ずっと前に展覧会に行ったらご本人が作品を説明していました。
1970年代の実物の印刷物のポスターを自分でパネルに貼ったと言っていたのを覚えています。
展示されていた作品は詩的で、必然性があって、扱っている内容(コンテンツ)への熱意を感じました。
「デザインは姿勢(アティテュード)である」という理念のとおりの作品で、グラフィックデザイナーのポリシーとしてお手本のように思えました。
広告界の重鎮ジョージ・ロイスは、MoMAに収蔵されるようなエスクワイア誌の表紙やMTV初期のキャンペーン「I want my MTV」を手掛けた人。その彼が今日のブランディングや広告業界の若手にアドバイスしてくれているようです。
翻訳が間違ってるかもしれませんが、いくつか引用・・・
「私はデザインを見せるようなことは決してしてこなかった。私は単純明快なアイデアを見せたんだ。」
「私はデザインについて話したりしない。アイデアの話をしたんだ。」
「私は優れたアイデアを生み出したりしない。プロダクトとマーケットと競合を理解すればそこにアイデアがある。それを実行すればいいんだ。」
「今日の代理店の若い才能ある人たちに、上司から離れて話を聞けば、どれほど惨めな仕事をしているかを泣いて訴えるだろう。」
「私は若手には広告業界で誰もがやっているようなことはしないように教えようとしています。・・・自分の本能に従ってアイデアを考えれば、ビジネスを救い、新しいブランドを生み出すことができるでしょう。」
「若い人たちがパソコンで何かをしているので「何をしているんだ?」と聞くと「調べています。」と答えます。それではダメです。自分自身と働いてください。あなた自身の才能で大きなアイデアを思いついてください。自分の脳を使ってください。」
「広告業界ではデザイナーを含めた大きなグループで仕事を進めますが、これがあまり機能しません。わたしはこれを「グループ酔い」と呼んでいます。まず、あなたは自分の才能を持たなくてはなりません。」
惰性と慣習のグループ・ワークよりも個々の才能や創造性を活かすべきだと話しているようです。
まったく古いタイプの広告マンとも言えるでしょうが、これからの未来ではまた大切なことなのかも。
この春から広告業界のデザイナーになった人の励ましになれば。
元記事はこちら
Ad Legend George Lois: Magazine Covers Are “Trash Today” >>
シド・ミード、84歳だそうです。
新作のブレードランナーのためにもスケッチを描いて監督に送っていたそうです。
砂漠に埋もれたあのホテルのイメージがそうなのかも。
インタビューのなかのシド・ミードの言葉・・・、
「いまやコンピュータは、人を完全に信じ込ませるだけの物、風景、その他の視覚効果を生み出すことができます。しかしデザイナーやアーティストとしてあなたが想像力を働かせる必要性に変わりはありません。」
「あなたはまだ絵を描くことができなければなりません。コンピュータはツールです。ツールは常に変化しますが、デザインすることややシナリオをつくることは依然として創造的な能力です。」
元記事はこちら
How “Blade Runner” Artist Syd Mead Designed Las Vegas Of 2049 >>
「自分のアートのためにリスクを取れ。
クライアントに話すのも恐ろしいアイデアがある。
彼らは拒否する。当然だ。
それでも自分の内なる声を聞いて、その理論を構築するんだ。」
すごく力強いメッセージ(笑)
この映像は予告版で、本編は15のレッスンがあって90ドルでエントリーできるようです。
この春からスタートするらしいです。
Netflixオリジナルのドキュメンタリー番組だそうです。
デザイナーがスター扱いされてるのはあんまり好きではないのですが、この番組はおもしろそう。
ポーラ・シェア、クリストフ・ニーマンは見てみたいです。
おもしろい推測。
もともと存在しなかった職種もありそうですし、今後も存在しない職種もありそうです。
デザイナーがビジネスで望まれる職能を肩書きとして名乗ろうとすると、胡散臭いものになるようです(笑)
今後はどんなデザイン職種が登場して、どんなデザイン職種が消えていくのか・・・フロッグデザイン、アーチファクト、イデオのようなデザイン会社のリーダーの意見だそうですが、必ずそうなる! というわけではないようです。
消える職種:UXデザイナー
むしろこれから増えそうな気がしますが・・・
職域が広がりすぎているし、変化が早くて、昨年のUXデザイナーは今年のUXデザイナーの定義とは違ってしまっていると指摘されてます。
最近のUXデザイナーの定義は「民主的な手法でフレンドリーなGUIをつくるデザイナー」となってるようです。
消える職種:ビジュアルデザイナー
アプリやウェブサービスなどの分野では、見た目をデザインするだけではダメだそうです。
そういったビジュアル要素のデザインはUXの担当者が作成するワイヤーフレーム(個人的にはそれはワイヤーフレームの誤用だとも思いますが・・・)に取って代わられてしまうようです。
ルックスのアイデアではなく、実装してプロトタイピングできるスキルが必要だそうです。
今後はアルゴリズムとAIで高レベルのテンプレートに基づいて、夥しいバリエーションが即座に提示されるようになるらしい。(すでになりはじめてるそうです。)
ビジュアルだけのデザイナーには、厳しい未来が待ってるようです。
消える職種:デザインリサーチ
どんなデザイナーも自分の職域とクライアントの望むことについてリサーチをすることができるし、その手法を身につけるべきだそうです。
さらに、これからAIやアルゴリズムなどのテクノロジーが介在するデザインでは、従来のデザインリサーチは価値がなくなるそうです。
※個人的にはそうは思えませんが・・。
消える職種:昔ながらのインダストリアルデザイナー
古典的な教育を受けたインダストリアルデザイナーは造形に対して過剰に彫刻的な意識をもって、絶滅していく運命にあるそうです。
形態ではなく、機能をデザインして、UXをデザインできなくてはいけないそうです。
消える職種:チーフデザインオフィサー
デザイン幹部職は余計な存在であり、消え去るべきだそうです(笑)
デザイナーをうまく機能させる役割としは有り得るかも。
そして、ここからは今後成長が見込まれるデザイン職。
成長する職種:バーチャル インタラクション デザイナー
VRやARは建築から医療まであらゆる分野で今後の成長が見込まれています。
没入感たっぷりのゴーグルのなかの世界をデザインして、VIデザイナーになるべきかも。
成長する職種:特殊素材デザイナー
スポーツとか医療向けなどの特殊な素材を用いて、ウェアラブルであったり触覚的であったりする製品をデザインするデザイナー。
成長する職種:アルゴリズムデザイナー/AIデザイナー
ヒューマンセンタードデザイン、エクスペリエンスデザイン、と来て、次はアルゴリズムのデザインだそうです。
システムの振る舞いをデザインして、UXに繋げることがデザイナーに求めらるようになるそう。
※この取材のなかでデザイン会社のリーダーの多くは、デザイナーの職能がアルゴリズムやAIに取って代わられることを危惧していたそうです!!
成長する職種:ポスト工業デザイナー
電動歯ブラシがネットに接続してアプリと連携していたら・・・。
常時接続された世界を前提とした工業デザインのことのようです。「機能」と「形態」だけでなく「体験」も含めて工業デザインとして取り組むことが求められているようです。
※「消える職種:昔ながらのインダストリアルデザイナー」の逆の職能のようです。
成長する職種:デザインストラテジスト
デザイン戦略はこれから重要になるそうです。
どんどん複雑になっていくシステムやテクノロジーを理解したうえで、変わりやすい動向に適切な判断ができるデザイナー。
※この職種は企業内で先行的にデザインを検討する職種のようです。
成長する職種:組織デザイナー
人材と組織構成で創造的な組織を作り上げていく役割だそうです。
※これは日本では有り得ないかも・・・。
成長する職種:フリーランスデザイナー
プロジェクトにとって適切なスキルを持ったデザイナーが、AIによって選ばれるようになる(!?)
専門性、有効性のあるスキルを提示できるうえに適応力のあるデザイナーは、フリーランスとして国際的な大規模プロジェクトに参加するようになる。
※これはブラックでディストピアな未来になるかもで、かなりそうなりそうな気がします。
順調に資金が集まってるようです。
どんな映画になるでしょうか。
府中のィーター・ラムス展で見た製品は本当に美しくて、展示されていた製品の数も圧巻でした。
展示備品のMacとおよそ50年の時代を超えて呼応してました。
図録を買わなかったのを後悔してます。
ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの教員のモニカ・パリンダーによる2000年のエッセイ、『天才のチェックリスト』だそうです。
1. クリエイター
アーティスト、作家、サイエンティストなどで、一般人より格上とされ神聖化される。
遠い昔だったら創造主である神の預言者。
2. 特異な個人
先駆的な孤高のアウトサイダー。
3. 狂人
狂気をはらんだ天才。
4.直感的
直感的な人の作品は「無垢」で「純粋」であるので、真似できないし分析もできない。
5. 先駆者
今よりも前の時代に先駆けていた。
時代に受け入れられずに「狂人」とされた。
これらは、デザイナーをスターに見せようとする記事に見られるそうです。
これらを使って自分自身を語ろうとするデザイナーもいるとか。
これらによって語られたデザイナー像に憧れる若者も後を絶たないことでしょう。
こういうエッセイを書いた人を教員にするロイヤル・カレッジ・オブ・アートは良い学校(笑)
これからの社会でデザイナーが果たす役割と、そこでのデザイナー像は、また変わっていくのかも。
くわしくはこちら >> 『The myth of genius』
iPadにスタイラスで描くのではなく、アイデアを考えるのはやはり紙にペンのようです。
多くが罫やグリッドがない無地のノート。
ペンタグラムやIDEOのデザイナー、MONOTYPEのタイプフェイスデザイナー、デザインコンサルタント など、それぞれに特徴があって興味深いです。
緻密な人もいれば、いいかげんに見える人も。
かつてのグラフィックデザイナーがウェブデザイナーになってこれからはUXデザイナーに・・・というように時代によってデザインに求められる能力とその仕事は変わっていくようです。
デザイナーを取り巻く環境とデザイナーに求めらる要件が変わっていくことに正しく対応できれば、デザインの進歩や進化を促進し、デザインの領域を拡張していくことになるでしょう。
ただし、学校で4年間かけて学んだことを、仕事として5年間続けることさえ困難な時代なのかもしれません。
以下は、近い将来こういうデザイナーが登場して、こういう能力を発揮するようになる・・・という予想だそうです。
■拡張現実デザイナー
VR技術のデザイナーで、エンターテインメント、教育、医療などの現場で最適な臨場感と体験を提供するようです。
■アバタープログラマー
有名人をデジタルで表現するデザイナーのようです。
映像、ゲームなどに提供されて、AIとも連携して相応しいキャラクターをデザインするようです。
■チーフ・デザイン・オフィサー
ビジネス戦略上のデザイン全般の最適化をする仕事だそうです。
最終的なアウトプットのデザインではなく、全体に関わる根幹的なデザイン。
■チーフ・ドローン・エクスペリエンス・デザイナー
Amazonのドローン宅配のような自動化されるサービスのUXをデザインするようです。
■指揮者
個々のモノやサービスがもたらす複雑さからユーザーに望まれる最適な選択を提供できるようなデザインのようです。
そのために、オーケストラの指揮者のように個々の楽器の演奏者をひとつにまとめて創造的な仕事をするような能力が大切になるそうです。
■サイバネティック・ディレクター
アートディレクターと連携して、パーソナライズされたメディアサービスにおけるブランドイメージの構築を担うようです。プログラミングされたビジュアルデザインを展開・運用するイメージのようですが・・・難しくてよくわからないです・・・。
■コンシェルジュサービス・ディレクター
小売業において、ビッグデータを活用して富裕層顧客向けのサービスをデザインするようです。
(これは、デザインと呼べるのかな?)
■モノのインタラクションデザイナー
スクリーンでなく、生活空間のなかに実在するものでインタラクションを実現するデザイン。
(これは興味深いデザインの分野になりそう。)
ほかにもたくさん紹介されてます。
くわしくはこちら
どうやら、未来のデザイナーは、ユーザーに愛される具体的なものを作るために細部までゆきとどいたデザインをするのではなく、ユーザーに最適なUXを提供するために概念や状況をプログラム的にデザインしていくことになるようです。
そのデザイナーたちは創造的にテクノロジーに精通して、ビジネス全体を統合的に判断できるジェネラリストであり、多様な相手とうまくコラボレーションできるようです。
ちょっと望み過ぎな感じもしますが、どうなんでしょう?
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