現在のロゴデザインを取り巻く状況をうまく説明してくれています。
ブランド認知の変化に伴って、デザイナーが受け入れて、順応する必要があり、さらには、利用できることがあるかもしれません。
ロゴのトレンドとして下記のトピックを紹介しています。
・フラットボックス
・コーナーチョップ
・楕円
・ピクセルドロップ
・ベルボトム
・リキッドブリッジ
・ミックススティックス
・スマイリー
・ステッカー
・中心点
・ポインタ
・バランスアクト
・パッセージ
・レーダースキャン
・ノヴァスター
これらについて具体的な造形要素を例にして、ブランドのストーリーをどのように伝えているのかを紹介しています。
以下はいくつか引用です。
「デザイナーが方向性を探しているのは、伝統的なロゴの概念が近年劇的に変化したためです。かつては視覚的なブランドの中心的存在だったロゴが、今ではグラフィック ファミリーの他の要素に後れを取ることも珍しくありません。たとえば、近年ではロゴよりもワードマークのほうが独創的な視覚的実験が多く見られるようになりました。企業によっては、自社のアイデンティティを定義するために別のマークを持つことに価値を感じていないところもあります。名前が読めるのに、なぜロゴが必要なのでしょうか。」
「しばしば、 ロゴ自体は、パターン、テクスチャ、アニメーション、色など、ロゴを取り巻くコンテキストに比べると二次的なものです。背景のノイズの方が、マーク自体よりも識別しやすくなります。関連するグラフィックが、ユーザーがブランドをより早く識別するのに役立つことは理解していますが、同時に、それは私たちが受け入れなければならない現実でもあります。結局のところ、私たちの目的はクライアントの目的であり、共鳴と忠誠心を獲得するために代替の視覚的要素が重要であれば、それはそれで構いません。」
「多くのブランドが主にオンラインで展開しているため、今では多くのロゴが完全に RGB になっています。これらの要素がポスターや T シャツに印刷されることはありません。デザイナーはテクノロジーを極限まで押し進めており、それがうまく機能するのは、それが消費者の認識と期待になっているからです。」
「変化を先導するデザイナーは、パレードの楽団リーダーのようなものです。デザイナーはほんの数歩先を行くだけで十分です。デザイナーがあまり前に出すぎると楽団から見えなくなり、どこへ行けばよいか分からなくなってしまうからです。・・・すでに存在するものの重力を受け入れて、その周りを回ってください。」
「トレンドは一時的な流行ではなく、時間の経過とともに進化し、変化する軌跡です。これらのアイデアを使用して、デザイン感覚を広げながら、独自のデザインを次のレベルに押し上げ、軌跡を次の反復へと進めてください。」
読み物とし面白いですし、ロゴデザインをする前に読んでおきたい記事です。
From smileys to stickers: LogoLounge launches its 2024 trend report >>
マンチェスター出身でサッカー狂でも有名なミュージシャンのノエル・ギャラガーの手書き文字のようです。
子どもっぽくて下手な字が、ロックミュージシャンらしい感じ。
サッカーファンやデザイナーから大いに嘲笑されていますが、そういうところもノエル・ギャラガーらしくて、話題作りにはいい企画。
一方で、タイポグラフィを嘲笑するものだという指摘もあります。
Comic Sans に似ているというのは、Comic Sansに失礼だそうです。
「Comic Sans は、その無邪気な魅力の下には、 1994年に Vince Connare によってオリジナル フォームで作成された、信じられないほどよく考え抜かれて描かれた書体が隠れています。・・・しかし、多くの場合、このフォントは不適切に使用されています。」
「私が調子の狂ったギターをかき鳴らしたら、ノエルは私のギター演奏の腕前に驚いてしまうだろう。これは、一見単純なアートやデザインをじっと見つめる人々の『私にもできたはず』の好例です。」
「書体デザイナーの技術力と長年の経験が社会でどれほど理解され、評価されていないのかという疑問が湧いてくる。」
Noel Gallagher’s football font makes a mockery of typography, claims design lecturer >>
CITY LAUNCH CLUB FONT FOR 2024/25 SEASON, DESIGNED BY NOEL GALLAGHER >>
東京も都知事選がありますが、EUの欧州議会も6月6日から9日にかけて選挙が行われるそうです。
投票への関心を高め、投票を促すために、ヴォルフガング・ティルマンスは、アートディレクターのスコット・キングと共同で、ポスターやTシャツのデザインとしてダウンロードできるグラフィックを制作したそうです。
「今日、EUの歴史上かつてないほど、ヨーロッパ・プロジェクトを解体しようとする勢力、ヨーロッパ諸国を民族主義的な単位に分裂させようとする勢力が拡大している。このようなことを許してはならない。」
スコット・キングはAllen Ruppersbergを参考にしたグラフィックを提案しましたが、ヴォルフガング・ティルマンスにボツにされたそうです。
別案として、ほとんどのデザイナーが無視するような「醜い」愛されない、安い、あるいは無料のフォントをたくさん使ったグラフィックを見せたそうです。
「これらの巨大で奇妙に見える文字が街頭のポスターとして現れたら素晴らしいだろうということでした。」
ヴォルフガングは、この 「軽さ」言葉の遊び、大胆さが気に入ったそうです。
グラフィックはこちらからダウンロードできます。
https://votetogether.eu/en/blog/
ヴォルフガング・ティルマンスはイギリスでのEU国民投票に向けた作品を発表したことがあったそうです。
These anti-Brexit posters show just what we lose by leaving the EU >>
Scott King designs EU Elections campaign for Wolfgang Tillmans >>
独立系の書体メーカー「エミグレ」によって発行されていた、実験的で先鋭的なタイポグラフィ誌です。
1984年から2005年の間の全号の全ページが登録不要で閲覧できるそうです。
それまでのアナログからデジタルな制作環境に移行していった90年代の雰囲気が伝わってきます。
クリエイティブの可能性を信じて時代の変化に参加しようとしていた当時のデザイナーにとって、大きな刺激になったと思います。
Apple Vision Pro でタイポグラフィがどのように変わっていくのか、Monotype社のフィル・ガーナムさんのインタビュー記事です。
Apple Vision Pro を使ったことはないですが、視覚メディアの変化としてタイポグラフィにも影響を及ぼすことになるようです。
日本語の場合はどうなんでしょう。
以下は興味深い箇所の抜粋です。
タイポグラフィ体験の全領域がカスタマイズ可能になる。
空間的なテキストには、瞬時にさまざまな背景に適応できるタイポグラフィが必要になる・・・「スティッキー情報テキスト」、つまり現実世界の物体に固定されたテキストは、パッケージ食品の栄養ラベルとして使用されたり、地域のリサイクル情報を表示したりすることができる。
ARの真のタイポグラフィ表現の可能性を掘り起こすのは、独立したクリエイターやブランドメーカーでしょう
Monotype社は、幾何学的なサンセリフ書体が拡張現実や仮想現実で流行するだろうと予測している。
この理論は、Monotypeと応用神経科学企業のNeuronsがフォントの感情性について行った最近の研究と一致している。
Apple Vision Pro を装着して活字を読む行為そのものが滑稽な気もするので、まったく違ったインターフェイスになるのかもしれません。
それでもタイポグラフィがなくなることはなさそうです。
10のグラフィックデザイン・トレンドが紹介されています。
AIや機械学習の登場でグラフィックデザインは大きな変化に直面していて、デザイナーには対応と適応が求められているそうです。
ほかにも、ビジュアルイメージやカラーリングのトレンドについても紹介されています。
1.AIアシスタント
2.余白を埋め尽くすデザイン
3.リードガラス効果
4.バービーピンク
5.鮮やかなカラーリング
6.ドット・グラフィックス
7.ピクセルの再発見
8.自然志向のデザイン
9.抽象的なグラデーション
10.グリッドと可視化されたボーダー
グラフィックデザイナーの仕事がAIで置き換えられるような気はしませんが、グラフィックデザイナーに期待されることが今までと違ってくる気がします。
グラフィックやショートムービーに、AIをうまく利用できるようになる必要がありそうです。
他のトレンド予測にも、ハッピーで鮮やかなカラーリングやグラデーションの流行は、多様性や多文化のシンボルというだけでなく、戦争や侵攻などの不確実な時代に望まれているとありました。鮮やかなカラーリングは刺激をもたらすためのものではなく、消費者の心理を慰めるためのようです。
ドット、ピクセル、ボーダーなどの90年代デジタルの質感もトレンドのようですが、正直なところ、もっとクリエイティブなトレンドがあっていい気がしました。
詳しくは下記へ
20年ぶりの個展だそうです。前回は見に行けず残念だったのを思い出しました。
個人的にもステファン・サグマイスターはスーパースターの一人です。
レンチキュラーをそうやって使うのは、なるほど、おもしろいです。
「50年、100年、200年といった単位で見てみると、私たちの生活は明らかに良くなっています。」
という展覧会の紹介のとおり、2つの時代の変化を抽象的なインフォグラフィックとして楽観的に演出されています。
素晴らしく美しいデータビジュアライゼーションです。
洗練されていて、赤裸々で、反抗的で、ラグジュアリーです。
ただし、グラフィックデザインが社会的なデータを扱う難しさを考えさせられるところもありました。
ビジュアルデザインがセンセーショナルであろうとする時に、取り扱うデータの中立性を担保することはほぼ不可能ではないかと思います。社会的なデータを扱うデザインの難しさは、そういうところにあると思っています。
100年前にオットー・ノイラートとゲルド・アンツがアイソタイプを発明したときの、そういうデザインをする必然性と時代背景について考えさせられました。
Stefan Sagmeister Now is Better >>
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この世界のドキュメンテーションとコミュニケーションを変えた天才。グラフィクデザインをデジタルにした人です。
彼もまた1970年代後半にゼロックスのパロアルト研究所にいたそうです。
そこでInterpressを開発しましたが、ゼロックスでは商業化されず、1982年に同僚のチャールズ・ゲシュケとAdobeを設立してポストスクリプトを開発したそうです。
ゼロックスで実現できずに彼が諦めていたら、この世界はどうなっていたでしょう。
イラレ以前のグラフィックデザインの仕事には専用の機材と技術と広い部屋が必要でした。
グラフィックデザインは小さくなってコモディティ化したのかもしれません。
サブスクになってからのAdobeは好きになれないですが・・・、グラフィックデザインの他にもデジタルデータを利用するデザインに関わるほぼすべての人はこの人の恩恵に与っているでしょう。
Remembering Adobe’s John Warnock >>
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アラン・ケイが語る、1970年代のゼロックス パロアルト研究所で起こったデザインの魔法を再現する方法 >>
ラジオやアマチュア無線の受信を証明するカードがあると聞いたことはあるのですが、実物がどんなものか知りませんでした。
自由で豊かなタイポグラフィでのデザインがいい味です。
ニューヨーク地下鉄マップについてのドキュメンタリーやNASAのグラフィック・マニュアルなど、デザインのアーカイブを出版している Standards Manual のプロジェクト。
1970年代から80年代のカードのコレクションで、なかには手描きのカードもあるようです。
もとは、106歳で亡くなったアマチュア無線愛好家のコレクションだそうです。
以下は記事からの抜粋です。
「QSLカードから得られる大きな収穫があるとすれば、それは今日のソーシャルメディアの先例です。コールサインは現代のソーシャルハンドルであり、そのデザインはプロフィールのアバターと何ら変わりはありません。これはTwitterの前のTwitterで、フォロワーの代わりにQSLを手に入れることができたのです。」
「・・・私たちはQSLカードの創造性、役割、そして「コンタクトを取る」という行為の表現に魅了されたのです。・・・世界には常に新しいコミュニティ、アートフォーム、表現が存在するのだということを教えてくれます。探求をやめないでください。」
Standards Manual pays homage to the ham radio era, by resurfacing the art of QSL cards >>
ブラウンのデザインスタジオのオリバー・グラベスとレンケ・タイによるフォントだそうです。
洗練された、便利で、親しみやすく、ドイツ的で、モダン・・・な書体として仕上げたそうで、確かにそのとおりで、合理的で美しくて清潔な感じ。
ヘルベチカとの比較でわかりやすく説明してくれてます。
伝統的なブラウンのデザインエレメントをベースにしています。
大文字の幅も狭くして使いやすくして、ドットが丸なのもいいです。
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