日本とオーストラリアのそれぞれで、自分たちが置かれた状況の嘆きや違和感が感じられる展示でした。
畠山直哉の陸前高田のシリーズは切実で力強かったです。
記録やメッセージとしての写真作品の展示を久しぶりに見た気がしました。

併催されてる「写真新世紀展 2021」を一緒に見ると、写真の役割のようなものが、より感じられておもしろかったです。

リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真 >>

2021年10月21日 写真

人間の目を通した世界をAIに学ばせるプロジェクト

本当に役に立つAIを作るために、ネット上の画像から学ばせるのではなく、生活する人間の視線(文字通り一人称視点の動画素材)から学習させるプロジェクトだそうです。
Facebook AI Research が世界の13の大学と協力して史上最大の一人称映像のデータセットを作成してます。

「機械は、人間の目を通して世界を本当に理解してこそ、私たちの日常生活を助けることができるのです」

「このデータセットの映像は、人間が世界を観察する方法にかなり近いものです」

収集された一人称映像データセットは、9カ国(米国、英国、インド、日本、イタリア、シンガポール、サウジアラビア、コロンビア、ルワンダ)の73の異なる場所で855人が記録した3025時間のビデオから構成されています。

映像が収集されたあと、ルワンダのクラウドワーカーは、何千ものビデオクリップを合計25万時間かけて見て、撮影されたシーンや活動を説明する何百万ものテキストを書き込みました。これらは、見ているものをAIに理解させるために利用されます。

おもしろいことになりそうなプロジェクトですが、ここで問題視されているのは、Facebookがユーザーのプライバシーへの配慮を欠いていて、広告主へデータを売ってしまってきたことのようです。Facebookはこのプロジェクトについて、幅広い科学コミュニティの発展を促進するための純粋な研究であり、製品への応用や商業利用については、現在のところ何も計画がないとコメントしてるそうです。

Facebook wants machines to see the world through our eyes >>

2021年10月18日 テクノロジー

広告業界のレジェンドであり、ナイキの「Just Do It」を手掛けたアートディレクターでもあります。
82歳だったそうです。

1982年にオレゴン州ポートランドにダン・ワイデンと共同で設立したエージェンシーは、現在はニューヨーク、アムステルダム、ロンドン、東京、デリー、サンパウロ、上海にオフィスを持つ世界最大の独立系エージェンシーです。

If you know Nike’s Just Do It, you should know ad legend David Kennedy >>

アルブレヒト・デューラー『芝』

私たちは皆、歪められたサクセスストーリーに酔っている・・・という指摘から始まって、その仕組みを説明して、そこから脱却するために洞察力が必要なことを紹介してる記事です。
若いときには、憧れの有名デザイナーの仕事についての記事を読んで自分も同じようになれると考えがちですが、それがどう間違っているのかわかります。
これは、マーケティング、ブランディング、ストーリーテリングなどについてのことでもあります。
目を覚まさせてくれる記事です。

元記事はとても長い文章です。下記は一部の抜粋です。

「自分の功績を一つの要因に還元することで、成功談を語る人は必ずと言っていいほど、出来事や結果を独占的にコントロールしていたと主張し(あるいは信じ)、自分の力を大幅に誇張します。しかし、どんな人も、どんな組織も、どんなビジネスも、自分が置かれている環境や文脈から切り離されて機能することはありません。成功の物語はすべて、複雑な要因の相互作用の物語です。その複雑さをひとつの変数やシンプルな格言に還元することは、ストーリー性のあるものになるかもしれませんが、たいていは無意味な練習になります。」

「・・・なぜなら、あなたは70年代のサンフランシスコのスティーブ・ジョブズではないからです。”Love what you do” ”Don’t settle” ”Stay Hungry. Stay Foolish ”という言葉は、私たちに暖かい気持ちを与えてくれるかもしれませんが、過去の個人的な成功についての膨大な不完全さは、他のすべての人にとっての将来の成功への最良かつ最も信頼できるガイドにはなりません。
実際のところ、成功者は自分自身の業績の信頼できない証人であるということです。そして、再現性のない過去からパターンを推定し、それを将来の成功のための普遍的な青写真として提示することは、知恵はおろか、有益なアドバイスにもなりません。」

「私たちは、メッセージの信頼性に関する情報よりもその内容に注意を払い、その結果、データが正当化するよりも単純で首尾一貫した世界観を持ってしまうのです。結論に飛びつくことは、想像の世界では、現実よりも安全なスポーツなのです。」

「・・・自称マーケティングの預言者の多く(ほとんど?)は、実際には未来を予測しようとはしていないということです。自分に有利なように未来を起こそうとしているのです。・・・「セールステクニックとしての予言」を利用して、自分たちが支配しようとする未来を形成したり、加速したりしているのです。 彼らのトリックは、自分たちが好む未来が必然的であり、望ましいものであると私たちに信じさせることです。そして、私たちは皆、それに乗るべきだと(そして、そこから利益を得ようとする彼らの計画に)確信しているのです。 」

「・・・言い換えれば、未来とは、ステージ、演壇、パネル、ブログ、記事などで言われているような、私たちが目指している場所ではなく、私たちの中の少数の天賦の才能が、他の人よりもよく見ることができる場所なのです。それは確率の集合体です。そのため、多くの人が考えているよりもはるかに未知であり、はるかに偶発的なものなのです。
ですから、もし私たちが予言や自作自演のサクセスストーリーや成功の方程式を受け取る側になったとしたら、細心の注意を払い、その誘惑に抵抗し、それに反論し、その信頼性を批判し、その方法論を引き裂き、冷酷に問い詰め、何が抜け落ちているかを考え…そして遠慮なく無視することをお勧めします。
実際のところ、私たちがどんなに彼らに憧れようとも、私たちに何をすべきかを教えてくれる司祭や英雄や預言者は存在しないのです。」

「もし私たちが自分自身で不確実性に立ち向かうのであれば、もっと明確に見る必要があります。」
「明確に見ることは、多様性を受け入れることでもあります。」
「多様なバックグラウンドを持つ人材を採用し、文化的な「適合性」へのこだわりを弱め、教義やイデオロギーではなく実験や探求の文化を奨励し、反対意見を積極的に求めることは、より質の高い会話や、より良く、より完全で、より正確なものの見方を促進するのに大いに役立つでしょう。」

「アルブレヒト・デューラーが「The Great Piece of Turf」を描いたのは、レオナルド・ダ・ヴィンチが「最後の晩餐」のフレスコ画を完成させて、ミケランジェロが後に「ダビデ像」となる5メートルの大理石の塊を削っている頃だった。一方、デューラーの作品は、40.8×31.5cmと非常に地味なものでした。・・・・これは、地味な芝です。しかし、それは天啓です。これは『見る』ことです。(デューラーのこの作品は観察と自然研究にもとづいて描かれた絵画史の傑作です)」

「明確に見るということは、より良い質問をするということでもあります。」
「ドグマやイデオロギー(答えを知っているという確信)は、視野を狭め、チャンスや機会の幅を狭めてしまうものです。逆に、ドグマやイデオロギーを手放すこと(マーケティングでいうところの「ベストプラクティス」)は、視野を広げ、可能性の幅を広げることになります。」
「無知というのは、その使い方を知っていれば、それほど悪いことではありません。過去の経験から知っていると思っていることではなく、頻繁に無知の状態で問題に取り組まなければなりません。」

「私たちは、先見者、預言者、英雄を必要としません。他人の足跡をたどる必要はありません。誰かが予測した明るい未来に向かって走る必要もありません。他人の成功のレシピを適用する必要もない。私たちがすべきことは、自由を行使し、冒険し、注意を払い、心と目を開いて、真実を探し、受け入れる意志と勇気を持つことです。」

こういった記事そのものが認知バイアスなのでは?・・・という感じもしますが、全体を一読する価値はあると思います。

Martin Weigel | Visionaries, Prophets, And Heroes: Facing the future Without Them >>

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『希望は斧』 コロナ後の世界と広告の在り方について

広告やマーケティングに従事する人に目を覚ませと言ってるようなコラム『Escape from Fantasy』

2021年10月11日 アイデア

コカ・コーラ『Real

2016年の「Taste the Feeling」以来、5年ぶりに新しいキャッチフレーズ。
いままでのコカコーラのコミュニケーションを踏襲した、コロナ禍でもつながりを持つことの必要性がテーマになってます。

マーケティング責任者によると・・・
「私たちは今、ターニングポイントにいます。この18ヵ月間、生活のあらゆる側面が破壊され、私たちは白黒の二元的な世界の見方に戻るか、世界をより良い場所にする手助けをするかという、一世代に一度の選択を迫られています。Real Magicは、私たちのユニークな視点を『抱きしめる』ことで、より人間的な方法を選択するムーブメントを起こそうとしています。」
とのことです。

瓶の形に沿って包み込むようなカタチに歪んだロゴは『ハグ』と呼ぶそうです。
また、CMに登場するのは有名なゲーマーだそうです。

困難な時代の今の若者に、希望を提示しようということのようです。

Striking poster campaign introduces Coca-Cola Real Magic tagline >>

きっとこの人はコロナ禍の自粛生活を楽しく過ごせるタイプの人。
メディアに登場しない姿勢も納得できました。

ファッションを愛していてもファッション界は嫌いなようです。
デザイナーとして勇気ある姿勢を尊敬します。

大胆なコンセプトでもマーケティングなくして大きな成功はなかっただろうけど、マーケティングが入ったことで、それまでの「言語」が失われたとあったのが印象的でした。
コンセプトやステートメントにマーケティング用語を使うのは、ホントにカッコ悪いことだと思いました。

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ” 公式サイト >>

アルバムアートを手がけたアーティストのスタンリー・ドンウッドは、トム・ヨークの学生時代からの友人だそうです。トム・ヨークが楽しそうに紹介してます。

『Kid A』のレコーディング中とその直後に制作されたドンウッドのキャンバス作品6点が出品されるそうです。

アルバムのコンセプトとその世界観を担うアートワークを重視して、『Kid A』のレコーディング時にドンウッドがスタジオに招かれ、アルバムの雰囲気に合わせて絵を描くことになったそうです。
サウンドとその時代の不穏な雰囲気を反映した素晴らしいアートワーク。

The story behind Radiohead’s cover art: meet Thom Yorke and Stanley Donwood >>

『Walls and Bridges 世界にふれる、世界を生きる』ジョナス・メカス

『Walls and Bridges 世界にふれる、世界を生きる』増山たづ子

『Walls and Bridges 世界にふれる、世界を生きる』東勝吉

『Walls and Bridges 世界にふれる、世界を生きる』ズビニェク・セカル

東勝吉、増山たづ子、シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田、ズビニェク・セカル、ジョナス・メカス の4人の作品の展示。正直なところ、ジョナス・メカス以外は知らない作家でした。

展覧会の紹介文には「生きるよすがとしてのアートの魅力」とあり、4人の生涯と創作活動とモチベーションを背景にして作品を見ることができました。
どういう状況であれ、創作を続けることの豊かさを実感できる、いい展示でした。

作品に拙さがあっても、現在のようにデジタル化された創作環境のなかで過剰に「いい仕上がり」になって均質化する以前の時代の豊かさがあります。

自分の理由を持って、創作を自分のものとして、生活のなかで続けていくのは良いです。

Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる >>

2021年9月27日 アート

在宅勤務が終わってオフィスに行く日常に戻るとき、お家のペットもストレス晒される・・・という、ペットショップのCM。
最初は人間のことかと思って、途中から犬のことだとわかって、犬の気持ちを理解する。うまい演出。

同じタイプの演出で、他にもこんなキャンペーン映像もありました。

気づかせて、共感させて、メッセージを伝える。いいCM。

As People Return to the Office, Petco Explores Pets’ Mental Health >>

ユーザーフレンドリー:デザインの隠れたルールが、私たちの生活、仕事、遊び方を変える

1979年のスリーマイル島の事故があった2号炉の制御室と、その事故を教訓に改善された1号炉の制御室を比較検証しています。著書では他の事例も紹介しながら、ガジェットとUXとメンタルモデルのありかたを紹介してるようです。

以下はリンク先の記事のさらに抜粋・翻訳・追補ですが、日本語版を出版してほしいです。

「1979年の事故を受けて、スリーマイル島の2号炉は封鎖されました。しかし、1号炉は2019年までひっそりと稼働し続けました。『誰のためのデザイン?』で有名な認知科学者のドン・ノーマンの意見を取り入れて改装されました。」

「私が行ったときには、1号機から蒸気が綿のように立ち上っていてた。その隣には、30年間封鎖されてきた2号炉の塔が錆びついて静かに立っていた。この光景は、不気味で奇妙な美しさを醸し出していた。壊すのに莫大な費用がかかる2号炉は、ポストモダンの記念碑的な彫刻のようにそびえ立っていた。それは、文字通りの「警告」としてそこにあった。」

「1979年、スリーマイル島の制御室に集まった人々にとって、フィードバックの異常、制御の一貫性のなさ、操作の難しさなど、これらの問題はさらに大きな問題となった。・・・彼らには、異質で奇妙な出来事がどのように結びついているのかを示すメンタルモデルがなく、何が起こっているのかを推測することができませんでした。」

「ユーザーエクスペリエンスとは、新しい製品を私たちのメンタルモデルに当てはめることだと言えるでしょう。簡単な例を挙げれば、私たちは本がどのように機能するかを想定しています。例えば、本にはページがあり、情報が順番に並んでいて、情報を得るためにはページをめくる必要があります。タッチスクリーンのAmazon Kindleが成功し続けている理由のひとつは、このメンタルモデルをいかにして再構築したかにあります。本のページをめくるように、電子書籍ではスワイプしてページをめくります。」

「ガジェットがどのように動作するか想定できないとき、私たちはフィードバックを利用して、そのロジックについての漠然としたメンタルモデルを形成します。しかし、メンタルモデルを構築する最も直接的な方法は、絵を描くことです。今、1号機の制御室を見渡してみると、原子炉全体のメンタルモデルを作るために作り変えられているのが分かります。私のような素人が見ても、システムの主要部分は容易に想像できます。」

「世の中に影響を与えるためには、フィードバックが必要です。デザインとは共通認識を備えた人工物を作ることであり、それはフィードバックによって可能になります。」

この記事にもありますが、スリーマイル島事故の原因がUX/UIによるものかはハッキリしないものがあります。
たぶん一因ではあるのでしょうが、UX/UIの改善によって事故を防げたのかもハッキリしません。
著書はUX/UIについての本なのでそういう結論になるのだと思いますが、UX業界(そういう業界があれば)のマッチポンプのようなストーリーになっていないことを願います。

Lessons from the Scariest Design Disaster in American History >>

User Friendly: How the Hidden Rules of Design Are Changing the Way We Live, Work, and Play >>

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2021年9月20日 UX / UI