CAMPARIのキャンペーン。実写とAIを活用してフェリーニっぽいショート・フィルムをつくるようです。
どういうふうにAIを使って、どういう意味でフェリーニなのか興味深いです。
9月7日のベネチア映画祭でプレミア公開。
ちょっとデビッド・リンチっぽい感じもします。
Red Diaries Fellini Forward | Campari >>
フェリーニは多くのTVCMも手掛けていてCAMPARIのTVCMも制作していたようです。
Fellini’s Fantastic TV Commercials for Barilla, Campari & More: The Italian Filmmaker Was Born 100 Years Ago Today >>
早くもコロナ後の世界を描いています。
ワクチンが始まって、もう、コロナ後の生活スタイルに目を向ける時期ということのようです。
しかも、コロナ後に訪れる「混乱した時代」を広告として面白く描いています。
ジョーはパンツにワイシャツ姿でヘッドセットを使って会議をしながら冷蔵庫を開けます。
彼は自宅で仕事をしているのか仕事場に住んでいるのかわからなくなって混乱しています。
エマはマークとデートするよりも、マークのプロフィールを見て過ごすのが好きだということに気がついて混乱しています。
ジェイソンは現実の会話に出くわして、ミュートしたりカメラを切ったり、聞いている間にトイレに行ったりすることができずに混乱しています。
ジュリーはオフィスに出勤しますが、パジャマで働きたいと思って混乱しています。
この「混乱の時代」に対処しているさまざまな人々が登場します。
「今は混乱の時代です。バーガーキングのインポッシブル・ワッパーを食べるにはちょうどいいタイミングです。牛肉を使わずに作られたワッパーは、まるで…ワッパーのような味がします。」
戻ってくる日常を祝福するのか、コロナ禍の喪失を悼むのか、企業のメッセージとしてやや扱いにくいと思いますが、そこはバーガーキングのいままでの広告のイメージだということなのでしょう。
この2つの広告のアプローチの違いがおもしろいです。
オノ・ヨーコによるキャンペーンのビルボードは、あの伝説的な広告のようにシンプルに「I LOVE YOU EARTH」と掲げられました。有名なギャラリーとのコラボで、ロンドン、リバプール、グラスゴー、マンチェスターなど、イギリスの多くの都市に設置されたそうです。
もうひとつは「Mars sucks. -Earth」というメッセージ。
クリエイティブ・エージェンシーのActivistaによるキャンペーンです。
イーロン・マスクが地球の再生よりも火星を重視していることへの失望を表現しているそうです。スポンサーは境保護団体だそうです。
「最悪(sucks)じゃないものは、地球です。でも、私たちが地球の扱い方は率直に言って最悪です。」
’I love you earth’ + ’mars sucks’: two billboards to celebrate earth day 2021 >>
2000年代後半のAppleのCMに登場したMacガイが「ハロー、僕は・・・ジャスティン」と実在の人として登場。
現実的なPCの良さを紹介して、理想主義的なMacをディスってます。
Appleが自社製チップに切り替える発表をしたときのイベント映像のPCガイの対抗でしょうか。
広告の戦略として上手いです。
でも、あのCMはPCガイがいるから成立していたので、Macガイだけでやるなら演出方法がちょっと違うかも。
屋外広告に予算を使う代わりに、コロナ禍で休業中のバルセロナ市内の15軒のバーのシャッターに広告を出したそうです。広告費がお店の収入になるようです。
素晴らしい企画。
「そうは見えないかもしれませんが、このバーは閉店しているわけではなく、元気になりつつあります。」
などのポジティブなメッセージになってるそうです。
手掛けたのは ピュブリシス・イタリア。
元記事はこちら
Heineken Helps Out Closed Bars By Buying Their Shutter Space For Ads
Appleひさしぶりの自社設計のチップは驚異的な省電力とハイパフォーマンスだそうです。
今後のMacに順次導入されるそうで欲しくなります。
発表イベントの映像の最後に、なつかしい PC guy が登場。
たぶん10年以上経ってるのに、ほとんど年取ってない感じです。でも、少し太ったかな。
プーチンと金正恩のディープフェイク動画を使った政治キャンペーンCM。
米国の超党派の支持団体であるrepresentUsによる、アメリカ大統領選挙の投票を保護して民主主義を守ろうというキャンペーンだそうです。トランプ大統領による郵送投票の否定と平和的な大統領交代を拒否する可能性を背景にしています。
「アメリカは私が民主主義に干渉したと非難する。
だが、私にはそんなことをする必要はない。
あなたたちが自身がそうしているからだ。
投票所は閉鎖され、誰が信用できるのかもわからない。
あなたがたは分断されている。
私たちは(選挙結果を)操る事ができるが、その必要がない。
あなたたち自身がやってくれる。」ディープフェイクのプーチン
「民主主義は壊れやすいものです。
あなたが信じているよりも壊れやすい。
もし選挙が失敗すれば、もう民主主義はない。
私が何かする必要はありません。
あなたたち自身がやってくれる。
人々は分断されて、選挙区は操作され、投票所は閉鎖され、数百万人が投票できない。
民主主義を崩壊させるのは簡単だ。
なにもしなければいい。」ディープフェイクの金正恩
民主主義を守る represent Us。
民主主義の生死はあなた次第。
この映像は本物ではありませんが、脅威は・・・
手掛けたのは、Mischief at No Fixed Address というクリエイティブエージェンシー。
アクセントと顔の形が似ている俳優に演技してもらって、オープンソースのアルゴリズムでディープフェイク映像を制作したそうです。わずか10日で完成させてそうです。CGを使っていたら数ヶ月掛かって高額だっただろうとのこと。
FoxやCNNでオンエアされる直前に中止になったそうです。
「この映像は本物ではありませんが、脅威は・・・」という但し書きだけでは説明不足だということになったようです。
個人的には、あまりいい広告手法と思えないし、「敵国」というイメージをディープフェイクで作ってオンエアしようとすること自体がクリエイティブとしての良識にやや欠ける気がしています。
その一方で、放送中止にしてしまうことは、これから起こるかもしれない何かを見えなくしてしまうような気もします。
Mischief at No Fixed Address >>
Deepfake Putin is here to warn Americans about their self-inflicted doom >>
素っ気ないくらいシンプルだけど、そういえばそのくらい変わってないなー・・・と思える広告グラフィック。
デバイスの並べ方が共感のもとになってます。
目盛りが単純な線だけなのがいいです。ここに年代とか書き始めると蛇足なことになりそう。
これは広告なので、証拠じゃなくて共感があれば完成されるということ。
なんか、コロナ禍の広告としての、ひとつの形な気もします。
手掛けたのは、Leo Burnett London
連帯感を感じさせる、感動的で力強いメッセージになってます。
コロナ以降で初めて「これはいい」と思える広告な気がします。
編集は気が遠くなる作業だったかも。
NIKEはこのコロナ禍に「You Can’t Stop Us」シリーズとして広告キャンペーンを実施していて、その第3弾です。
手掛けているのはWieden + Kennedy。
新しい映像、新しいクリエイティブ・・・ではなくて、みんなが知ってる既存のイメージを利用しながら、いまのコンテクストに最適なメッセージにして、大きな共感を得ることに成功しています。
このコロナ禍でそれをやってのけたWieden + KennedyとNIKEは素晴らしいと思います。
Wieden+Kennedy アムステルダムの企画部長のMartin Welgel によるコロナ後の広告業界についての記事です。
コロナ禍はこの社会の脆弱性を明らかにして、もう過去の状態に戻ることはない。
この変化を受け入れたうえで、広告クリエイティブは自分たちは何ができる何者であるかを再定義する必要があると言ってるようです。
広告業界の毎度よくあるモチベーション上げのストーリーのようでもありますが、正しい方向を指している気もします。
以下はおもしろかった箇所の抜粋の翻訳です。(少し間違ってるかも)
実際のところ、私たちができる最も価値のあることは、(良い)クライアント企業がビジネスを継続し、人々に頼りにしている商品やサービスを提供し、法人税を支払い、人々に有意義な雇用を提供するのを支援することです。
デタラメを言う人たちは商業経済の銃で脅されて、ポケットにはインスタグラムのアカウント以外何も残っていない状態で立っている。
ローレンス・フリードマン教授は、「戦略」を 「スタート時のパワーバランスが示唆する以上に、状況から多くを得ること 」と定義しています。
強力なブランドは、顧客の嗜好性を維持し(リピーターになる)、価格弾力性を低下させ(人々はより多くのお金を払いたくなる)、小売業者の嗜好性を生み出し(流通を確保する)、新たなオプションスペースを創出し(将来の価値の新たな源泉を開く)、などにより、将来のキャッシュフローを生み出すのに役立ちます。
創造性は死んでいない。
私たちは何を加速させることができるのかを問うべきなのです。何を照らすことができるのか?何を標準化できるのか?何をスケーリングすることができるのか?
そして逆に、私たちは何を促進し、照らし、正常化し、拡大することをやめるべきなのでしょうか?
希望とは緊急時にドアを壊す斧だからです。希望はあなたをドアの外に押し出すべきだからです。・・・希望は行動を求めます。希望なしに行動は不可能です。… 希望を抱くことは、未来に身を委ねることであり、未来へのコミットメントは、現在を居住可能なものにする・・・
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