大貫卓也展「ヒロシマ」

弾頭のような形の黒いスノーボールの中に白い鳩というアイデア。
大貫卓也のアートディレクションの批判的な視点は憧れで、懐かしい印象でした。

30年くらい前に学校の特別講義で、表現のアウトプットにおける「ぬるさ」について話していたのを思い出しました。
わざと高解像度ではないかのように見えるビジュアルにすることは、広告というジャンルに相応しく、また、広告に対しての批判も含まれているようでした。当時は衝撃的でした。
今回の展示のモノクロ写真のフィルム粒子の質感も、懐かしいです。

アナログからデジタルの制作環境に変わってから、過剰に高精細でデザインし過ぎる傾向にあるようです。明確なアイデアと「ぬるさ」のあるビジュアルは、シンプルに良いことなのかも。

下記のカレル・マルテンスのインタビューでも、
「色が多すぎる、形が多すぎる、アイデアが多すぎる。デザインの一部分をある種の躊躇や仄めかしとしておくのは難しいけど重要なことです。」
という話があります。

【関連記事】
カレル・マルテンスのインタビュー記事

2021年のブックカバー50選_01

2021年のブックカバー50選_02

1923年からAIGAが毎年発表している「50 Books|50 Covers」だそうです。
今年はタイポグラフィが豊作の年のようです。タイポグラフィしか使われていない本が多くあります。
画像とタイトルの両方を掲載するのが一般的だった10年前の書籍のトレンドとはまったく違っているそうです。

以下は抜粋です。

「今は書体デザインの黄金時代です。有色人種や女性など、より多様な書体デザイナーが活躍しています。グラフィックデザイン以上に、書体デザインは歴史的に白人男性だけのものでしたから。」

「顕著な例として、ブライアント・テリーによる料理本『Black Food』があります。表紙には料理の写真がなく、大胆で楽しい色とりどりのタイポグラフィが使われている珍しい料理本です。「食欲をそそると同時に、ブラックカルチャーを感じさせるものを作るために、活字を使っているのです」

「表紙は、本の中のストーリーや情報の土台となるような雰囲気を醸し出さなければなりません。デザインは感情的な行為です。表紙を作るには、多くの直感が必要なのです」

「『アフロサーフ』は、アフリカ大陸のサーフィン文化をテーマにしており、読者を直接見つめる黒人サーファーの写真と、アフリカの視覚文化を連想させる緑、黄色、赤のグラフィックで囲まれているのが特徴です。これは、喜びをもたらす娯楽についての本書の内容を反映していますが、歴史的に白人のスポーツであったサーフィンを黒人サーファーがどのように再定義しているかを論じることで、制度的抑圧に関する現在の会話にも関わっています。誰が見えるか、誰が含まれるかということです。」

AIGA 50 Books | 50 Covers of 2021 Gallery >>

See the 50 most striking book covers of the year >>

デザイナーが平和を提唱するための具体的な方法を紹介する展覧会『Designing Peace』

ニューヨークのクーパー・ヒューイット美術館で開催されているそうです。
難民が最寄りの食料品店を探すのに役立つアプリ。9ミリ弾丸の薬莢でできた手織りのラグ。韓国非武装地帯のコンセプト観光ガイド。など40の作品やプロジェクトが展示されているそうです。

「アメリカのデザインミュージアムとして、デザインは善の力となり得るという一般市民の理解を促進します」

「平和構築とデザインは、関与、文脈の理解、信頼構築、コミュニケーション、反復を伴うダイナミックなプロセスです。この展覧会は、平和と回復力の構築におけるデザインの役割を探求し、平和が抽象的で遠いものではなく、地域的で具体的で可能なものであることを提案します」

●デザインはどのように安全で健康的、かつ尊重された環境を支えることができるのか?
●デザインはどのように紛争の根本原因に取り組むことができるのでしょうか?
●デザインはどのように創造的な対立に関与することができますか?
●平和と正義を追求する中で、デザインはどのように真実と尊厳を受け入れることができるのか?
●デザインは不安定な状態から平和への移行をどのように支援できるのか?

という5つのテーマで構成されてるそうです。

日本にも巡回してほしいです。

40 tangible ways designers can advocate for peace >>

“Designing Peace” to Open in June at Cooper Hewit >>

2022年7月9日 デザイン

スウェーデンのオーディオビジュアルアーティストで木工作家のLove Hulténさんの作品。

カスタムシンセサイザーは幅広い機能を備えた電子楽器で、リアルタイムで反応するユニークなMIDIビジュアライザーが搭載されているそうです。

素敵なガジェットです。

Extravagant Sound Installations by Love Hultén Use Custom Synthesizers and Visualizers to Create Elaborate Audiovisual Mashups >>

グランドキャニオン国立公園、上1916年、下2016年

Tempestry01

シトカ国立歴史公園、左1916年、右2016年

Tempestry04

Tempestry02

Tempestry03

社会活動として堅苦しく捉えることなく、気候変動をより身近なものに感じてもらうようにしたいそうです。
ゆっくりとした洞察に満ちた制作過程をインタビューで紹介してます。

美しいです。

Interview: A Conversation with The Tempestry Project Delves Into the Importance of Knitting Tangible Records of Climate Data >>

【関連記事】
気候変動に関するデータを可視化したカラフルでグラフィカルなニット『Temperature Textiles』 >>
https://designers-union.com/blog/archives/10712

2022年6月29日 アイデア

the elements of user experience

ジェシー・ジェームス・ギャレットの著作の『The Elements of User Experience – 5段階モデルで考えるUXデザイン』の邦訳版が5月に出版されたそうです。
その前書きが紹介されています。おもしろいです。

この前書きにある「古き良き時代」「経験は要素に還元されない」「ユーザーの経験についてではなく、あくまでデザインする者がデザインする際に考慮すべき事項にすぎない」などの言葉にある矛盾や誤解についての率直さを受け止めた上で、勉強しなおしてみたいです。

「5段階モデル」の再解釈を通し、UXの本質を見つめ直す:まえがき『The Elements of User Experience – 5段階モデルで考えるUXデザイン』 >>

どうやら、ジェシー・ジェームス・ギャレットさんは話がおもしろい人のようです。

【関連記事】
UXデザインの先駆者が語る「UXデザインはどこで間違ったのか?」 >>

2022年6月25日 UX / UI

1972年6月12日に設立されて、ちょうど50周年だそうです。

ペンタグラムは、建築家のテオ・クロスビー、グラフィックデザイナーのアラン・フレッチャー、コリン・フォーブス、マーヴィン・カーランスキー、工業デザイナーのケネス・グランジ の5人のパートナーによってロンドンで設立されました。

このパートナーという制度がよくわからないですが、大きな組織になってもうまく機能しているようです。

それにしても、素晴らしい作品群です。

AKIRA原画展_01

AKIRA原画展_02

AKIRA原画展_03

映画『AKIRA』の背景画の原画59点の背景、レイアウト、コンセプト、イメージボードが展示されてるそうです。
次はロンドンで開催されるかもしれないそうで、いつか日本でもやってほしいです。

1988年にイメージした2019年の東京の原画です。

An Exhibition Unearths Rare Production Drawings from Futuristic Neo Tokyo of the Anime Classic ‘Akira’ >>

購入体験のビジュアルを充実させていくトレンドのようで、ショッピング広告に3Dモデル生成機能付きのARを利用した広告が登場しそう。

「パフォーマンスを最大化させるサービス」ということで、広告効果測定の目標が達成できていない理由をアドバイスするサービスが登場するようです。(もっと広告を出せというアドバイスが得られるかも。)

その他にも、きめ細かいサービスがたくさん登場しそうです。

2023年末にはサードパーティCookieが廃止予定ですが、明確な答えが提示できないようで、できればうやむやにしたい感じもします。

さあどうなるでしょう。

広告事業における Google の「戦略的優先事項」とは?:Google Marketing Liveまとめ >>

写真と絵画ーセザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策_008

写真と絵画ーセザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策_007

写真と絵画ーセザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策_006

写真と絵画ーセザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策_004

写真と絵画ーセザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策_001

ブリジストン美術館がリニューアルしてアーティゾン美術館になって、はじめて行きました。
各フロアごとに違う企画の展示でおもしろかったです。

美術館の収蔵作品と現在の作家の作品を並置してその関連性を紐解きながら・・・という最近よくある企画ですが、ふたりの作家による絵画と写真の解釈が興味深い展示でした。

「見る」「写す」「描く」ことについて気づかされる内容でした。
リヒターの「写真論/絵画論」を思い出しましたが、より制作プロセスに近い話のようでした。

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×柴崎敏雄×鈴木理策 写真と絵画ーセザンヌより | アーティゾン美術館 >>

2022年6月7日 写真