Filefoxで有名なMozillaファウンデーションは、従来からの「草の根から政府へ」のマニフェストのもとに、公平で開かれたインターネットを世界的な公共資源として取り戻すための、新しいブンランドシンボルを打ち出しました。
手掛けたのは、バーガーキングのリブランディングも手掛けたJKR。
Mozillaのグローバル・ブランド責任者のエイミー・ベビントンによれば、ビッグ・テックによる支配と倫理的課題の拡大からインターネットを取り戻すために、人々に力を与えたいそうです。
「人々は、インターネットが自分たちの生活にどのような影響を与えるかをコントロールできなくなり、データプライバシー、技術の独占、AIの急速な進歩、倫理的懸念の増大、誤った情報、商業化といった問題に直面している。」
JKRは、ブランドがすでに人々の心の中にどのように存在しているかを理解して、記憶に残っている要素を掘り起こすことから始めたそうです。
いいアプローチだと思います。
「Mozillaのロゴを描いてほしいと頼んだところ、ほとんどの人がFirefoxのロゴを描きました。」
そして、JKRはワードマークとカスタム書体で新しいアイデンティティを打ち出したそうです。
個人的には「://」をモチーフにした以前のワードマークが好きでしたが、これからのインターネットと人々の関係にとって大切なことはプロトコルではないということのようです。
Mozilla pledges to ’Reclaim the Internet’ with new identity by JKR >>
プラダは、アクシオム・スペース社と提携して、NASAのアルテミス3ミッションのための次世代宇宙服をデザインして、ミラノで開催された国際宇宙会議で発表したそうです。
プラダらしい赤いストライプがあしらわれていますが、指揮官を識別するのに役立つなど実用的な目的もあるようです。
月面の環境に対応できることを確認する試験はこれからですが、ブランディングとしては、この上ないチャンスです。
2026年に予定されているアルテミス3ミッションで、NASAは1972年のアポロ17号以来初めて人類を月に送ることを目指しています。
この宇宙服は、アポロ時代と違って複雑な動作に対応できる柔軟性があるそうです。
幅広い体型に対応できて、生命維持の機能も向上しています。
プラダ一族の御曹司であり、プラダのチーフ・マーケティング・オフィサーであり、WRCドライバーもやっていたロレンツォ・ベルテッリのコメントです。
「限界を超えることは、プラダの価値観のひとつであり、プラダブランドの精神と私の両親のビジョンを完璧に反映しています。」
「私たちは、素材、機能、縫製技術に関する専門知識を共有し、多くのことを学びました。私たちはこれからも新たな挑戦を続け、視野を広げ、新しいシナリオを共に築いていくことでしょう。」
40年以上にわたるクーンズの作品群を俯瞰できる巨大なサイトになっています。
作品の画像は見やすく、他の要素はミニマルになってます。
期待するような派手なVRとかはなさそうですが、作品や関連情報の量と分類はよくできている気がします。
ジェフ クーンズ ファンには良いサイトだと思います。
15年前に制作された以前のサイトが彼のビジョンに反映できていないものになっていたところに、Squarespaceがコラボの話を持ちかけたそうです。
Squarespaceはビョークやマグナムフォトなどともコラボしていて、クーンズ自身も「Squarespaceが他のアーティストと行った仕事は、どれも楽しかった。」と言ったそうです。
Squarespaceは、いい営業やってます。
このサイトは、作品だけでなく、ニュース記事や過去の展覧会資料など、彼の作品や創作過程を補足する資料を加えて、彼の創作の旅を生きた形で表現するサイトになっています。
クーンズ は新しい作品や展覧会を随時追加していくことを約束していますが、約束が守られないことは彼の作品の一部です。
「私の世界観を視覚的、感情的、知的に伝えるサイトを作ることができました。」
「新しい作品を作りながら、新しい画像を掲載し、新しい作品をリストアップし、新しい展覧会を追加し続けることができる。それが素晴らしい点で、完全に適応可能なのです。」
Squarespaceのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのデビッド・リーは、この『適応可能なテンプレート』の重要性を説明しています。
「私たちが重視したのは、ジェフの現在進行形の作品に合わせてプラットフォームが成長し、進化できるようにすることでした。」
Squarespaceは、このサイトに適用されている「Reflect」と呼ばれるテンプレートをすべての顧客に提供するそうです。
商売上手です。
クーンズによれば、このサイトは静的なデジタル・ショーケース以上のものだそうです。
このサイトは、彼の作品とクリエイティブな旅を、その展開とともに共有し続けるための『方法』なのだそうです。
「作品は、私のキャリア全体にわたって取り組んできたアイデアを表しています。イメージとデザインの力を使って、人々がアートの中に込められたアイデア、感情、感覚とどのようにつながることができるかを強調したかったのです。」
ウェブサイトを『方法』と捉える考え方は久しぶりに聞いた気がします。
ここで語られているのは「ウェブサイト」というものがもともと持ち合わせている機能であり、実在する個人やブランドや組織がウェブサイトを設ける意図です。
コンバージョンのためのランディングページとは異なるコンセプトです。
Jeff Koons just uploaded his entire catalog of art to the internet for the first time >>
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自分の無知が恥ずかしくなる展示でした。おもしろかったです。
メディアアート黎明期のキュレーションを手掛けたヤシャ・ライハートのテキストを見たいと思って行ったのですが、1987年にO美術館に見にいった「ARTS ON COMPUTER」展のことが紹介されていたり、資料の中に学生の時の草深先生のお名前を見つけたりと個人的に懐かしい断片がありました。
まずは、展示のコンセプトになっていた川野洋について、もっと勉強しないといけない気がしました。
ヤシャ・ライハートのテキストには1967年の瀧口修造との対話の一部が紹介されていました。
「重要なのは実験だ。科学と同じように芸術においても、実験が成功するかどうかは問題ではない。それが何かに繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないが、扉を開くことになるのだ。」
コンピュータアートの黎明期とは違ってハードとコードが一般化して、これからも多くの「実験」が行われるのは楽しそうです。
展示されていた「20世紀コンピュータ・アートの軌跡と展望 − 現代アルゴリズム・アートの先駆者・現代作家の作品・思想 −」の本がおもしろそうでした。
サグマイスターと他の登壇者がイノベーション・プロセスにとって美がいかに価値あるものかが議論された講演だそうです。
サグマイスターらしく天邪鬼ですが、統計的な「美しさ」と「ビジネス」や「ユーザー体験」について考えさせてくれる記事でした。
人々がどの形と色を好むかについて聴衆に挙手を求めなると、丸と青には多くの挙手が集まったが、長方形と茶色には少なかった。
人々が票を投じた後、サグマイスターはこれまでの自身の調査による上のグラフを公開したそうです。
「美にとって最悪なことは、(それについての)愚かな判決です。」
「私は世界中で何百回と、直接、展示物やインスタグラムに設置された定点観測としてこの実験を行いましたが、いつも同じ結果でした。円は最も美しく、長方形は最も美しくない。」
美は与えられるものではなく「選択されるもの」であり「モノはひとりでに美しくはならない。」ということだそうです。
おもしろいです。そして納得させられるものがあります。
アップルのマーケティングを担当している他の登壇者は、以前に製品のビジュアル・ランゲージに関してリスクを嫌うことが多い消費者向けパッケージ商品の企業で働いていたそうです。
「彼らは何カ月もかけてテストし、消費者調査をしていました。多くの旧態依然とした消費者向けパッケージ商品の企業にとって、美は指針となる価値観ではなかった。実際、それは勢いの足かせになることもあった。」
最後に、Amazonの醜いインターフェイスについての苦言になっています。
そして、それが優位性を発揮した戦略になっていることも示唆されています。
手掛けたのはPentagramのアンドレア・トラブッコ=カンポスとそのチーム。
ほんの少し手を入れることで、今っぽくアップデートしていて上手いです。
カラーリングの変更は適切だと思います。
以下はPentagramのサイトから引用です。
説明も上手いです。
PayPalのアイコンであるモノグラムは、よりシャープでモダンに描き直されました。更新されたマークでは、重なり合う文字の角度は変わりませんが、字形の角のカーブが取り除かれ、よりシャープな外観になっています。色彩は連続的なコントラストに調整され、ロゴのレイヤーに以前にはなかった奥行きと立体感を生み出している。ブライトブルーとディープブルーが重なり、PayPalが所有する成長中のモバイルアプリにちなんだVenmoブルーが浮かび上がる。
モノグラムの構造は劇的に変化していないが、付随するロゴタイプとの関係は変化している。アイデンティティの外観を高め、より柔軟にするために、シンボルはもはやワードマークと固定されていない。この2つの要素は互いに独立して機能するようになり、要素をシンプルにすることでより多くの可能性をもたらしている。
新しいPayPalのワードマークは、アイデンティティの基礎となる要素であり、大胆さ、自信、明快さというブランド特性を体現する新しいカスタム書体、PayPal Proに設定されている。PayPal Proは、Lineto Type FoundryがFuturaを現代的に描き直したLL Supremeをカスタマイズしたものである。1927年にポール・レナーによってデザインされたFuturaは、2,000年以上前の文字のプロポーションにインスパイアされた幾何学的なサンセリフである。時代を超越した普遍的なフォルムを持つこの書体は、メッセージに焦点を当てることを可能にしている。PayPal Proも同様に、純粋に直線と円曲線だけで構成されることを目指している。PentagramはLinetoとPayPalと密接に協力し、読みやすさと実用性のために小さなサイズで最適化された第二の書体、PayPal Pro Textを開発している。
時代を超越した活字は、ニュートラルな黒と白のパレットによって新しいロゴにマッチし、フィンテックの代名詞となっている青とは一線を画している。代わりに、ブルーはブランドのアクセントとエネルギーとして使われている。また、他の小売ブランドと重複していた以前のパレットから黄色を排除している。この変更はUIにも及び、時代遅れの黄色い支払いボタンは黒になった。
PayPalの使いやすさを強調するアイデンティティのモーション・ランゲージは、デジタルでも物理的でも、決済を行う際の日常的なジェスチャーや行動を利用している。ブランド・アニメーションは、タップ、クリック、フリップ、スワイプでワードマークとタイポグラフィを活性化し、製品体験の動きをアイデンティティそのものに取り込んでいる。
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さらにシンプルになったPayPalの新しいロゴ
KENZOについて詳しく知らないまま見に行きました。
繰り返される花柄は生々しくて70年代の少女漫画のような印象でした。
野暮ったさと洗練が高度に同居している感じ。
四谷シモンのマネキンも見どころだと思います。
間違ってるかもしれませんが「フォークロア」というコンセプトは当時の時代を射抜いたような気がしました。
ブランディングとしての成功も素晴らしいです。
展示の照明はもう少し演出があってもいいかも
集中力を阻害するスマホやネットは創造性にとって害悪なのか? というテーマについて3人のアーティストの意見をもとにした記事です。
創造性と習慣についてのおもしろい記事です。
現代の環境で創造性を維持するための自覚的な対処方法のようにも思います。
気が散ることを肯定的に捉えることも新鮮でした。
以下は抜粋です。
「特に興奮していないことに取り組んでいるときは、気が散りやすく、スマホをスクロールして時間を浪費することもある。でも、いい気分で取り組んでいて、フロー状態にあるときは、それほど携帯に手を伸ばしたりしないんです。」
「ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、アシャンテ・キンドルは、携帯電話が時間を飲み込むこともあるが、より集中した創作活動の合間に、建設的な白昼夢、あるいは彼女が「メンタル・リセット」と呼ぶものをもたらしてくれることを認識している。」
「オンライン・ピンボードの黎明期の頃はアルゴリズムがそれほど進んでいなかったから、もう少し面白かった。今はとても効率的で、得られるものが少し同質的に感じることもある。」
「ある意味、気が散ることはクリエイティブなプロセスの一部ではあるが、インスピレーションを見つけることと、絶え間ない不要なノイズを除去することの境界線を確立することが難しくなることもある。」
「インターネットは、不安で、熱狂的で、不穏な場所かもしれない。ネット上での共有は創造的な表現であり、探求し楽しむ遊びのようなものであって、強制されるものではない。」
「テクノロジーを放棄することは、個人的にも、仕事上でも、クリエイティブな目的でも、まったく現実的なことではありません。だからこそ、情報との関わり方を意図的に考え、自分自身の境界線を確立することで、テクノロジーが提供するツールをうまく使いこなすことができるようになった。集中して創造的な仕事をする期間と、デジタルのピンボードをスクロールしたり物語を読んだりして集中しない ”活動的な”休息に身を傾けることは、どちらも重要だ。オフラインで”集中しない”時間を過ごす方法を書き留め、自分の弱点を記録し、必要なアプリをダウンロードし、新しいルーチンを確立して計画を立てることができる。人生のあらゆる側面と同じように「中道」を見つけることが大切です。しかし、それにはまず意図性が必要です。」
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Crucible(クルーシブル)は、バーやレストランのコンサルティングや、ドリンクやフレーバーの開発を手掛けるユニークな会社です。
Madalena Studio はクルーシブルのブランドアイデンティティとして、シャーレの上で培養されるバクテリアを利用しました。
その手法はCrucibleを的確に表現していて、ユニークで美しいです。
広告会社「AMV BBDO」の最高戦略責任者のマーティン・ウェイゲルさんのブログ記事です。
1940年のゼネラルモータースのフューチャーラマのような楽天的な未来像から始まって、現在まで続く未来像についての考察です。
数多くの引用や統計を駆使した長大なブログ記事ですが、とてもおもしろいです。
最後の方には、未来を想像するイマジネーションの重要性についての考察があります。
いくつか抜粋です。
「億万長者が火星での生命活動を計画。科学者は地球のテラフォーミングを考える。技術者たちはシンギュラリティに思いを馳せる。私たちが抱く未来像は、ポスト・ヒューマンであり、ポスト・ネイチャーである。悲観的でもあり楽観的でもあり、運命的でもあり空想的でもある。明らかに未来的ではあるが、そのような未来像は生存主義的な戦略であり、推定的な予測である。それらは、昨日までの邪悪な問題に対する今日の思弁的な解決策を装った未来なのだ。・・・・・未来に何かが起こったのだろうか?」
「若者たちは100年ぶりに親より貧しい世代になろうとしている。」
「個人的なレベルでも組織的なレベルでも、未来に対する恐怖心はリスクに対する嫌悪感を高め、新しいことに挑戦する意欲を減退させ、計画を立てる視野を狭め、短期的な生存の必要性を過度に優先させ、未来への投資を少なくし、新たな問題や予期せぬ問題に対処するための資源を減らし、無謀な自傷行為に過ぎないことが判明するような選択を促す。」
「未来が目的地であるという話の問題点は、単にそれが全くのでたらめであるということだけでなく、私たちから主体性や選択肢を奪ってしまうということだ。自分たちの考える未来が必然的なものであることを伝えようとする人は、あなたに賢くなることを望んでいない。」
「私たちは、明日のハードウェアとテクノロジーの創造者たちが、実際に現実の人間を見ていて、彼らの生きた現実に関心を寄せていると確信させることができるようなイメージを、もっと必要としているのだ。」
「伝統的な意味での広告は、その役割を果たすことができるし、果たすべきである。しかし、それはあまりに修辞的で、説得力のある真実味の帯域が(もし存在するとしても)狭すぎるし、そのアジェンダは(当然のことながら)制約が多すぎて、より広い社会的意味合いや二次的結果を探求することができない。・・・ポピュラーカルチャーの革新性をもっと直接的に、皮肉でなく賞賛することを求めるべきだ。」
「未来が想像力を必要とするのは、それが未来と関わる唯一の方法だからだ。なぜなら、過去は分析によって理解することができるが(そして繰り返し、適応させ、反復することができる)、未来は分析することができないからである。 未来は、想像力によってのみ関わることができる。想像力とは、確率や可能性を超えて、存在しないものを見るために推測する精神的プロセスである。・・・私たちは今、「経験主義とデータ収集への新たな愛に溺れ」、想像力を否定し、疎外する文化に身を置いている。」
「想像力の公正な使用は、単なる概念的なものではない。それは実行されなければならない。この実行がなければ、再想定はフィクションや未来の領域に追いやられてしまう。想像力の公正な使用は、適用可能であり(適用されなければならないという意味で)、正義と平等のために、後ではなく、今現在の現実に用いられる。・・・それは意思決定の木や道徳的な推論ではなく、善悪の区別がつかないふりをすることでもない。このように、想像力の公正な使用は、積極的な関与を必要とするため、イデオロギー的なスタンスではなく、ツールである。」
「解決策としての過去は有効な選択肢ではない。新しいツールセットが必要なのだ。明日の問題を解決するために、過去に期待することはできない。」
「問題や機会が常に変化するコンテクストによって左右され、複雑な問題が他の複雑な問題によって左右され、機会が他の機会によって左右される、根本的に偶発的な世界において、私たちは想像力を必要としている。」
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