網点の抽象的なイメージで人類の進歩の歴史の最先端にAIを位置付けるメッセージになっています。
AIの社会への影響やAGIについての言及を意図的に避けているそうです。
プロトタイピングではSoraを利用したそうですが、最終的なアウトプットは人間によって制作されたアニメーションだそうです。

リンク先の記事では、ChatGPTの新しいマーケティング責任者のケイト・ルーシュさんのコメントが紹介されています。

AIを使って心のこもった手紙を書くという内容のCMをオリンピックで出稿したGoogleは反発を受けてCMを撤回しました。

これについてケイト・ルーシュは「真正性(authenticity)が本当に重要だ。」とコメントしたそうです。

Googleも今回のスーパーボウルでGeminiの広告を出稿しています。
これもオリンピックでの広告と同じように、家族をテーマにして心情に訴えかけるメッセージになっています。

スーパーボウルを見ている視聴者(AIに馴染みのない何千万人もの人々を含む)に、AIをどのように受け入れてもらおうとしているのか、
また、ケイト・ルーシュさんの言うAIについての「真正性」がどういう意味なのか、おもしろい示唆のある記事でした。

Inside OpenAI’s $14 million Super Bowl debut >>

UX/UIデザインにとって次の12カ月はどんな年になるのだろう

Shoreditch Design の創業者の Andrew Burton さんの記事。
ソフトウェアのUIUXデザインのトレンドについての記事です。
もう一度、UIUXのデザインが創造的なものになりそうな気がしてきます。

トランプ2.0で文化的なムードは変わりつつあって、角丸やフワフワしたドロップシャドウのようなテイストは忘れた方がいいそうです。
他にも気になった箇所をいくつか・・・

「AIは、ユーザーの好みに基づいて素早く自動適応し、パーソナライズするインターフェースを生み出す可能性を秘めている。・・・このシフトは議論の余地がある。ほとんどのユーザーは、カスタマイズ性や独創性よりもシンプルさや一貫性を好む。」

「より多くのテクスチャと深みが見られるようになるだろう。このトレンドは3Dの世界を補完し、Glassmorphism(すりガラスに似たガラスのようなぼかしと半透明の使用を強調するUIスタイル)からの自然な進化のように感じられる。」

「プロダクトと直接チャットして必要なものを得ることができるのに、なぜスクリーンが必要なのでしょうか?」
「AIエージェントがあなたのためにすべてをやってくれるなら、なぜプロダクトを持っているのでしょうか?」

「プロダクトがナビゲーションを巧みにしようとしすぎると、物事がいかに混沌とするかを示した。2025年にタブとシンプルなナビゲーションが復活することを祈っている。」

「AIコーディングツールは・・・デザイナーが最も楽しめること、つまり、コンセプトを考え、成功に向けて反復することを可能にするはずだ。」

What will the next 12 months bring for UX/UI design? >>

Shoreditch Design >>

2025年2月8日 UX / UI

Shopify Editions|Winter25 退屈モード

Shopify Editions|Winter25 退屈な広告を見る

Shopify Editions|Winter25退屈しないモード

パンクテイストで実験的で楽しいコンセプトです。創造性と技術を持ち合わせた小さなチームが野心的に取り組んだそうです。

オンライン(とリアル)で小売業のためのEコマース・テクノロジーを提供するShopifyは、半年に一度「Shopify Editions」の新版を発表します。
これは、最新の発表やアップデートを祝うショーケースであり、小売業者の生活を便利にする新製品を紹介しています。
今回のアップデートに新しいサービスはなく、安定性やパフォーマンスの最適化といった「退屈」な改善についてでした。

そこで、Shopifyのデザイン・クリエイティブ・ディレクターのマギー・フォストは、この「退屈」なアップデートが実際よりも派手なものであるかのように見せかけるのではなく、アップデートの基本的な価値を表現することにしたそうです。キャッチフレーズは「新しいことは何もない。すべてが改善されました。」

Shopify Editions|Winter’25 のサイトはHTMLで初期のウェブサイトのような「退屈」なテイストになっています。
これについてマギー・フォストは「退屈なデザインのように見えるかもしれませんが、つまり、The Boring EditionのHTMLの美学は、その構造そのものを通して意味を生み出す戦略的な選択なのです。」と答えています。

以下はマギー・フォストのインタビュー記事の抜粋です。

「「退屈しない」モードに切り替えると、150以上のAIが生成した動画でアップデートが紹介されますが、これは単なるギミックではありません。二面性を表現しています。」

「「退屈」のような挑発的なコンセプトを扱う場合、抑制と歓喜の間のスイートスポットを見つけるために、広範囲にプロトタイプを作成する必要があります。」

「優れた製品は、邪魔にならないほどエレガントでシンプルであるべきです。これは退屈なことではありません。Shopifyに依存してビジネスを営む何百万ものユーザーに対する私たちの責任なのです。」

「ユーザーが実際に必要としているものを理解することから始め、それを意図と配慮をもって提供する創造的な方法を見つけるのです」」

Shopify Editions|Winter’25 >>

How to find creative inspiration in ‘boring’ tech updates >>

トゥールーズ=ロートレック

ソフィ・カル

ソフィ・カル

ソフィ・カル

ずっと昔に同じ東京駅周辺でロートレックの展示を見ました。
当時は10代だったのでわかりませんでしたが、ロートレックのタッチはどの作品でも一目瞭然であり、時代の雰囲気を象徴していたのがわかります。
ある時代、場所、カルチャーがひとつのタッチで記憶されるのは、コマーシャルなイラストレーターとして、これほど光栄なことはないと思います。
手で描かれたタッチが時代を超えていくのは素晴らしいです。

一方でソフィ・カルは作品に添えられたテキストがガイドになって楽しませてくれます。
認知や視覚に関するコンセプトを写真や映像で展示していて、実像と虚像、生と死、などのテーマが身近な事柄から切り出されいる感じです。
そのセンスは率直で軽妙で、親しみがありました。

なぜこの二人なのかは最後までよくわかりませんでしたが、おもしろい展示でした。

2025年1月26日 アート

久しぶりの新作です。
いつもおもしろい企画のミュージックビデオで楽しませてくれます。

64台のiPhoneで個別の動画を再生されているようです。
撮影には1000回以上のテイクが必要だったとか。
この複雑さをどうやって同期させてるのか、おもしろいです。

紹介記事を読んでわかったのですが、OK Go のミュージックビデオは時間と身体のパフォーマンスアートとして一貫してるそうです。
音楽的でポップやロックであることのコンセプトになっているかも。

OK Go’s new music video is 64 phones of pure joy >>

【関連記事】今度のOKGOのミュージックビデオ は4.2秒で一発撮影 >>

2025年1月18日 映像・映画

映画に登場するミュージシャンが豪華です。
日本での映画公開に合わせて『ヒプノシス全作品集 コンパクト版』という本も復刻されたそうです。
記念のイベントが1日限定で開催されたそうです。

ヒプノシスのレコードジャケットをリアルタイムで体験した世代ではありませんが、その冒険と挑戦と時代精神を尊敬しています。
復刻された本からは、デジタル化以前のグラフィックデザインの自由な豊かさが伝わってきます。
信じられないくらいのハードワークだったこともわかります。

映画『ヒプノシス ーレコードジャケットの美学ー』 >>

ヒプノシス全作品集 コンパクト版 >>

「イギリスの伝説的クリエイター集団“ヒプノシス”の世界へようこそ」>>

please quit redesigning everything

年末年始の休みに読んでみるには良い記事だと思います。絶え間ないUIUXのリデザインがユーザーに負担をかけていることを思い出させます。

以下は一部抜粋です

「デザイナーは、大量生産システムの中で常に特権的な地位を占めてきました。職人、芸術家、テクノクラートの見事な融合であるデザイナーは、(理論的には)消費者のニーズを満たす美しく、便利で、ぴったりの形を発見し、作り出します。世界中の工場の労働者と機械が、何千もの自動化されたプロセスでそれを実現しています。そうすることで、デザイナーは何百万人もの人々の日常生活の質感を決定するのに貢献しています。
しかし、オンライン生活の開花により、この王者の権力の一部に参入するための障壁は劇的に低下しました。突然、日常生活の素材を形成するのは単なるオブジェクトではなく、インターフェイスになりました。グラフィックデザインとUXデザインは、過去20年間で爆発的な成長を遂げました。したがって、再設計が急増しています。」

「良いデザインは基本的に共和主義的であり、ユーザーの意志を実現しようとしていることはわかっています。そこで(アメリカの)プロダクト責任者とマーケティング部門にお願いがあります。やめてもらえませんか?リデザインをやめましょう。イタレーション(iteration)をやめましょう。ボタンをいじるのをやめましょう。」

「デザイン時代の約束のひとつは、繰り返し作業を続け、A/Bテストを続ければ、考えられるすべての問題を解決し、人々が気づいていなかった欲求を満たし、社会進歩の黄金時代を先導しながら、無料サービスを収益化する確実な方法を見つけるユーザーエクスペリエンスにどんどん近づくことができるということです。しかし、私が長年にわたり適応してきた小さな調整をすべて振り返ってみると、これらの高尚な目標のほんの一部、あるいはより控えめな目標である、明確に前向きな変化を実現できたことさえ、思い浮かべるのが難しいです。」

「私はここで基本的に負け組の側にいることはわかっています。人々は変わり、彼らのニーズと欲求は変わります。したがって、私たちが作るものも変わります。しかし、デザインのためのデザインではなく、人間のニーズがユーザーエクスペリエンスの絶え間ない更新を推進していると私を納得させるのは難しいでしょう。」

ゼロからデザインするのは簡単ではないけど、既存のデザインに手を加えるのは「簡単にできる」とされています。
「リデザイン」が繰り返されるのは、それが「簡単にできる」からであって、必ずしも必要とされているわけではなさそうです。
そのようなデザインを期待されているなら、デザイナーの仕事は貶められることになるかも。

Can we please, please, please quit redesigning everything? >>

2024年12月28日 UX / UI

毎年恒例のトレンド予測。
今年は下記の5つのテーマで構成されていますが、タイトルから想像される内容とは必ずしも一致しないと思います。
1:躊躇の代償
2:親の罠
3:焦りの経済
4:仕事の尊厳
5:社会性の再野生化

虚偽、詐欺、有害なコンテンツ、などが蔓延する環境のなかで躊躇ったり焦ったりする人々と、ブランドが長期的な信頼を得るにはどのような考え方を持つべきかが紹介されています。
高度なテクノロジーが滅び去って昔のアナログの時代に戻った設定のSF映画のような感じもします。
とてもおもしろいトレンドですが、デジタルネイティブ世代が求めている「架空のノスタルジー」の「テクスチャー体験」もまた「代替」のような気がします。
また、テクノロジーをクリエイティブやブランディングの視点から肯定的に再解釈した予測も欲しいところです。

以下は気になった箇所の一部抜粋です。

「多忙な現代人の生活にとって、デジタルの相互作用は非常に理にかなっており、手軽さと利便性をもたらしている。人々がデジタルをより意図的に使うようになり、実世界での体験の喜びを増幅させるためにデジタルの使用バランスを見直すという変化が顕著です。人々や場所、文化とつながる体験からデジタルを遠ざけ続けるのではなく、デジタルを「サポートする役割」に割り当てています。」

「クリエイティブな領域では、デジタルは体験の代替ではなく、それを補完する役割に戻りつつあります。」
「デジタルツールは、エンゲージメントを測定し、報酬を与え、可視化する強力な手段を提供するが、テクスチャー体験の感情的な豊かさを完全に再現することはできません。テクスチャー体験は、視覚的なものだけでなく、感情的な深みも提供します。」

「ブランドは、ブランド・プロミスの一環として、オフラインでどのように喜びを伝えるかを自問する必要があります。」
「ブランドは、顧客が質感のある対面の体験を求めているときに、デジタル以外の方法で顧客と真につながる方法を探す必要があります。多くのブランドがデジタルに重点を移している今、これは重要な差別化要因になる可能性があります。」

Accenture Life Trends 2025 >>

昨年のトレンド予測はこちら
【関連記事】AIで何が変わっていくのかをブランディングの視点から「Accenture Life Trends 2024」>>

2024年12月21日 アイデア

ホットリスト2025:同業者の投票による、最も人気のあるグラフィックデザイナー25人

それぞれのデザイナーの作品を見つけることができて、見てるだけで楽しいです。
グラフィックデザインのトレンドとしてもおもしろいです。

商業的な要件を満たそうというだけではなく、見る人を楽しませようというのが伝わってきます。
同業者から好かれるのがわかります。

Hotlist 2025: the 25 most popular graphic designers, as voted for by their peers >>

Pentagramはブランディングとデザインにおいて世界で最も有名な会社で、ポーラ・シェアは世界的に著名なグラフィックデザイナーです。
米国政府の戦略目標を文書化し国民が理解できるようにするためのプロジェクト「performance.gov」のウェブサイトをデザインするにあたって、MidjourneyとChatGPTを使ったことを堂々と表明しています。さらに、ポーラ・シェアはインタビューでAIの利用を肯定的に話しています。

「辞書にあるデザインの定義は「計画」です。これは自立したイラストレーターの仕事ではないという事実に基づいて計画を立てました。隔週で1500個のアイコンを描きたい人がいれば、そうすればいいのです。私たちは、手に入る最高のツールを使って、自分たちのアイデアを実現します。」ポーラ・シェア

これに対してSNSでは「恥を知るべきだ」「デザインではない」「政府はアーティストからの盗品を悪用した」という厳しい意見が見られます。

動画によれば、手描きイラストの要素から膨大なバリエーションのアイコンを制作するためにMidjourneyを利用したようですが、それほどの数の候補から適切に選び取るのは人間では不可能だと思います。「そのアイコンが何を示しているのか」という点で曖昧さや不安定さがあるようにも感じます。
また、文書のサマリーにChatGPTを使っているようですが「国民が理解できるようにする」というこのプロジェクトの根幹に関わる問題がありそうな気もします。

先鋭的であり続けるために間違いを犯すことを恐れないのは、デザイン会社として望まれる姿勢です。一方で、間違いであることがわかったら、それを正すこともデザインだと思います。

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