KENZOについて詳しく知らないまま見に行きました。
繰り返される花柄は生々しくて70年代の少女漫画のような印象でした。
野暮ったさと洗練が高度に同居している感じでした。
四谷シモンのマネキンも見どころだと思います。
間違ってるかもしれませんが「フォークロア」というコンセプトは当時の時代を射抜いたような気がしました。
ブランディングとしての成功も素晴らしいです。
展示のライティングはもう少し演出があってもいいかも
90年代っぽいイメージでおもしろかったです。
『シネマ・インフェルノ』という短編映画の世界観がインスタレーションで再現されていて、映画の中に登場する服も展示されていました。
詳しく分からないのですが、展示されている服の素材や作り方のクオリティはスゴそうでした。
映画は別のフロアの鏡貼りの部屋で上映されていました。
映画も展示も90年代のU2の ZOO TV を思い出して懐かしくもありました。
映画、服、演劇、身体、など多くの要素を扱った演出とまとめ方がおもしろかったです。
ラグジュアリーなこの服は、物語を纏っていて、ひとつのファンタジーなのだということのようです。
会場の入り口や、映画が上映されている部屋へ穴の中に入っていくような演出、ウサギのモチーフ、足跡を追う形式の展示など、不思議の国のアリスなのだろうと思います。
「服作りのプロセスで、私は感情に訴えて記憶を生成します。それがドレスメーキングとストーリーテリングの本質的な関係を生み、私のオートクチュールへのアプローチの基盤となっているのです。」ジョン・ガリアーノ
アーティストで写真家のケリー・スワンソンによるプロジェクトで、実際に販売しているようです。
シアノタイプ(青写真)で植物標本がプリントされているそうです。
いいアイデア。
シアノタイプは、ずっと昔に建築図面の複製に使われていた写真技法です。
Brilliant Botanical Cyanotypes Adorn Kellie Swanson’s Upcycled Garments >>
過剰な演出が盛り沢山ですが、圧巻の展示でした。
何よりも点数がすごいし、歴代のクリエイティブ ディレクターの作品を一覧できるのがいいです。
トワル(仮縫い)のトルソーに着せ付けた白い展示が特に良かったですが、なぜか図録に掲載がなかったのが惜しいです。
クリスチャン・ディオールが、若い頃にアートギャラリー を運営していたのを初めて知りました。
そういうセンスをブランディングに発揮したような気もしました。
ファッションに疎くても楽しめる展示でした。
ベティ・カトルーがどのような人なのか知りませんでしたが、イヴ・サンローランのファッションアイコンとして(歳をとっても)本当にカッコイイ女性像を体現してました。
2019年に彼女がピエール・ベルジュ=イヴ・サンローラン財団に寄贈したコレクションの展示です。
黒とシルバーの展示もカッコイイです。2020年のイヴ・サンローラン美術館の展示でサンローランのクリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロが監修していたようです。
想像していたよりも多くの服が展示されていて、見応えありました。
ファッションには疎いですが、サンローランのカッコ良さがわかりました。
イギリス人ファッションデザイナー、クレイグ・グリーンの2022秋冬コレクションでのアディダスとコラボしたスタンスミス。
ボルトで固定したり膨らませたりしてますが、お馴染みのタグや3本のドットのラインでスタンスミスになってます。
CRAIG GREEN AW22 MIGHT HAVE PERFECTED THE ADIDAS STAN SMITH >>
きっとこの人はコロナ禍の自粛生活を楽しく過ごせるタイプの人。
メディアに登場しない姿勢も納得できました。
ファッションを愛していてもファッション界は嫌いなようです。
デザイナーとして勇気ある姿勢を尊敬します。
大胆なコンセプトでもマーケティングなくして大きな成功はなかっただろうけど、マーケティングが入ったことで、それまでの「言語」が失われたとあったのが印象的でした。
コンセプトやステートメントにマーケティング用語を使うのは、ホントにカッコ悪いことだと思いました。
明治からの日本ファッション史を俯瞰する展示。作品数が多くて見るのもたいへん。
1940年代からの年代順に当時の社会情勢や流行と合わせて展示されているので、ファッションにそれほど詳しくなくても楽しめます。
長い歴史の膨大な作品資料にハードワークと情熱と憧れが溢れた展示でした。
日本のファッションが世界で人気になってゆく過程はドラマチックです。
80年代から90年代のイメージ作りのための凝った印刷物の展示もよかったです。
戦時中も含めて、日本のファッションがそれぞれの時代の情勢や技術やメディアとしなやかに連動してきたことがわかります。
ただカッコイイ服の展示ではなく、時代の文脈をどのように作品にしてきたのかを長い時間の流れで見ることができる展示でした。
ロンドンのデザインコンサルタントHetcoは、2020年4月から、裁縫のための布のキットを販売するベンチャーとして「pattern-project」をはじめたそうです。
Hetcoはデータ重視型のデザインコンサルタントでBBCや公益法人をクライアントにしています。
「pattern-project」はサイズに合わせた型にカットされた布が送られてくるサービスで、ミシンを持ってる裁縫の好きな人なら服を縫い上げることができるキットです。
この「人間中心」のキットは、ファストファッションに反対するムーブメントにも影響を受けています。
Hetcoの共同設立者のShruti Groverによれば、人々は多くの服が作られる「非人間的な」プロセスに慣れ親しんでいるそうです。
「裁縫を始めると、服の見え方が変わってきます」
「すべての服は、幸せではない手によって作られていることを知っています。自分の製品を縫うことで、服との絆が生まれます。」
これからは、オーダーメイドに対応して型を調整できるようにオンラインのUIを開発中だそうです。
コロナ禍でミシンの売れ行きは好調のようなので、このプロジェクトはうまくいくのかもしれません。
ほかにも、コロナ禍にデザイン会社が取り組む新しいプロジェクトが紹介されています。
httpsMeet the design studios making new products and businesses in uncertain times >>
個人的には服よりも、おおらかで乾いた感じのドローイングが魅力的でした。
会場はとても混んでいて、グッズ売り場も大盛況でした。
信者といえるようなファンを多く持つ強力なブランドだというのがよくわかります。
オシャレで「ファンシー」ということだけでなく、ものづくりとしてのリアリティが伝わってくる展示でした。
ミナペルホネンのものづくりは、21世紀のデザイナーが目指すべきところなのでしょう。
© 2024 DESIGNERS UNION | ご自由に投稿できます。 お気軽にご利用ください。