2019年度は日本の広告史に残る1年だったのかも。ネット広告費はマスコミ四媒体合計の広告費に迫る勢いです。
その広告費の大半はGoogle、facebook、LINEなどのプラットフォームのものということでしょうか。
宣伝会議の記事なので「マス四媒体由来のデジタル広告費」という項目がありますが、インターネット広告費全体に占める割合の低さを見ると、統計の項目として取り上げるのが不自然なほどです。
「長年蓄積してきた非デジタル領域でのコンテンツ制作やユーザーへのリーチ(到達率)に関する知見が、デジタル領域においても広く活用されている。」となってますが、そういうコンテンツ制作に充分な費用や時間が充てられているかは疑問です。
HORNBACHのPRムービーです。日本だったらワークマンとかですぐにでもやりそう。
日本でワークマンとこんな企画でコラボできるアーティストは誰か考えてみるとおもしろいです。
HORNBACHは人種差別的な表現の炎上CMをやった会社。(このときのCMは意図的だったと思われます)今回のキャンペーンにも何か意図があるのかも。
こちらでこの作品の作り方をpdfで紹介してます。
Safety Jackets Zipped the Other Way by HORNBACH and Ai Weiwei >>
元記事はこちら
Hornbach Teamed With Ai Weiwei for Contemporary Art You Can Build On Your Own >>
【関連記事】
アイ・ウェイウェイによる監視社会をテーマにした新作インスタレーション『HANSEL & GRETEL (ヘンゼル&グレーテル) 』>>
アマゾン「Before Alexa」
コカ・コーラ エナジー「The Dots」
グーグル「Loretta」
フェイスブック「Ready to Rock?」
30秒の放映で6億円ともいわれるスーパーな広告枠での、ちょっとおもしろかったCMをピックアップ。
今年は社会的なメッセージ性よりも、個人の小さなストーリーを皮肉やユーモアで見せる演出が多い気がします。
元記事はこちら
Here are all the Super Bowl commercials that will run this year >>
カナダのクリエイティブ・エージェンシー WUNDER は10,000ドル分の広告の空き枠を購入して、真っ白い広告を掲載しました。「ホリデーシーズンの間は、みんなが広告から離れられるようにしました。」ということだそうです。
いいプロモーションです。
印刷物、ビルボード、バス、バス停、新聞、SNS、ちょっとだけラジオ・・・徹底してます。
令和最初の年末は騒がしい広告からはなれて穏やかに過ごすのがいいかもです。
ずっと昔に、街の中の広告の空き枠は不景気を象徴していて、空き枠こそが広告の需要を冷え込ませると教わりましたが、もう、そういうことではなさそうです。
くわしくはこちら
Creative agency buys $10k of blank ad space to give everyone a break from ads >>
「パフォーマンスの追求によって、マーケティングは個性を失ったのか?」というテーマの、Wieden+Kennedy の Martin Weigel による記事です。
ビジネス視点立って現在の広告表現の在り方を考え直す、素晴らしい記事のように思えます。
実際、広告は以前よりフラットになっているそうです。
以下は抜粋の意訳です。
広告のスタイルには重大な変化が起きています。
感情的に魅力的な人間の物語の代わりに、ユーザーに行動を促すための教訓的な”プレゼンテーション”が増えています。
具体的には、キャラクター、文脈、アクセント、曖昧さ、言葉遊び、ダブルミーニング、隠喩 が減っています。
自意識が低く、人と人との暗黙のコミュニケーションが少なく、文化的参照が少なく、ストーリーが少なくなってます。
メッセージの字面の通りの内容をプレゼンするだけの広告が増えています。
これらはユーザーの脳に負担をかけないように単純化されてデザインされていて、奥行きとニュアンスに欠けています。
(いわゆる、左脳的な広告が増えて右脳的な広告が減って、広告はユーモアを失っているそうです。)
長期的なブランド構築の中心にある関連性や繋がりを作りたい場合、私たちが関与しなければならない右脳の部分を無視した広告が増えています。
これらの広告は、感情に訴えてユーザーとブランドの関係を仲介することを断念しています。
多くの企業が好んでいるのは、アテンション、想起、提案、利益、メッセージ、説得 を重視するイデオロギーです。
これは、ユーザーを意味形成の積極的な参加者や協力者ではなく、メッセージを届ける対象や受け手として扱います。
企業がユーザーに対して抱くこのような偏見はずっと昔からありますが、キャンペーン結果についての企業の焦りと短期的な思考の台頭によってさらに危険になっています。
言うまでもなく、結果に対するこの焦りと要求は、クリエイティブ制作会社に引き継がれています。
クリエイティブ部門はより短い波長に合わせざるを得ない状況にあり、クリエイティブ時間に対するプレッシャーは容赦ないものです。
クライアント企業は、創造性がもたらす真の力とその利点を活用できていません。
マーケティングの優先事項は、ブランドやビジネスの長期的な健全性ではなく、短期的なものであると主張するとき、私たちはブランド価値の創造ではなくブランド価値の破壊を請け負っています。
まだまだ続きがあります。
元記事はこちら
Has advertising lost its personality? — Martin Weigel >>
https://www.martinweigel.org/blog/has-advertising-lost-its-personality
【関連記事】
広告賞を受賞するようなキャンペーンは効果が低いという統計レポート『創造性の効果の危機』 >>
http://designers-union.com/blog/archives/8908
Old Spice、Dumb Ways to Die、Fearless Girl、Appleの1984やiPodなど世界的に有名な広告キャンペーン。
広告業界のレジェンドたちがエピソードを披露してます。
知らない広告もありましたが、どの広告キャンペーンも力強く誠実な印象です。
見ておいて損はないと思います。
14 Iconic Ad Campaigns, Recalled by the Creatives Who Made Them | Muse by CLIO >>
IPAは英国の広告業界の業界団体やシンクタンクのような(有名な)組織のようです。そのIPAが発表した衝撃的なレポート。広告や販促のキャンペーンにおいては、広告賞を受賞するような優秀なクリエイティブは有効性がなくなっているそうです。
レポートのサマリーは以下ような感じ・・・
このレポートは、過去10年間に広告賞を受賞したキャンペーンの、キャンペーン効果としての有効性の深刻な減少傾向を特定しています。
1. 広告賞を受賞したキャンペーンは、24年間でこれまでよりも効果が低くなり、受賞していないキャンペーンよりも効果が低くなりました。
2. この有効性の崩壊は、短期的な活性化に焦点を当てたクリエイティブへの移行と、これを促進した戦略とメディアの傾向によって説明できます。
3. クリエイティブは、短期間でその潜在能力をほとんど発揮しないことは長年知られていますが、短期的で使い捨てで、最終的には非効率的なクリエイティブの傾向が続いています。
4. これは、クリエイティブのベストプラクティスから学ぶことで簡単に改善できます。
広告賞を受賞したうえで効果の高かったキャンペーンは、効果の低い同業他社と比較して8倍の効果があり、収益性が大幅に向上する可能性がほぼ16倍です。(ちょっとよくわからない比較です・・・)
別の記事ではこのレポートに理解を示して・・・現在のマーケティングの特徴は、長期の効果を犠牲にする短期化、有効性の存続を不可能にする予算削減、効果のない仕事に賞を与える審査員の増加・・・と書いてます。
サマリーを読むとレガシーなメディアと既存のクリエイティブ権威を礼賛しているようにも見えますが、このレポートが投げかけている議論はもっと重大かもしれません。
ここで挙げられている創造性の効果を減じさせている原因は、いま制作プロダクションを疲弊させている事象と一致しているように感じます。
さらに、消費者やユーザーは広告キャンペーンのクリエイティブをウザいと感じていて、キャンペーンの成功は目に見えるようなクリエイティブの効果ではなく、消費者やユーザーの文脈の奪い合いに移行していているような気がします。
『The crisis in creative effectiveness』 >>
『The Tragic Horizon: Resisting Marketing’s Drift Towards The Business Of Value Destruction』>>
ほんとに撮影しているとしたら、撮影はたいへんだったでしょう。
ちょっとおもしろいです。
AIG損保のウェブ動画。
AIG損保はオールブラックスの公式保険パートナーだそうで、東京を舞台に選手を起用した動画プロモーションをいろいろやってるようです。知りませんでした。
元記事はこちら
オールブラックスが全力で日本の交通ルールを教える「How NOT to Drive in Japan」>>
ペットフードでお馴染みのペディグリーは、犬といっしょのセルフィーを取るときに犬の注意をカメラに向けるためのスマホアクセサリー「PEDIGREE Selfie STIX」を2017年にリリースしたそうです。今年は犬のセルフィーのためのフィルター「PEDIGREE DentaStix Studios」をリリースしたそうです。
正面を向いた犬の顔を認識してフィルターが適用されてます。
SNSでのキャンペーンを成功させるには、ここまでやらないといけないのか。
でも、こういうキャンペーンの仕事はちょっと楽しそう。
ニュージーランドでのキャンペーンだそうです。
手掛けたエージェンシーはこちら
ColensoBBDO >>
元記事はこちら
Pedigree Rolls Out Tools to Help You Take Better Pictures of Your Dog >>
本と読者の濃密な時間が感じられる広告です。
所有者から実物の本を借りてきて撮影してるそうです。
素晴らしい広告。
「本は読まれるためにあります。読者の痕跡が残る本が最も美しい本であることを伝えるのがこのキャンペーンです。」
新品の本をうまく加工して「ビジュアルにこだわりを持って作り上げた広告」というのでは成立しません。
こういう広告が登場するようになったら日本の広告業界も変わっていくかも。
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