大規模なリブランドの背後にいるデザイナー、リサ・スミス の手法。

大規模なリブランドの背後にいるデザイナーLisa_Smith

Jones Knowles Ritchie社のリサ・スミスは、ヴィクトリア&アルバート博物館やChobaniのインハウスデザイナーでした、そのあとWolff Olins社では、USA Today、Zocdoc、Grubhub、そして物議を醸したメトロポリタン美術館などのリブランディングを手掛けたそうです。

以下は抜粋です。

スミスはまず、担当するブランドのストーリーをひとつの指針となるフレーズに集約します。
そのストーリーをビジュアルデザインで表現することから始めるそうです。
過去と未来をつなぐアイデアを核として、まったく新しいビジョンを提示します。
そのため、ブランドに元からある美的感覚を壊すこともあります。
つまり、リサ・スミスに既存のデザインのリフレッシュを依頼するのは間違ってるそうです。

「私は小変更が苦手です。私がお役に立てるのは、あなたのビジネスの大きな課題を解決する必要がある場合です。」

2013年に手掛けたメトロポリタン美術館のリブランディングは、古くからのファンに酷評されたそうです。
スミスは美術館の何千もの印刷物やデジタル資産を調査し、さらに世界の主要美術館のブランディングを分析。8ヵ月をかけて、ひとつのフレーズ「Life to Art, Art to Life. 」に集約された新しい戦略をデザインしました。
デジタルメディアや案内表示を、統一されたブランディングによって、アクセスしやすくしました。
従来のロゴであるダヴィンチのアルファベットを模した「M」をやめ、つながりを意味する文字の組み合わせにしました。
批判を受けても、彼女がデザインしたとおりに機能しています。一目でそれとわかるデザインであり、美術館の使命を明確に表現しています。

「メトロポリタン美術館の重厚さと威厳を持ち、同時に、誰もが利用できる施設として、より歓迎され、開放的で親しみやすくする必要がありました。」
「あんなに嫌われた経験はありませんでした。」

Chobani社のヨーグルトのリブランディングでは「Happily ever after」というフレーズがありましたが、スミスは、Chobaniの創業者であるハムディ・ウルカヤが、美味しくて手に入りやすい栄養価の高い食品を提供する羊飼いであり、倫理的な食の実践のための戦士であるという話を読んで、このフレーズを「Fighting for happily ever」に作り替えたそうです。
ブランドアイデンティティ、ウェブサイト、カフェ、パッケージなどを一新したそうです。
このリブランディングは、ヒューマニストで個性的なレトロデザインのトレンドを生み出して、過去10年間のブランディングの大半を占めていたフラットで機能的なミニマリズムを押し退けました。
消費者向けパッケージ商品や多くの企業のブランディングがより親しみやすいものになった大きな理由です。
表情豊かなふにゃふにゃのセリフを持つこの書体のスタイルは、メガブランドから新興企業まで、ここ数年のトレンドになっています。

Burger Kingのリブランドは「Your way, way better」というフレーズに集約されました。
Petco、Snapple、Foursquareなどの最近のリブランディングでは、いずれもコバルトブルーとサンセリフ体の書体でしたが、スミスは、企業ブランドがデジタルフレンドリーなフラットデザインを採用しながらも、独自のアイデンティティを維持できることを示しました。
Ad Ageによる調査では、Burger Kingのパッケージの好意度がMcDonald’sを上回ったそうです。

「デザインは、意図的な変化をもたらすためのものです。」

これは、ストーリーテリングの考え方に基づいているようで、ブランディングの適切な手法だと思います。
このためには、ブランドのストーリーにまつわる、歴史、ポリシー、ヘリテージ、将来のビジョンなどを調べ尽くして、理解し、客観的視点で現在の価値観に照らし合わせるハードワークが想像されます。

地道なハードワークに裏付けられた戦略に沿って、派手で個性的なデザインを展開するのは素晴らしいです。強いハートと、絶妙なバランス感覚なのだと思います。

The biggest rebrands of the decade have this visionary designer in common >>

BURGER KING’S NEW LOOK EDGES OUT MCDONALD’S, NEW POLL SHOWS >>

【関連記事】バーガーキングの20年ぶりの「食べてみたくなる」リブランディング >>

Leave a Comment