ドイツの自殺予防財団Deutsche Depressionshilfeのポスターキャンペーンだそうです。
普通の日常を写したグラフィックのなかで、シンプルに、私たちの思い込みを指摘させられる演出が見事です。
手掛けたのはハンブルグの Grabarz & Partner
実際のうつ病の人を登場させるようなドキュメンタリーではなく、「あるフィクション」として演出することで、見る人が認識を見直すことを促すことに成功していると思います。
このメッセージに適切な演出のように思います。
80年代のパルコの広告は広告グラフィックの特異点だったと思います。
企業が発信する「難解」や「アヴァンギャルド」なメッセージがブランディングとして成立していた時代です。
ものすごくかっこいいです。
すでに会期終了していますが、今回の展示を見ると、どの時代も一貫してビジュアルは、明るく、楽天的で、力強く、ポップだったこともよくわかります。
ブランディングとして捉え直すと、また違った見え方になるかも。
fiverrはフリーランスのマッチングとサポートを提供する会社です。
fiverrのCMOによると、「私たちは、創造性に火をつけ、生産性を高め、ワークフローを合理化するためにAIができることを受け入れています。この素晴らしいテクノロジーの進化を称えつつ、真のインスピレーションはどこから生まれるのか、それは人間です。・・・このキャンペーンのターゲットは、AIとその仕事や作業への影響について、さまざまなメッセージにさらされてきたフリーランサーや企業です・・・私たちが明確にしたいのは、AIは依然としてツールであり、その成功には人間の才能が不可欠であり続けるということです。」とのことです。
企業として、フリーランスを守ろうという姿勢も感じられます。
AIで仕事を失うという漠然とした危機感を転換する、ポジティブなメッセージです。
OOHの「AI TOOK MY JOB (TO THE NEXT LEVEL)」というキャッチコピーは「WAR IS OVER」のイメージがあっていいです。
個人的にはAIを擬人化する演出は幼稚な気もしますが、いい広告だと思います。
AIがオープンであることは素晴らしいと思ってます。
グリーンピース・フランスによるラグビー・ワールドカップに合わせた化石燃料に反対するキャンペーンムービー。
このキャンペーンは、今年のラグビー・ワールドカップのスポンサーであるトータルエナジーズのような化石燃料企業をターゲットにしている。ビデオのタイトルは『TotalPollution(汚染)』。
グリーンピース・フランスは、「化石燃料の広告の全面禁止」と、違反企業によるスポーツイベントのスポンサーシップの禁止も要求しているそうです。
「24時間ごとにスタジアム6.5個分以上の石油を消費していることになります。」とのことです。
英国や米国と少し違う、フランス的なアピールな感じがします。
制作したのは Studio Birthplace
Studio Birthplace: Creative Studio
Rugby World Cup Stadium Overflows With Oil In Anti-Pollution Campaign >>
ソフィア・コッポラによる昭和の匂いがする映像は東京の新宿で撮影されたそうです。
過去のTVCMの映像のほかに、映画「ロスト・イン・トランスレーション」の映像も使われています。
この豪華なCM出演者の許諾を取り直してるんでしょうか?
かっこいいTVCMにテレビ全盛の時代背景があって、昭和から平成にかけてのサントリーの企業イメージは素晴らしいものでした。
映像には独自のスタイルがあり、明確に想起される企業イメージがあり、ひとつのカルチャーになってました。
各業界にそれぞれサントリーのような企業があって、業界のイメージを先導して、広告美術を牽引していた気がします。
時代が変って、ウェブやYouTubeやSNSなどなど映像を掲出するメディアは増えて、映像制作の過程はデジタル化されて表現手法が増えたのに、なぜ企業の映像は平板になって、企業イメージはテンプレート化してしまったのか・・・という大きな疑問が横たわっている気がします。
Doveが一貫して取り組んでるテーマです。
ソーシャルメディアによって精神的な悪影響を受けた十代の若者の実話を描いているそうです。
ソーシャルメディアは十代の5人に3人のメンタルヘルスに害を及ぼしているそうです。
ソーシャルメディアの有害な美容コンテンツから十代の精神衛生と自尊心を守るために、今回はソーシャルメディアを規制する法律への署名を求めています。
提案された法案では、十代がアルゴリズムによるレコメンドをオプトアウトできるように求めているそうです。
さらに、自傷行為、自殺、摂食障害、などに結びつくコンテンツの責任をプラットフォー側に負わせることを求めています。
こんな映像が撮ってあったこともすごいです。
Dove Pushes To Protect Teens’ Mental Health Online In New Film >>
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購入体験のビジュアルを充実させていくトレンドのようで、ショッピング広告に3Dモデル生成機能付きのARを利用した広告が登場しそう。
「パフォーマンスを最大化させるサービス」ということで、広告効果測定の目標が達成できていない理由をアドバイスするサービスが登場するようです。(もっと広告を出せというアドバイスが得られるかも。)
その他にも、きめ細かいサービスがたくさん登場しそうです。
2023年末にはサードパーティCookieが廃止予定ですが、明確な答えが提示できないようで、できればうやむやにしたい感じもします。
さあどうなるでしょう。
米国では女の子の3人に2人が毎日1時間以上をソーシャルメディアに費やしており、これは友人と直接会っている時間より長いそうです。
彼女たちのフィードは、理想的な身体イメージを提示する美容アドバイスで埋め尽くされ、彼女たちの自尊心を低下させる要因になっているそうです。
Doveの新しいキャンペーンでは、若い女性がいかに簡単に危険なメッセージをオンラインで受け取っているかを訴えるために、ディープフェイクを利用した演出をしています。
ソーシャルメディアが特に若い女性の自尊心に与える影響について認識を高める取り組みだそうです。
この広告は、母娘がソーシャルメディアの影響について話し合う様子から始まりますが、予想外の方向に進みます。一連の美容インフルエンサーの代わりに、10代の若者たちの母親がディープフェイクで登場し、SNS上で目にする有害なアドバイスをする様子が映し出されます。
Doveのこのシリーズの広告は、人間らしい自己肯定に根差した良いキャンペーンだと思います。
ちょっとヤラセっぽくても、ブランディングとして誠実な印象です。
Dove continues its mission to raise awareness of harmful social media >>
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女性はそのままの自然な美しさが一番だ・・・というDoveの広告 >>
女性の多くは自分の容姿に自身が持てない・・・では、他人が見たらどうなのか『Real Beauty Sketches』>>
「広告は入らない」と明言していたNETFLIXですが、2022年中に加入者を増やすために広告配信を導入するそうです。
これはデジタル時代における広告の勝利と言えるのか・・・という記事です。おもしろいです。
デジタル時代のサクセスストーリーの多くは広告駆動型でした。GoogleとFacebookは、創業者の反対にもかかわらず、広告の巨人になりました。
そして、広告はこの数十年でいままでになほど嫌われ者になったようです。
ウザい広告は、サービスが続くためにユーザーが我慢するべきコストだと受け止められているようです。
広告がメッセージとして成立しているかどうかは、ユーザーにとってどうでもいいことになってるのかも。
すでに多くのユーザーが有料で登録しているNETFLIXですが、ユーザーの属性情報はほとんど集めてこなかったようです。
どのような広告モデルになるのか、ちょっとおもしろそうです。
世界有数の広告代理店であるOgilvy UKはソーシャルメディアの悪弊に対抗する取り組みとして、顔や体を画像修正するインフルエンサーとはブランドキャンペーンにおいて提携しないことを発表しました。
Doveのキャンペーンを手掛ける広告代理店として正しいと思います。
また、英国では「デジタル加工ボディイメージ法」というのが審議されているそうです。
「消費者はマーケティングの「真実の側面」をインフルエンサーに期待するが、彼らのイメージがいかに歪んでいるか、それは今やSNSを頻繁に使う人々にとって「有害」になっている」とのことです。
たしかに、ブランドのキャンペーンを展開するには相応しくない風潮です。
インフルエンサーが画像のコントラストや明るさを調整することはOKだが、モデルの肌や体のレタッチについてはNG。
インフルエンサーのコンプライアンスを確保するために、写真がレタッチされたり歪んだりしたことを検出する「InfluenceO」という技術を利用するそうです。
2023年から実施されるそうです。
Ogilvy Will Refuse To Work With Creators Who Airbrush Faces & Bodies In Photos >>
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