SF映画の新しいビジュアルイメージが登場したようです。
AIによるこの不穏な映像は「目に見えるものを信用できない」というこのドラマのテーマに相応しいです。
AIで映像を作るのではなく、空想の世界観の演出としてAIを使うというのがマーヴェルらしくていいです。
驚くことは、これがだれもが使える今日の技術(Stable Diffusionのようです)を利用した映像表現であり、そういう映像がサミュエル・L・ジャクソン主演のマーヴェルの大作のメインビジュアルになる時代なんだということ。
ただちょっと、タイトルロゴはこれでいいのか?・・・という気もします。1920年代っぽい感じが狙いなのでしょうか?
VFXの終わりが来たと言われてるようですが、「緑色のエイリアンやら何やらが出てくるタイトルシークエンスを作ってくれ」というプロンプトだけで出来上がるわけではなさそうです。
手掛けたのは 視覚効果会社の Method Studios
素晴らしいVFXを制作している会社です。
時節に乗ってタイミングが良く、演出として適切で作品に相応しく、こうして話題作りをして公開前に盛り上げる。
本物のプロたちの見事な仕事です。
Why Marvel’s ‘Secret Invasion’ title sequence doesn’t spell the end of VFX >>
すべてのショットが画像生成AIによって生成された12分間の映画。
デトロイトの映像制作会社Waymark社による作品です。AIがもたらす不気味さや不完全さを「美的(aesthetic)」として捉えているようです。
「脚本を、OpenAIの画像生成モデルDALL-E 2に渡しました。このモデルが満足のいくスタイルで画像を生成できるように試行錯誤した後、DALL-E 2を使ってすべてのショットを生成しました。そして、静止画に動きをつけるAIツール「D-ID」を使って、目の瞬きや唇の動きなどのアニメーションを作成しました。」
「私たちは、写真の正確さを求める気持ちと戦うのをやめ、DALL-Eという奇妙な存在に傾倒し始めました。」
「DALL-Eが私たちに返してくれたものから、私たちは世界を作り上げました。奇妙な美学ですが、私たちはそれを素直に受け入れました。それがこの映画のルックとなったのです。」
「DALL-Eから、顔の感情的な反応など、ある種のものを得るには、少し苦労しました。しかし、ある時は私たちを喜ばせてくれました。目の前でマジックが起きているようなものです。」
20世紀の実験アニメーションのような、ちょっと好みのテイストになりそうな感じです。
キャラクターの風貌に一貫性がないのでストーリーが追いにくそう。あと、有名な映画のワンシーンや有名な俳優のような顔が登場するのは問題になりそう。
Waymark社は早く安くCM映像を作る方法を探している企業向けに、動画作成ツールを作っているスタートアップです。大規模言語モデル、画像認識、音声合成など、いくつかの異なるAI技術を組み合わせて、ビデオ広告をその場で生成するそうです。月額25ドルからだそうです。
1分程度のコマーシャルを数秒で作成できて、ユーザーは希望すれば、台本をいじったり、画像を編集したり、別の声を選んだりできるそうです。
作例はこちら >>
正直な感想としては、AIの映像を広告や宣伝に使うのは、その映像がどういう責任を果たさなくてはいけないかを考えれば、現実性はとても低いと思います。そういう提案をする映像制作者が信頼を得られるとも思えません。
でも、『The Frost』の続編もあるようですし、他にも実験的な作品はたくさん作られていくようです。
「絵文字やグリッチ効果に代表されるデジタルカルチャーのイメージとは一線を画すものです。新しい美学がどこから生まれてくるのか、とても楽しみです。ジェネレーティブAIは、私たちを映す壊れた鏡のようなものです。」
Welcome to the new surreal. How AI-generated video is changing film | MIT Technology Review >>
ソフィア・コッポラによる昭和の匂いがする映像は東京の新宿で撮影されたそうです。
過去のTVCMの映像のほかに、映画「ロスト・イン・トランスレーション」の映像も使われています。
この豪華なCM出演者の許諾を取り直してるんでしょうか?
かっこいいTVCMにテレビ全盛の時代背景があって、昭和から平成にかけてのサントリーの企業イメージは素晴らしいものでした。
映像には独自のスタイルがあり、明確に想起される企業イメージがあり、ひとつのカルチャーになってました。
各業界にそれぞれサントリーのような企業があって、業界のイメージを先導して、広告美術を牽引していた気がします。
時代が変って、ウェブやYouTubeやSNSなどなど映像を掲出するメディアは増えて、映像制作の過程はデジタル化されて表現手法が増えたのに、なぜ企業の映像は平板になって、企業イメージはテンプレート化してしまったのか・・・という大きな疑問が横たわっている気がします。
建築の詳しいことがわからないですが、とても興味深い活動でした。
Web3が理想として掲げていることと通じるものがあるような気がしました。
「建築の計画/設計/施工/使用を同じ地平でとらえ直し、そのすべての過程に取り組むことにあります。⼿に届く範囲にある材料や人⼿、知己や地縁までも資源としてその⼒を総動員することで、すべての人が⾃ら使う建築の創造に能動的に関わる可能性をテーマにしています。・・・現実に柔軟に対応しながら継続的に関わり続けていくことで、そこにふさわしい場所が徐々に⽴ち上っていきます。それら彼らが「⼩さな⾃治空間」と呼ぶものを⽣み出す⼒学(POLITICS OF LIVING)こそが、現状を突破し社会を変革する鍵だとしています。」
その場所、暮らす人、変化することに柔軟に対応しながら、そこにしかあり得ないデザイン。
コミュニティを形成していくデザイン。
そういう建築の試行錯誤が見えておもしろかったです。
建築はスタティックなデザインであり、ダイナミックなデザインはグラフィックやウェブのような分野のデザインとされていたように思います。
建築とか社会制度のような「変わらないもの」「変えないもの」と思われていたデザインが、「個人」を起点にした流動敵なデザインを取り入れるようになる気もしました。
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