グラフィック・ノンフィクション「Diaries of War」表紙

グラフィック・ノンフィクション「Diaries of War」

グラフィック・ノンフィクション「Diaries of War」

グラフィック・ノンフィクション「Diaries of War」

ベストセラー作家のノーラ・クルーグさんは、戦争が始まってからの1年間、ロシア生まれのウクライナ人ジャーナリスト「Kさん」とサンクトペテルブルク出身のロシア人アーティスト「Dさん」とチャットで連絡を取り続けたそうです。

リンク先の記事には、制作過程の生々しさが綴られています。
イラストレーションの感情面についてとジャーナリズム的な視点が素晴らしいです。

「メディアで戦争について読んだのとは違って、個人の体験談は、紛争の壊滅的な影響を理解するための、より感情的な入口になるかもしれないと理解していました。私はKとDに、それぞれの体験についてインタビューして、対照的な彼らの声を並べたイラスト入りの週刊日記を作れないか尋ねた。2人ともすぐに同意してくれました。・・・彼らの日常的な体験を記録するだけでなく、より深く、より実存的なレベルで、戦争が彼らにどのような影響を与えたかを明らかにするために、私は質問を投げかけました。」

「写真が登場する以前、イラストは社会的、政治的に重要な問題を伝える媒体でした。何世紀もの間、絵やイラストは、良くも悪くも、社会や世界についての考え方に影響を与えてきました。イラストレーターとして、私は自分の職業の遺産には責任が伴うことを理解しています。」

「友人や同僚がロシア兵に拉致されたり殺されたりして打ちひしがれていることを語ったKの顔をアップで見せれば、感情の本当の深さが損なわれてしまうでしょう。だから、主人公の顔を見せないように描きました。また、彼らの感情を伝えるために、表情ではなく、外見や身振りの細部に頼りました。それに加えて、匿名性の問題も考慮しなければなりません。」

Diaries of War: illustrator Nora Krug on depicting raw accounts of the war in Ukraine >>

デヴィッド・ホックニー_01

デヴィッド・ホックニー_02

デヴィッド・ホックニー_03

27年ぶりの大型個展だそうです。
「スプリンクラー」を見れたのが良かったです。
「ウォーター近郊の大きな木々またはポスト写真時代の戸外制作」は圧巻でした。
巨大なのに軽妙な印象でした。

どの作品も彼自身の手によって描かれていて、その魅力が彼の筆致によるものであることに、あらためて驚かされます。
60年以上の夥しい点数の作品がそうやって描かれてきたこと、それがデジタル上でも続いていくことは、すごいことだと思います。

いつかNFTとかもやってほしいです。

デイヴィッド・ホックニー展 >>

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デヴィッド・ホックニーのスケッチブック公開

『二人のカラリストの出会い An Encounter of Two Colorists デイヴィッド・ホックニー|福田平八郎』

2023年10月22日 アート

世界屈指のブランドコンサルティング会社 Wolff Olins の共同創設者マイケル・ウルフの自叙伝がKICKSTARTERで出資を募ってます。
こういう本を日本語で出版してほしいです。

マイケル・ウルフは古くはビートルズのアップル・レコードの林檎のシンボルで有名です。
60年代のスウィンギング・ロンドンの時代からの創造性とアイデアとビジネスのストーリーのようです。

クリエイティブ精神とエゴなど、デザイナーが直面する内的な課題についても、長い経験に裏付けられたアドバイスがあるようです。

以下はリンク先の記事から抜粋です。

「スウィンギング ’60sは、1950年代の戦後の後の創造性の爆発でした。物がデザインされたものであること、あるいはデザイナーが存在することさえ知っている人はほとんどいませんでした。 それは、創造性によって推進される全く新しい産業を形成する激しい時期でした。」

「現在、デザインは多額の予算がかかる大事業であり、それが安全策につながります。そしてデジタルは、その素晴らしさにもかかわらず、ある種の当たり障りのないものを押し付けています。」

「創造性が収益性に従属するようになるのは悲しいことです。しかし、私たちがやっていることの要点は、他の人たちと協力し、自分自身を超えて自分自身を伸ばすために自分自身を押し上げることです。自分の限界を超えるのは腹立たしいので、今ではそれを行う人はほとんどいないと思いますが、 それまで存在していなかったものが突然開けるので、素晴らしい気分です。」

「状況は常に変化しています。さまざまなクライアント、さまざまな戦略、さまざまな商取引分野、さまざまな関係者です。しかし、すべての新しい経験から影響を受けて常に進化しているため、状況も異なります。」

「私は昨日の私と同じ人間ですらない。私たちは皆、常に変化しており、その変化を受け入れること、つまり自分が知っていることに固執しないこと、知的かつ創造的に機敏になるのに役立ちます。」

「(共同創設者のウォーリー・オーリンズについて)私たちは信じられないほど補完し合うようになりました。潜在的なクライアントに会いに行き、それぞれの異なる目を通して見たとき、それは非常にうまくいきました。しかし、徐々に私たちの違いが私たちを引き離しました。ウォーリーとパートナーは Wolff Olins を売却して利益を享受したいと考えていましたが、一方で 私にとってそれは天職であり、それが私たちの間に緊張を生み出しました。」

「他人の創造性を尊重することを学ぶことは、Wolff Olinsの構築において非常に重要なガイドとなりました。文化を発展させ、育てる際、私は自分の創造的なエゴを置いて他の人々が輝けるようにする必要がありました。私にとって重要なのは、他人に特別な点を認識することで、自分の見たいものを見るのではなく、他人の創造性のルーツを尊重し、それが私たち全員が共同で行うことをどのように向上させるかを見ることでした。」

「アイデアを発展させる際、私たちは他のすべてを排除するお気に入りのアイデアに着地することがあります。しかし、そのような貴重なアイデアでも一時的に一旦置いて、さまざまなアイデアの中に深く入っていく必要があります。」

「私たちは皆、デフォルトの位置づけを持っており、それに誤って傾きがちです。それを置いておいて、創造性を再構成する勇気を持つことこそが、本当に素晴らしいアイデアの源です。」

Michael Wolff on his ’first and only’ biography, delving deep into six decades of iconic branding | CREATIVE BOOM >>

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2023年10月14日 デザイナー

Google検索のデザイナーだったElizabeth Larakiさんのツイート。
Googleが作ったテキストボックスのUIが、この20年間の「検索」の決定的なUIデザインだったけど、ChatGPTの画像や動画によるUIで変革の時を迎えているそうです。

いくつか抜粋です。

「私がグーグル検索のデザイナーだった頃、主要な検索エンジンはすべて同じように見えました。
グーグルは、何十億ドルもの広告収入を支える、最適化されたUIを備えたマーケットリーダーだった。
当然のことながら、それが検索結果を表示する方法となった。
その成功により、グーグルが大きなUIの変更を検討することは非論理的となった。
そして、グーグルが行った変更は、他のすべての人々に反映された。
だから20年後、私たちは検索エンジンのUIに漸進的な変化しか見ていない。」

「LLM(大規模言語モデル)の機能を理解し、人々がLLMとどのようにインタラクションするかを定義するのは、まだ早い。
これらは未知の領域です。」

「入力ボックスはシンプルで汎用性があり、親しみやすい。
- わかりやすい → ボックスに質問を入力する。
- 汎用性がある→ボックスはあらゆる種類の質問/クエリーを扱うことができる。
- このパラダイムは非常に馴染みやすい。
このため、LLMは本質的に ”より良いグーグル ”になっている。」

「しかし、先週のChatGPTの発表は、新たな可能性への扉を開くものでした。
ChatGPTは今やマルチモーダルです。」

「私たちは会話ボックスが最良のインターフェイスだと思い込むことで、その可能性を制限している。
今、デザイナーには、真に斬新なインタラクションを生み出し、20年以上前の検索UIのパラダイムを打ち破るチャンスがある。」

検索エンジンはユーザーが感じているほど効率が良いわけでも正しいわけでもないのかも。
ChatGPTがデザインにもたらす変化が、便利なインターフェイスだけのことなのか、私たちの認知経路を根底から変えるようなUXの変化になるのか、興味深いところです。
何年後か経ったら検索エンジンのことを「なぜあんなものを使っていたのか」ということになるかも。

Google検索のUIは、広告と検索結果を混同させる問題を抱えているとも思っています。
それまでのユーザーと広告の文脈を壊して、アドフラウドの温床にもなったと思います。
ChatGPTに広告が導入されるなら、適切なUI/UXであって欲しいと思います。

Elizabeth Laraki >>

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2023年10月7日 UX / UI