なぜ広告は個性を失ったのか?

MartinWeigel_Has_Advertising_Lost_Its_Personality

「パフォーマンスの追求によって、マーケティングは個性を失ったのか?」というテーマの、Wieden+Kennedy の Martin Weigel による記事です。
ビジネス視点立って現在の広告表現の在り方を考え直す、素晴らしい記事のように思えます。
実際、広告は以前よりフラットになっているそうです。

以下は抜粋の意訳です。

広告のスタイルには重大な変化が起きています。
感情的に魅力的な人間の物語の代わりに、ユーザーに行動を促すための教訓的な”プレゼンテーション”が増えています。
具体的には、キャラクター、文脈、アクセント、曖昧さ、言葉遊び、ダブルミーニング、隠喩 が減っています。
自意識が低く、人と人との暗黙のコミュニケーションが少なく、文化的参照が少なく、ストーリーが少なくなってます。

メッセージの字面の通りの内容をプレゼンするだけの広告が増えています。
これらはユーザーの脳に負担をかけないように単純化されてデザインされていて、奥行きとニュアンスに欠けています。

(いわゆる、左脳的な広告が増えて右脳的な広告が減って、広告はユーモアを失っているそうです。)

長期的なブランド構築の中心にある関連性や繋がりを作りたい場合、私たちが関与しなければならない右脳の部分を無視した広告が増えています。
これらの広告は、感情に訴えてユーザーとブランドの関係を仲介することを断念しています。

多くの企業が好んでいるのは、アテンション、想起、提案、利益、メッセージ、説得 を重視するイデオロギーです。
これは、ユーザーを意味形成の積極的な参加者や協力者ではなく、メッセージを届ける対象や受け手として扱います。

企業がユーザーに対して抱くこのような偏見はずっと昔からありますが、キャンペーン結果についての企業の焦りと短期的な思考の台頭によってさらに危険になっています。

言うまでもなく、結果に対するこの焦りと要求は、クリエイティブ制作会社に引き継がれています。
クリエイティブ部門はより短い波長に合わせざるを得ない状況にあり、クリエイティブ時間に対するプレッシャーは容赦ないものです。

クライアント企業は、創造性がもたらす真の力とその利点を活用できていません。
マーケティングの優先事項は、ブランドやビジネスの長期的な健全性ではなく、短期的なものであると主張するとき、私たちはブランド価値の創造ではなくブランド価値の破壊を請け負っています。

まだまだ続きがあります。

元記事はこちら
Has advertising lost its personality? — Martin Weigel >>
https://www.martinweigel.org/blog/has-advertising-lost-its-personality

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