有名デザイン会社のリーダー職にあるような人たちのインタビュー。
さすが皆さん意識高いです。キーワードは「インクルージョン」のようです。
とくに、ミルトン・グレイサーの言葉は簡潔で説得力があります。
【インクルージョン】
異なる社会文化、個人的特質などさまざまな要素から起きる暗黙的な排斥や区別を取り払い、誰もが対等な関係で関わり合い、社会や組織に参加する機会を提供することを目指すもの。
http://www.humanvalue.co.jp/report/magazine_list/inclusion.html
■ ビジネスを変化させる。
アメリカ政府は会社のようなもので、すぐれた経営者とすぐれたデザインによってこそ、この国は活性化されます。
これからはボトムアップで変革を押し進めるときです。
表現だけでなく、ビジネスや技能においても変化するべきです。
Jennifer Kinon(ヒラリーのキャンペーンンのディレクター)
■ 癒すために働く。
長年にわたりデザイナーは見た目を良くするよりも大きな目的を探していました。
私たちの次の役割は、私たちの国を癒すことのできる寛大な雰囲気を創り出すプロセスの一端を担うことです。
Milton Glaser(グラフィックデザイナー)
■ インクルージョン。
トランプを支持した人たちともコミュニケーションすべきであることを忘れてはいけません。
デザインはウェルカム・マットのように人々を歓迎して、メッセージを受け取れるようにする必要があります。
デザインはインクルージョンであるべきで、そのために私たちは自分たちに偏狭な信条がないか再確認すべきです。
そうでなければ、人々がドアを開けることもないでしょう。
Kim Rees(Periscopic 共同創業者)
■ とにかく、インクルージョン。
都市vs農村、沿岸部vs中部、白人vs黒人vsラテン系 など多くの対立の構図を見せた選挙の結果をみて、他者を知るための革命的な方法が必要だと思います。それは対話です。
この対話はメディアやSNSだけでなく、家庭、職場、公共施設、などリアルの場においても必要です。
Justin Garrett Moore(ニューヨーク市公共デザイン委員会 エグゼクティブディレクター)
■ デザイナーの特性を自覚する。
デザイナーには影響力を持ったリーダーの注目を集める資質があります。
この特性を自覚して、社会システムから疎外されている人々のために共通言語を創り出す必要があります。
Garrett Jacobs(Open Architecture Collaborative エグゼクティブディレクター)
■ ソーシャルネットワークの再構築
複雑な問題の過度な単純化を助長しないソーシャルネットワークが必要です。
意味のない投稿や短絡的な「いいね」ではなく、
有意義な会話や異なる視点を持つ人々の間での意見交換ができるように。
Paddy Harrington(グラフィックデザイナー Frontier Co.創業者)
■ 気高くあろう。
トランプに反対している人たちに、トランプが大統領になるには(こんな恥ずかしい方法ではなく)もっと良い方法があったことを教えてあげよう。
私の経験からすると、他の人と何かをやり遂げるための唯一の方法は、みんなにとって何が最善かを考えることです。
この前提に立たなけれな決してうまくいきません。
この前提に立つならば、私たちはトランプにチャンスを与えるべきです。
Khoi Vinh(グラフィックデザイナー)
■ やったことないことをやってみよう。
失望しています。デザイナーとしては何かをする必要があります。
リスクを負って、いままでになかったことをするべきです。
デザイナーは一生懸命働いて輝きを増して、先導していくべきです。
Bobby C. Martin(グラフィックデザイナー The Original Champions of Design共同創業者)
■ 公共領域のデザインに焦点を当てる。
断固としてオープンで公正な市民社会を信じる私たちは、自由、平等、友愛 の価値を進め続けます。
建築家として、公共領域のデザインを充実させて、社会的軋轢、無知との戦い、平等の構築、新たな世界の都市生態学の創造に役立つ公共施設やインフラストラクチャーへの取り組みを強化していきます。
Vishaan Chakrabarti(建築家 Practice for Architecture and Urbanism創業者)
■ 愛は憎しみに勝つ。Love trumps hate (in art)
トランプを嘲笑したり、サポーターを暴行してる場合ではありません。
あなたのスキルを使って、他人をサポートするアートをつくりましょう。
共感を奨励したり、極度の保守的な政策によって一番打撃を受けた人に愛と支援を示しましょう。
女性、LGBT、差別、イスラム教徒、最近の移民の人々の権利のために戦う組織をサポートしましょう。
Jessica Hische(タイプデザイナー イラストレーター)
■ サステイナブルデザインの実践。
プロのデザイナーは問題に取り組んで解決する者です。
連邦議会は問題解決の能力を失いつつあり、気象変動などの複雑な問題の解決も民間レベルの専門家に移行しつつあります。州や地方レベルの緊急の課題についても連邦政府は認識できていません。
複雑な問題ですが、複雑な問題こそが革新的なソリューションを導きます。
データとデザインを学んで、自分たちのできる限りのサステイナブルデザインを実践しましょう。
クライアントのコストは関係ありません。デザインはコストではなくナレッジです。
問題を深く理解して、サステイナブルデザインの実践に取り組みましょう。
Ed Mazria(Architecture2030 創業者)
(※これについては、いまひとつ意味がわかりませんでした・・・)
■ 地域社会へ。
地域社会のなかで建築家やデザイナーの役割をポジティブに捉えてください。
大統領選挙の結果よりも、地域レベルの政治や政策こそが人々の生活に直接的に影響を及ぼします。
これから先どうなるかわかりませんが、
プロデザイナーのコミュニティが地域社会の改善に引き続き焦点を当てることを知って、安堵と誇りを感じています。
Phil Freelon(建築家 Perkins+Will Global デザインディレクター)
■ 本当の共感をもってデザインする。
すぐれたデザインには、洞察力、共感、誰のために何を解決するかについての理解と知識が必要です。
デザイナーはこの選挙でデータだけを見て、人の感情を忘れていました。
選挙に関わるデザイナーには選挙区民についての深い理解が必要です。
彼らはどこに住んでいる、どんな人なのか。
デザイナーは人を理解するスキルを持たなくてはなりません。
Doreen Lorenzo(テキサス大学統合デザインセンターディレクター Vidlet創業者)
■ 差異を受け入れて働く。
私たちはお互いの差異を受け入れて、話し合い、前進する機会を与えられるべきです。
「善いデザインは、善い体験を提供し、すべての人に優しい。」
Yves Béhar(Fuseproject創業者)
■ 人間らしく行動する。
経済不安に直面するでしょう。景気後退の可能性があります。
善人であれば、外国人排斥と差別主義のこの国で学んで働きたいとは思わないでしょう。
私も私の同僚の大半もこの国を離れることを選ぶかもしれません。
さらに多くのヘイトクライムを体験することになるかもしれません。
テロへの病的な疑り深さをやめることもできません。
人間として何ができるかを理解していない限り、前進するためにデザイナーとして何ができるのかはわかりません。
NewYorker誌のDavid Remnickの記事は、この感情をよく捉えています。
「絶望は答えではありません。権威主義と闘うこと、偽りを暴くこと、アメリカの理念に基づいて抵抗すること、それが私たちに残されていることです。いま私たちにできることのすべてです。」
Natasha Jen(グラフィックデザイナー Pentagramパートナー)
自分のデザインについての思慮の浅さが恥ずかしくなります。
社会に対してデザインが何をすべきか。ということを、みなさん深刻に考えているようです。
そうせざるを得ないほどの大きな変化が起きているということでしょう。
これからAIも登場してくることだし・・・
仕事を受注して多様なツールをうまく使ってソツなくデザインするだけでは、ただ仕事がなくなるだけじゃなくて、この社会にデザイナーの居場所もなくなるのかも。
上の動画は、貯蓄口座(saving)の残高と支払い口座の残高(Balance)を鳩時計の鎖にぶらさげたおもりのように表示してくれるデバイスだそうです。このデバイスが間違って表示されていたり、ハッキングされていたりしたら・・・とても怖いです(苦笑)
インターネットの常時接続された世界で、抽象的に状況を把握して、危険や安全を知らせてくれるデバイス。AIが一般化していくにつれて、こういうデバイスはこれから増えていくような気がします。
「抽象的に情報を把握できる」って、情報過多の環境のなかで健全で良いことのように思えます。
ケヴィン・ケリーは『WIRED』の創刊編集長。
ネットとウェブ全体をひとつのマシンであり、デバイスはそのマシンのインターフェイスの一部だということのようです。
SFっぽく聞こえますが、ウェブの基本を踏まえたおもしろい話。
このマシンとデバイスの関係は、これからさらに進んでいくのでしょう。
巨大なマシンとしてのウェブと「インターフェイス」としてのデバイスで、なんでもできるようになるのかも。
それでも、個人的には「道具」としてのデバイスを手放したくはないと思っています。
うまく説明できないのですが・・・
19世紀の職人は自前の道具を持ち込んで仕事をしていたそうです。
20世紀になってその道具は企業によって標準化され、
標準化された道具を規則通りに使う労働者が登場した・・・という話。
同じことがウェブで起きてるようにも感じています。
80年代っぽい音楽が出来上がりそうなスタジオ(笑)
自分では楽器がまったく演奏できないのでよくわかりませんが、すごくおもしろそう。
テクノロジーだけじゃなくて、そこにある無茶なアイデアがロックな感じでいいです。
自動走行、燃料電池、常時接続 などなど、自動車テクノロジーの未来を夢いっぱいに描いたコンセプトムービー。
楽しそうな仕事です。
もっとリアルに描いてほしい気もしますが、どこか懐かしい未来。
こういうのが21世紀のモトラマなのかも。
くわしくはこちら
http://wired.jp/2016/04/26/hondas-groovy-vision-future-self-driving-car-travel/
ウェブで検索して調べる・・・という時代が終わって、チャットボットに話しかけて調べたり、サービスを利用したりするようになる?
いろんなブランドや企業がそれぞれに、洗練された自前のチャットボットを提供するようになるんでしょうか?
洗練されたチャットボットを作るのはとても難しいことのように思えますが、そこはAIとかディープラーニングとかでなんとかなるんでしょうか?
もしそうなるなら、ウェブは今までとまったく違うものになっていきそう。
でも、そうはならないかも。
くわしくはこちら
http://jp.techcrunch.com/2016/04/13/20160412agents-on-messenger/
ウェブがますますユーザーを囲い込んで閉じたものになっていくような気もします。
001年宇宙の旅の、あの世界をコンセプトアートをデザインしたHarry Langeの本『THE 2001 FILE』。
モダンでかっこいいです。
当時はコンセプトアートって言葉はなかったかも。
「今現在の延長線上にある未来」というコンセプトを絶妙に表現した素晴らしいデザインだと思います。
最初はキューブリックから手塚治虫にオファーがあったそうですが、手塚治虫がデザインしたらどうなっていたでしょうかね?
コンピューティングはこれまで10〜15年周期で時代が変わって来たそうです。
これまでの時代を、パソコン時代、インターネット時代、モバイル時代として、それぞれの時代には、創成期と発展期があるそうです。
現在はモバイル時代の発展期であり、次の時代の創成期を迎えようとしています。
下の記事はこれからの10〜15年の未来の展望だそうです。
ハードウェアは小さくて、安価で、ネットワークに常時接続になる。
ハードウェアはでいくつものセンサーを備えて、高性能なものになるそうです。
AI(人工知能)がソフトウェアを飛躍的に洗練されたものしていくベースになる。
しかも、AIはオープンソースになって、プログラマに多大な恩恵をもたらしそうです。
それらがもたらす新しいコンピューティングのプラットフォームは、自動車、ドローン、IoT、ウェアラブル、VR、ARになるようです。
おもしろい記事です。
それぞれの時代を少しでも知っていると、余計に楽しめます。
個人的には、現在のスマホに代表されるモバイル時代は、それまでの時代が持っていた「オープン性」を失いつつあるように感じます。インターネット時代の全世界的で急速は発展はこの「オープン性」によってもたらされたと思っています。ですが、スマホは、デバイスとして閉鎖的に思えます。
この閉鎖性ゆえに、今後のコンピューティングは成長が鈍化していくように思っています。
スマホは、これまでのコンピューティングとは違う成長を続けているのかもしれません。
これからの未来は、これまでのコンピューティングの延長線上ではなく、複数の方向に伸びてゆくかも。
オリンピック関連の騒動でも、デザイナーの自己イメージと世間が求めるデザイナー像が乖離していたような感じだった。
デザイナーへの期待が変わりつつあるなかで、たびたび再投影されるレガシーなデザイナー像と軋轢が起きてる感じ。デザイナーとしての自己イメージを外に出すときには注意が必要になりそう。
「本質は変わらない」というテーマを繰り返しているうちに、取り残されそう。
アップデートする必要を感じた1年。
これまでの延長線上で継続するよりも新しい方法が必要らしい。
個人的にもその機会を見過ごさないように。
「技術」もそうだけど「物の見方」と「関係性」をアップデートする必要がありそう。
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