GPT-4oモデルがリリースされた直後から爆発的にSNSにアップされました。
サム・アルトマンが「GPUが溶けている」というくらいです。

とても楽しい画像ツールですが、基になったデータに対しての許可、クレジット、報酬なしにスタイルを模倣するサービスで収益を得ることに疑問もあるようです。

いろいろAIツールがあっても、その生成物は個人のSNS以外には使いどころがないような気もします。一方で、AIツールとしては個人のSNSで広く使われれば大成功かも。

OpenAI’s ChatGPT sparks viral Studio Ghibli-style art craze as copyright storm looms >>

2025年3月29日 ツール

クリエイターがキャリアの早い段階で知っておきたかった13の教訓

デザイナー、イラストレーター、映画制作者、作家、写真家など、その道で経験豊富なクリエーターに、キャリアのもっと早い時期に知っておきたかったことを語ってもらったそうです。

どのようなアドバイスがあるのかは文末のリンクでどうぞ。
いくつか抜粋です。

「特に、自分のビジョンやアイデアが同僚やクライアントに否定された時、あなたはそれにひどく影響される。だから、クリエイティブと自尊心を切り離すことを学ぶのが重要だ。」

「特に若くて野心的なときには、学ぶのがもどかしいものだが、結局のところ、一夜にして成功することなどありえない。」

「誰かがあなたより声が大きくて自信があるからといって、その人が正しいわけでも、あなたより優れているわけでもありません。だから自信を保ち、自分の意見を大切にすること。」

「信頼を築き、自分のビジョンを売り込む方法を学ぶ必要がある。」

「デザインとは関係のない趣味や興味、経験は、実践の幅を広げる上で非常に重要です。クリエイティブとは何かという型にはまる必要はないのです。」

真摯な態度で同僚やクライアントと信頼を築くことは大切なようです。
どのアドバイスも「裏技」のようなものではなくて良いアドバイスのように思えます。
4月からデザイナーになる人にもおすすめです。

13 lessons creatives wished they’d known earlier in their career >>

井上嗣也『Tsuguya Inoue Graphics +81展』01

井上嗣也『Tsuguya Inoue Graphics +81展』02

井上嗣也『Tsuguya Inoue Graphics +81展』03

かっこいいです。
発売予定の作品集から本人のセレクションによる展示だそうです。
ファッション写真とグラフィックの黄金時代だと思います。

不可解さや哲学や態度のようなものがあるビジュアルデザインは反抗的で魅力的です。
理解できない範囲に魅力を感じさせるのはブランディングとしても正しい気がします。

とにかくかっこいいです。
わかりやすく視覚化するだけがデザインではなさそう。

Tsuguya Inoue Graphics +81 Exhibition >>

Midjourneyで作られたそうです。酷評されているようです。

長年サウジアラビアでのビジネスを縮小してきたVOLVOのカムバックを紹介する広告。
手掛けたのはドバイのクリエイティブ・エージェンシーのLion。
Lionの創設者でクリエイティブ・ディレクターのインタビューが紹介されています。
「サウジアラビアに文化的に共鳴するレンダリングを集めました。・・・ほとんどの広告は戦術的で、ブランドのストーリーテリングにはほとんど焦点が当てられていません。私たちのアプローチは違います。私たちはまず、この地域におけるVOLVOのカムバックに戦略的に沿った物語を作ることから始めました。」

なるほど、企画としては正しい感じがしますが、以下は記事からの抜粋です。

「広告に車を登場させなかったのはVOLVOのミスだと言う人もいるが、現在のところ、物体を確実に再現できる映像ジェネレーターが存在しなかったためだろう。もしこの広告の制作者が実車を作ろうとしていたら、モーフィングするプロポーションとショットごとに変化する特徴を持つ車になっていただろう。」

「現在の制作業務にAIの場所はあるが、広告全体を制作することは、少なくともまだない。・・・新たなテクノロジーを創造的革新の略語として使うブランドは、たいてい後悔することになる。」

「そこで、広告クリエイターへのアドバイスだ: AIのことは数年間忘れておくことだ。」

この広告に実車を登場させなかったVOLVOの判断は正しいと思います。
広告が話題を集めるだけのものであるなら「AIで作ったんだ」というだけで広告の役割は果たせているでしょう。
このようなAIの使い方が現在の広告におけるAIの最も有効な使い方になっているようですが、どうやら、AIがもたらす創造性や革新は、そういう次元ではなさそうです。
一方で広告デザインは、嫌われても人目を引こうとする惨めなものに見えてしまいそうです。

Volvo’s strange new ad is proof that it’s time to hit pause on AI commercials >>

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Project 2025 Tracker

「プロジェクト2025」というドキュメントがあるそうです。
これは、ヘリテージ財団と第1期トランプ政権のメンバー数名によって書かれたもので、2024年の大統領選挙で保守派の候補が当選したの、政府の再編と行政権の強化を目指す政策提言です。
政府の官僚制度を解体し、保守的な価値観を政府と社会に浸透させることを目指していますが、一方では、法の支配や権力分立、市民の自由が弱体化する可能性も指摘されています。
このドキュメントは大統領選挙での公約だったのではありませんが、多くの部分に同意していると公言していたようです。

このサイトは二人のRedditユーザーから始まったもので、はじめはスプレッドシートだったものを視覚的なウェブサイトにしたそうです。
Google Search ConsoleやPageSpeed Insightsのようです。

「プロジェクト2025は、私たちが直面している民主主義や公益に対する最大の脅威のひとつです。それが何なのか、自分たちの生活にどのような影響を及ぼすのかをアメリカ人が理解することが重要です。しかし、ほとんどの人は900ページもある文書を読む時間がない。そこで、私は自分自身でこの文書を読み、誰もが消化しやすいように目的を抽出することにしました。」

このサイトはプロジェクト2025の目標がすでにどれだけ進展しているかをわかりやすくするために、トップセクションで「全体的な進捗」のプログレスバーと、トランプ大統領の2期目の残り時間のカウントダウンが表示されています。

プロジェクト2025の進捗状況を、機関、テーマ(DEIAやエネルギーなど)、ステータスでフィルタリングすることもできる。すでに実行された目標は、緑色の「COMPLETED」でハイライトされ、プロジェクト2025の該当箇所とニュース記事へのリンクが表示されます。

よく調べて、よくできたサイトです。
混沌とした情報を秩序立てて関連づけて、わかりやすく視覚化しています。素晴らしいです。
この平易なフラットさが、逆に恐怖や不安を感じさせるような気もしてきます。

These Redditors made a super simple website to track Trump’s Project 2025 progress >

Project 2025 Tracker >>

鎖に繋がれた犬のダイナミクス

鎖に繋がれた犬のダイナミクス

東京駅近に新しく建ったビルの会場は素晴らしかったです。
展示の最後の「鎖に繋がれた犬のダイナミクス」が「オーバーヒートによりダウン中」となっていたところが見れらのはラッキーでした。
その姿こそが、作品コンセプトにあった「ロボットが<生きた他者>に見える」に相応しい感じでした。

どの作品も技術的なクオリティが高くて楽しいものでしたが、作品のコンセプトとしては玉石混合な印象でした。

それぞれの作品の横に「選んでやった」「支援してやった」といった印象のコメントに各作家がお礼を書き添えたようなパネルがあるのは、来場者から見ると作家が惨めに見えるかも。

ENCOUNTERS | 文化庁メディア芸術クリエイター育成事業 >>

2025年2月23日 アート

網点の抽象的なイメージで人類の進歩の歴史の最先端にAIを位置付けるメッセージになっています。
AIの社会への影響やAGIについての言及を意図的に避けているそうです。
プロトタイピングではSoraを利用したそうですが、最終的なアウトプットは人間によって制作されたアニメーションだそうです。

リンク先の記事では、ChatGPTの新しいマーケティング責任者のケイト・ルーシュさんのコメントが紹介されています。

AIを使って心のこもった手紙を書くという内容のCMをオリンピックで出稿したGoogleは反発を受けてCMを撤回しました。

これについてケイト・ルーシュは「真正性(authenticity)が本当に重要だ。」とコメントしたそうです。

Googleも今回のスーパーボウルでGeminiの広告を出稿しています。
これもオリンピックでの広告と同じように、家族をテーマにして心情に訴えかけるメッセージになっています。

スーパーボウルを見ている視聴者(AIに馴染みのない何千万人もの人々を含む)に、AIをどのように受け入れてもらおうとしているのか、
また、ケイト・ルーシュさんの言うAIについての「真正性」がどういう意味なのか、おもしろい示唆のある記事でした。

Inside OpenAI’s $14 million Super Bowl debut >>

UX/UIデザインにとって次の12カ月はどんな年になるのだろう

Shoreditch Design の創業者の Andrew Burton さんの記事。
ソフトウェアのUIUXデザインのトレンドについての記事です。
もう一度、UIUXのデザインが創造的なものになりそうな気がしてきます。

トランプ2.0で文化的なムードは変わりつつあって、角丸やフワフワしたドロップシャドウのようなテイストは忘れた方がいいそうです。
他にも気になった箇所をいくつか・・・

「AIは、ユーザーの好みに基づいて素早く自動適応し、パーソナライズするインターフェースを生み出す可能性を秘めている。・・・このシフトは議論の余地がある。ほとんどのユーザーは、カスタマイズ性や独創性よりもシンプルさや一貫性を好む。」

「より多くのテクスチャと深みが見られるようになるだろう。このトレンドは3Dの世界を補完し、Glassmorphism(すりガラスに似たガラスのようなぼかしと半透明の使用を強調するUIスタイル)からの自然な進化のように感じられる。」

「プロダクトと直接チャットして必要なものを得ることができるのに、なぜスクリーンが必要なのでしょうか?」
「AIエージェントがあなたのためにすべてをやってくれるなら、なぜプロダクトを持っているのでしょうか?」

「プロダクトがナビゲーションを巧みにしようとしすぎると、物事がいかに混沌とするかを示した。2025年にタブとシンプルなナビゲーションが復活することを祈っている。」

「AIコーディングツールは・・・デザイナーが最も楽しめること、つまり、コンセプトを考え、成功に向けて反復することを可能にするはずだ。」

What will the next 12 months bring for UX/UI design? >>

Shoreditch Design >>

2025年2月8日 UX / UI

Shopify Editions|Winter25 退屈モード

Shopify Editions|Winter25 退屈な広告を見る

Shopify Editions|Winter25退屈しないモード

パンクテイストで実験的で楽しいコンセプトです。創造性と技術を持ち合わせた小さなチームが野心的に取り組んだそうです。

オンライン(とリアル)で小売業のためのEコマース・テクノロジーを提供するShopifyは、半年に一度「Shopify Editions」の新版を発表します。
これは、最新の発表やアップデートを祝うショーケースであり、小売業者の生活を便利にする新製品を紹介しています。
今回のアップデートに新しいサービスはなく、安定性やパフォーマンスの最適化といった「退屈」な改善についてでした。

そこで、Shopifyのデザイン・クリエイティブ・ディレクターのマギー・フォストは、この「退屈」なアップデートが実際よりも派手なものであるかのように見せかけるのではなく、アップデートの基本的な価値を表現することにしたそうです。キャッチフレーズは「新しいことは何もない。すべてが改善されました。」

Shopify Editions|Winter’25 のサイトはHTMLで初期のウェブサイトのような「退屈」なテイストになっています。
これについてマギー・フォストは「退屈なデザインのように見えるかもしれませんが、つまり、The Boring EditionのHTMLの美学は、その構造そのものを通して意味を生み出す戦略的な選択なのです。」と答えています。

以下はマギー・フォストのインタビュー記事の抜粋です。

「「退屈しない」モードに切り替えると、150以上のAIが生成した動画でアップデートが紹介されますが、これは単なるギミックではありません。二面性を表現しています。」

「「退屈」のような挑発的なコンセプトを扱う場合、抑制と歓喜の間のスイートスポットを見つけるために、広範囲にプロトタイプを作成する必要があります。」

「優れた製品は、邪魔にならないほどエレガントでシンプルであるべきです。これは退屈なことではありません。Shopifyに依存してビジネスを営む何百万ものユーザーに対する私たちの責任なのです。」

「ユーザーが実際に必要としているものを理解することから始め、それを意図と配慮をもって提供する創造的な方法を見つけるのです」」

Shopify Editions|Winter’25 >>

How to find creative inspiration in ‘boring’ tech updates >>

トゥールーズ=ロートレック

ソフィ・カル

ソフィ・カル

ソフィ・カル

ずっと昔に同じ東京駅周辺でロートレックの展示を見ました。
当時は10代だったのでわかりませんでしたが、ロートレックのタッチはどの作品でも一目瞭然であり、時代の雰囲気を象徴していたのがわかります。
ある時代、場所、カルチャーがひとつのタッチで記憶されるのは、コマーシャルなイラストレーターとして、これほど恵まれたことはないと思います。
手で描かれたタッチが時代を超えていくのは素晴らしいです。

一方でソフィ・カルは作品に添えられたテキストがガイドになって楽しませてくれます。
認知や視覚に関するコンセプトを写真や映像で展示していて、実像と虚像、生と死、などのテーマが身近な事柄から切り出されいる感じです。
そのセンスは率直で軽妙で、親しみがありました。

なぜこの二人なのかは最後までよくわかりませんでしたが、おもしろい展示でした。

2025年1月26日 アート