエンスを良くするタイポグラフィの配慮について。
英文についての記事ですが、和文でもヒントになるかも。
タイポグラフィがユーザーエクスペリエンスに寄与することは容易に理解できますが、教条的になりすぎるのは良くないかも。
1. 可読性を優先する。
そのために装飾を廃したシンプルな書体を選ぶこと。
コンテンツに集中したいユーザーがタイポグラフィについて考えなくてよいようにすべきだそうです。
2. 行間を広くする
とくにスマホで有効。行間はWebでは文字サイズの125%、モバイルデバイスでは150%が目安。
そこから感覚で緩めたり固めたりすると良いようです。
3. カウンタースペースの広い書体
文字が密集したコンテンツでは、カウンタースペースの広い書体の方が読みやすいとされているそうです。
4. 文字サイズは大きめに。
デザイナーによって様々ですが、1行あたりの文字数は45〜60文字が適切なようです。
モバイルデバイスではこの半分程度になるそうです。
5. x-hight の高い書体。
英文小文字のx-hightが高いほうが読みやすい書体だそうです。
x-hightが大文字の高さの2/3〜3/4の書体が良いようです。
6. カーニング
良いカーニングは、良いタイポグラフィ!。
ちゃんとカーニングを設定してるかどうかで大きな差になるそうです。
(和文では難しそう。)
7. 比率で考える。
行間、小見出し、見出し、大見出し、などの視覚的な調和のために一貫性のある比率を考えます。
8. ストローク幅は均一なほうがいい。
書体のストローク幅は均一な方が背景とのコントラストが一定になり読みやすいようです。
あまりストロークが細いと、コントラストが弱く読みにくくなる。
縦横のストローク幅の差が大きい書体も読みにいようです。
9. 書体数は限定する。
書体は2ファミリーまで!。
多くの書体を使うことは読むことを難しくして、ユーザーに迷惑です。
さらにその書体の使い方を決めておくこと!。
色、サイズ、デザイン上の位置づけ を定義して、ページ間やデバイス間で一貫性を持たせます。
10. コントラストを強める。
背景と文字のコントラストが弱いほうが最近の流行のようですが、読みやすさの点では親切ではありません。
コントラストは強めにして、ユーザーにすべての文字を読みやすくします。
目を細めて見るようなコンテンツはコントラストが弱過ぎるか文字が小さ過ぎるようです。
© 2024 DESIGNERS UNION | ご自由に投稿できます。 お気軽にご利用ください。