Midjourneyで作られたそうです。酷評されているようです。

長年サウジアラビアでのビジネスを縮小してきたVOLVOのカムバックを紹介する広告。
手掛けたのはドバイのクリエイティブ・エージェンシーのLion。
Lionの創設者でクリエイティブ・ディレクターのインタビューが紹介されています。
「サウジアラビアに文化的に共鳴するレンダリングを集めました。・・・ほとんどの広告は戦術的で、ブランドのストーリーテリングにはほとんど焦点が当てられていません。私たちのアプローチは違います。私たちはまず、この地域におけるVOLVOのカムバックに戦略的に沿った物語を作ることから始めました。」

なるほど、企画としては正しい感じがしますが、以下は記事からの抜粋です。

「広告に車を登場させなかったのはVOLVOのミスだと言う人もいるが、現在のところ、物体を確実に再現できる映像ジェネレーターが存在しなかったためだろう。もしこの広告の制作者が実車を作ろうとしていたら、モーフィングするプロポーションとショットごとに変化する特徴を持つ車になっていただろう。」

「現在の制作業務にAIの場所はあるが、広告全体を制作することは、少なくともまだない。・・・新たなテクノロジーを創造的革新の略語として使うブランドは、たいてい後悔することになる。」

「そこで、広告クリエイターへのアドバイスだ: AIのことは数年間忘れておくことだ。」

この広告に実車を登場させなかったVOLVOの判断は正しいと思います。
広告が話題を集めるだけのものであるなら「AIで作ったんだ」というだけで広告の役割は果たせているでしょう。
このようなAIの使い方が現在の広告におけるAIの最も有効な使い方になっているようですが、どうやら、AIがもたらす創造性や革新は、そういう次元ではなさそうです。
一方で広告デザインは、嫌われても人目を引こうとする惨めなものに見えてしまいそうです。

Volvo’s strange new ad is proof that it’s time to hit pause on AI commercials >>

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網点の抽象的なイメージで人類の進歩の歴史の最先端にAIを位置付けるメッセージになっています。
AIの社会への影響やAGIについての言及を意図的に避けているそうです。
プロトタイピングではSoraを利用したそうですが、最終的なアウトプットは人間によって制作されたアニメーションだそうです。

リンク先の記事では、ChatGPTの新しいマーケティング責任者のケイト・ルーシュさんのコメントが紹介されています。

AIを使って心のこもった手紙を書くという内容のCMをオリンピックで出稿したGoogleは反発を受けてCMを撤回しました。

これについてケイト・ルーシュは「真正性(authenticity)が本当に重要だ。」とコメントしたそうです。

Googleも今回のスーパーボウルでGeminiの広告を出稿しています。
これもオリンピックでの広告と同じように、家族をテーマにして心情に訴えかけるメッセージになっています。

スーパーボウルを見ている視聴者(AIに馴染みのない何千万人もの人々を含む)に、AIをどのように受け入れてもらおうとしているのか、
また、ケイト・ルーシュさんの言うAIについての「真正性」がどういう意味なのか、おもしろい示唆のある記事でした。

Inside OpenAI’s $14 million Super Bowl debut >>

パート1があったことも知りませんでしたが良い広告です。おもしろいです。
この広告制作のクライアントは、teamwork.comということになりますが、CMに登場するデイヴがそうであるようにteamwork.comはいいサービスな感じがします。

パート2では、teamwork.comの導入によってクライアントは刑務所のような場所に閉じ込められているかのような始まり方です。
「あなたはクライアントになりました。あなたの返信が遅れ、不可解になり、ベンダーが利益を得られないほど混乱しますように・・・・変更があります・・・変更があります。」というセリフがいいです。
「クライアンティ」という言葉は知りませんでしたが、いい言葉だと思います。

このCMの制作はきっと楽しかったはずです。

手掛けた会社はこちら
Umault

トイザらス・スタジオと広告代理店ネイティブ・フォーリンが共同で制作。
創業者チャールズ・ラザラスの夢から始まるトイザらス・ブランドのストーリーになってます。
コマーシャルな映像制作は、こういう方向になっていくのでしょうか?
光もカメラも編集もなく、テキストから直接、ブランドムービーが出来上がるということでしょうか。

「プレスリリースによると、この映像はコンセプトから実現までわずか数週間で行われ、クリエイティブ制作におけるAIの効率性と可能性を実証した。」

「有名なグローバルブランドによる画期的なリリースは、メインストリームの広告におけるAI技術の使用における大きな飛躍を意味する。」

「オリジナル音楽をフィーチャーしたこの広告に、約12人のクリエイターが取り組んだ。」

「私たちのブランドは、思いがけない方法で消費者とつながるために、イノベーションとトイザらスのエモーショナルな魅力を取り入れています。」

「このリリースはクリエイティブ業界内でさらに議論を深めた。トイザらスが先陣を切ったことを称賛する声もあれば、生気がなく不気味という意見もあった。」

「夢」とか「個人のファンタジー」といったある意味で無責任なテーマにはAI動画のテイストが市民権を得つつあるような気もします。「現実」「取引」「作品」といった要素を伴う表現には、まだ無理そうですね。

フル動画はこちら
Toys”R”Us Studios >>

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DEPRESSION poster

DEPRESSION poster

DEPRESSION poster

ドイツの自殺予防財団Deutsche Depressionshilfeのポスターキャンペーンだそうです。
普通の日常を写したグラフィックのなかで、シンプルに、私たちの思い込みを指摘させられる演出が見事です。

手掛けたのはハンブルグの Grabarz & Partner

実際のうつ病の人を登場させるようなドキュメンタリーではなく、「あるフィクション」として演出することで、見る人が認識を見直すことを促すことに成功していると思います。
このメッセージに適切な演出のように思います。

New campaign challenges assumptions around depression >>

1969 - 2023 PARCO広告展

1969 - 2023 PARCO広告展

1969 - 2023 PARCO広告展

80年代のパルコの広告は広告グラフィックの特異点だったと思います。
企業が発信する「難解」や「アヴァンギャルド」なメッセージがブランディングとして成立していた時代です。
ものすごくかっこいいです。
すでに会期終了していますが、今回の展示を見ると、どの時代も一貫してビジュアルは、明るく、楽天的で、力強く、ポップだったこともよくわかります。

ブランディングとして捉え直すと、また違った見え方になるかも。

「パルコを広告する」 1969 – 2023 PARCO広告展 >>

fiverr社のOOH広告「AI TOOK MY JOB (TO THE NEXT LEVEL)」

fiverr社のOOH広告「AI TOOK MY JOB (TO THE NEXT LEVEL)」

fiverrはフリーランスのマッチングとサポートを提供する会社です。
fiverrのCMOによると、「私たちは、創造性に火をつけ、生産性を高め、ワークフローを合理化するためにAIができることを受け入れています。この素晴らしいテクノロジーの進化を称えつつ、真のインスピレーションはどこから生まれるのか、それは人間です。・・・このキャンペーンのターゲットは、AIとその仕事や作業への影響について、さまざまなメッセージにさらされてきたフリーランサーや企業です・・・私たちが明確にしたいのは、AIは依然としてツールであり、その成功には人間の才能が不可欠であり続けるということです。」とのことです。

企業として、フリーランスを守ろうという姿勢も感じられます。
AIで仕事を失うという漠然とした危機感を転換する、ポジティブなメッセージです。

OOHの「AI TOOK MY JOB (TO THE NEXT LEVEL)」というキャッチコピーは「WAR IS OVER」のイメージがあっていいです。

個人的にはAIを擬人化する演出は幼稚な気もしますが、いい広告だと思います。
AIがオープンであることは素晴らしいと思ってます。

Fiverr Casts AI as Our Helpful, Willing Workmate >>

グリーンピース・フランスによるラグビー・ワールドカップに合わせた化石燃料に反対するキャンペーンムービー。

このキャンペーンは、今年のラグビー・ワールドカップのスポンサーであるトータルエナジーズのような化石燃料企業をターゲットにしている。ビデオのタイトルは『TotalPollution(汚染)』。

グリーンピース・フランスは、「化石燃料の広告の全面禁止」と、違反企業によるスポーツイベントのスポンサーシップの禁止も要求しているそうです。

「24時間ごとにスタジアム6.5個分以上の石油を消費していることになります。」とのことです。
英国や米国と少し違う、フランス的なアピールな感じがします。

制作したのは Studio Birthplace
Studio Birthplace: Creative Studio

Rugby World Cup Stadium Overflows With Oil In Anti-Pollution Campaign >>

ソフィア・コッポラによる昭和の匂いがする映像は東京の新宿で撮影されたそうです。
過去のTVCMの映像のほかに、映画「ロスト・イン・トランスレーション」の映像も使われています。
この豪華なCM出演者の許諾を取り直してるんでしょうか?

かっこいいTVCMにテレビ全盛の時代背景があって、昭和から平成にかけてのサントリーの企業イメージは素晴らしいものでした。
映像には独自のスタイルがあり、明確に想起される企業イメージがあり、ひとつのカルチャーになってました。

各業界にそれぞれサントリーのような企業があって、業界のイメージを先導して、広告美術を牽引していた気がします。

時代が変って、ウェブやYouTubeやSNSなどなど映像を掲出するメディアは増えて、映像制作の過程はデジタル化されて表現手法が増えたのに、なぜ企業の映像は平板になって、企業イメージはテンプレート化してしまったのか・・・という大きな疑問が横たわっている気がします。

Doveが一貫して取り組んでるテーマです。
ソーシャルメディアによって精神的な悪影響を受けた十代の若者の実話を描いているそうです。

ソーシャルメディアは十代の5人に3人のメンタルヘルスに害を及ぼしているそうです。
ソーシャルメディアの有害な美容コンテンツから十代の精神衛生と自尊心を守るために、今回はソーシャルメディアを規制する法律への署名を求めています。

提案された法案では、十代がアルゴリズムによるレコメンドをオプトアウトできるように求めているそうです。
さらに、自傷行為、自殺、摂食障害、などに結びつくコンテンツの責任をプラットフォー側に負わせることを求めています。

こんな映像が撮ってあったこともすごいです。

Dove Pushes To Protect Teens’ Mental Health Online In New Film >>

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