90年代っぽいイメージでおもしろかったです。
『シネマ・インフェルノ』という短編映画の世界観がインスタレーションで再現されていて、映画の中に登場する服も展示されていました。
詳しく分からないのですが、展示されている服の素材や作り方のクオリティはスゴそうでした。
映画は別のフロアの鏡貼りの部屋で上映されていました。
映画も展示も90年代のU2の ZOO TV を思い出して懐かしくもありました。
映画、服、演劇、身体、など多くの要素を扱った演出とまとめ方がおもしろかったです。
ラグジュアリーなこの服は、物語を纏っていて、ひとつのファンタジーなのだということのようです。
会場の入り口や、映画が上映されている部屋へ穴の中に入っていくような演出、ウサギのモチーフ、足跡を追う形式の展示など、不思議の国のアリスなのだろうと思います。
「服作りのプロセスで、私は感情に訴えて記憶を生成します。それがドレスメーキングとストーリーテリングの本質的な関係を生み、私のオートクチュールへのアプローチの基盤となっているのです。」ジョン・ガリアーノ
frog design を創設したエスリンガーは反骨精神の人です。
「『機能に従う』はダメなデザインの言い訳になり下がってる。・・・人は自身の感情で納得したいんだ。合理性に納得したいのではない。」
とも言っています。
UIキットは便利で、疑うことなくコスト削減になりますが、UIキットの利用と運用をルール化することは、社内の物の見方を平準化してしまうような気もしています。型破りな物の見方を抱えているデザイン組織の方が魅力的な気もします。
やや関係ない話ですが・・・
多様な製品やサービスを網羅するサイトを構築するときに、それらの多様さを包括できるデザインを考えることに夢中になったことがありました。多様さを包括して一貫性があり、さらに魅力的なブランドイメージを備えたデザインは難しいです。
クライアントからはデザインの完成度や統一感よりも、
・それぞれの製品やサービスに関する情報がサイトから頻繁に発信されるようになること
・その情報発信に各部門の関係者が主体的に関与できるようにすること
が重要であると伝えられました。これは発想の転換になりました。
素晴らしいデザインがサイトに掲げられていることよりも、多くの人の関与を受けながら動き続けていることの方が大切で、デザインはその役に立つことができると思えました。
創設者の思想をベースにしている「メタクロシス」のデザインは素晴らしいと思います。
以下は引用です。
工業デザイナーのハルトムート・エスリンガーは、デザイン会社の公式両生類マスコットにブラジル産のアマガエル、フリードリンを選びました。
メタクロシスとは、一部の動物が持っている、周囲の状況に応じて色や外見を変える能力のことです。カエルのデザイン理念の中核をなすのは、柔軟性、適応性、そして生存のための変化へのコミットメントです。
デザイン・システムは、製品組織ではしばしば不評を買うが、創造性の高い組織ではなおさらです。日々の仕事の目的や性質が革新的であり、既成の秩序に逆らうことでさえあるクリエイティブな人々が、デザイン・システムに従うことを提案されたとき、抵抗にあうことがあるます。
システムに従うことは健全な懐疑心を持って扱われることがあります。
「デザイナー、エンジニア、QAスペシャリストを組み合わせてボタンをデザイン、製造、テストするとしよう。これらのスタッフの人件費が1時間100ドルで、このレベルの品質でボタンをデザイン、製造、テストするのに、この3人のチームを合わせて200時間かかるとすると、ボタンのコストは20,000ドルになる。もし、あなたの企業が50のチームでそれぞれボタンを作っているとすれば、良いボタンを作るために100万ドルのコストがかかることになる。」
最新かつ最高の機能(自動レイアウト、バリアント・プロパティ、内蔵のインタラクティブ・アニメーション)をすべて備えた、ホワイトラベルのFigmaコンポーネント・ライブラリの作成を考えていました。
Project Metachrosis: How We Turned a UI Kit into a Global Movement >>
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自分自身がAIではないことを証明するためにデジタルIDが必要になるかもです。
誰がAIをどう使っているのかもわかるようになるのでしょうか?
これはすごく理に適ってる気がします。
ベーシックインカムの理想も崇高だと思います。
壮大な社会実験のようですが「オーブ」で虹彩を登録するのは少し怖いです。
(WorldIDが発行されたら虹彩のデータは消去法されるのかも)
ネットと人と経済の関係性が、大きく変わろうとしてる気がします。
数年後には全く違うことになってるかも。
以下はサイトからの引用です。壮大なステートメントです。
3年以上前、私たちは誰もが所有する新しいアイデンティティと金融ネットワークを作るという野心を持ってWorldcoinを設立しました。成功すれば、Worldcoinは経済的機会を飛躍的に拡大し、プライバシーを守りながらオンラインでAIと人間を区別するための信頼できるソリューションを拡大し、グローバルな民主的プロセスを可能にし、最終的にはAIが資金を提供するUBIへの潜在的な道を示すことができると信じている。
Worldcoinは、プライバシーを保護するデジタルID(World ID)と、法律が許す限り、人間であるというだけで受け取れるデジタル通貨(WLD)で構成されている。米国などルールが明確でない地域では、より多くの人々が両方の恩恵を受けられるような措置が取られることを期待している。
現在、初のプロトコル対応ウォレットであるWorld Appをダウンロードし、シェアを予約することができる。生体認証装置であるOrbを訪れると、World IDが発行される。これにより、完全なプライベート性を保ちながら、オンライン上であなたが実在するユニークな人物であることを証明することができる。オーブの世界的な配布が急ピッチで進んでいるため、World Appやworldcoin.orgで最も近いオーブを見つけ、認証時間を予約することができる。
ワールドコインは、世界規模での連携への試みであり、その道のりは困難であり、結果は不確実である。しかし、来るべき技術的繁栄を広く共有する新しい方法を見つけることは、私たちの時代の重要な課題です。ぜひご参加ください。
アレックス・ブラニア&サム・アルトマン
ターナーが見れてよかったです。
展示の前半の絵画が光をテーマにして試行錯誤する経緯がおもしろかったです。
最後のオラファー・エリアソンもいいです。
自然光による現象から概念的な光に移り変わっていく感じがいいです。
光をテーマにした作品は、どこかSFっぽくなるようです。
惜しいのは、絵画のサイズと点数に対して展示スペースが少し狭い気がしました。
混んでいなければ良かったのかも。
『BOOWTANK』という名前のスピーカー。ウクライナ語で「戦車があった」という意味があるようです。100人規模のライブを盛り上げるのに十分なパワーで、Wi-Fiとブルートゥース接続、ストリーミング・サービスにも接続できるそうです。
戦争でそれまでの造園業ができなくなったマキシム・フジーさんは慈善団体を共同設立して避難支援や人道支援物資の輸送、ウクライナの国防軍に50台以上の車両を供給するなどの活動をしていたそうです。
外観のデザインにおいて重要なことは可能な限り変更しないことだったそうです。
実際の戦場で使用され、使用した人の中には紛争を生き延びられなかった人もいたであろうという事実を尊重したデザインになっています。
「お金を寄付してくれたら、ガレージに置いて忘れてしまうようなものをあげます・・・とは言いたくないんです。人々に役立つ本当に良い製品を提供しなければならないのです。」
「私たちは戦い、もがき、生き残ろうとしています。ダビデとゴリアテのようなもので、生き残るためには、本当に速く、本当に創造的で、本当に責任ある行動をとる必要があります。私たちがこのプロジェクトを始めたのは、やりたかったからではありません。」
「来年には、ウクライナで対戦車システムを見つけることが不可能になっていることを願っています。」
この『BOOWTANK』で救急車3台を購入するための約40,000ドルを得ることを目標としているそうです。
They were Javelin missiles used to fight Russian tanks. Now they’re high-end speakers >>
Вінничани створили акустичну систему, вартістю півмільйона, з відпрацьованого Javelin >>
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ウクライナの戦争で壊滅的な打撃を受けた現地のデザイナーに米国の企業が仕事を依頼している
すでに6月で終了している展示ですが、おもしろかったです。
ブロックチェーンやNFTのコンセプトを利用したアートの展示とトーク。
たしか、トークのなかでNFTアートの作品を「網膜的なアート」と言っていたと思うのですが、これがわかりやすかったです。この展示のほとんどは「網膜的でないアート」ということのようでした。
NFTがもたらすかもしれない社会を、コンセプトアートとして鑑賞している感じ。
以前に90年代のインターネット界隈の雰囲気に似ていると書いたのですが、やはりそれとは根本的に違っている気がしてきました。個人よりも組織的で民主的で、SNS的なキラキラした感じもしました。
パンフレットはテキストが豊富な大作で読みごたえあってよかったです。
【関連記事】 『Proof of X – NFT as New Media Art』@3331 Arts Chiyoda >>
デザイナーが描いたスケッチを元にして、AIで空力性能、シャシー寸法、室内寸法の条件でスケッチのバリエーションを生成してます。生成されたスケッチを元にして、さらにデザイナーが手を加えていくプロセスのようです。
「デザインプロセスを補助する」という役割で有用な気がします。むしろ、好きな形を描いちゃうデザイナーに必要な要件を守らせるAIツールなのかも。現在のデザイナーに必要なのは、こういうツールのような気もしてきます。
要件の多い分野のデザインにこそAIが威力を発揮するようになるなら、デザイナーは考える必要が少なくなっていくかも。
Toyota Creates Text-To-Render Tool To Help Designers Conjure Up Future EVs >>
SF映画の新しいビジュアルイメージが登場したようです。
AIによるこの不穏な映像は「目に見えるものを信用できない」というこのドラマのテーマに相応しいです。
AIで映像を作るのではなく、空想の世界観の演出としてAIを使うというのがマーヴェルらしくていいです。
驚くことは、これがだれもが使える今日の技術(Stable Diffusionのようです)を利用した映像表現であり、そういう映像がサミュエル・L・ジャクソン主演のマーヴェルの大作のメインビジュアルになる時代なんだということ。
ただちょっと、タイトルロゴはこれでいいのか?・・・という気もします。1920年代っぽい感じが狙いなのでしょうか?
VFXの終わりが来たと言われてるようですが、「緑色のエイリアンやら何やらが出てくるタイトルシークエンスを作ってくれ」というプロンプトだけで出来上がるわけではなさそうです。
手掛けたのは 視覚効果会社の Method Studios
素晴らしいVFXを制作している会社です。
時節に乗ってタイミングが良く、演出として適切で作品に相応しく、こうして話題作りをして公開前に盛り上げる。
本物のプロたちの見事な仕事です。
Why Marvel’s ‘Secret Invasion’ title sequence doesn’t spell the end of VFX >>
すべてのショットが画像生成AIによって生成された12分間の映画。
デトロイトの映像制作会社Waymark社による作品です。AIがもたらす不気味さや不完全さを「美的(aesthetic)」として捉えているようです。
「脚本を、OpenAIの画像生成モデルDALL-E 2に渡しました。このモデルが満足のいくスタイルで画像を生成できるように試行錯誤した後、DALL-E 2を使ってすべてのショットを生成しました。そして、静止画に動きをつけるAIツール「D-ID」を使って、目の瞬きや唇の動きなどのアニメーションを作成しました。」
「私たちは、写真の正確さを求める気持ちと戦うのをやめ、DALL-Eという奇妙な存在に傾倒し始めました。」
「DALL-Eが私たちに返してくれたものから、私たちは世界を作り上げました。奇妙な美学ですが、私たちはそれを素直に受け入れました。それがこの映画のルックとなったのです。」
「DALL-Eから、顔の感情的な反応など、ある種のものを得るには、少し苦労しました。しかし、ある時は私たちを喜ばせてくれました。目の前でマジックが起きているようなものです。」
20世紀の実験アニメーションのような、ちょっと好みのテイストになりそうな感じです。
キャラクターの風貌に一貫性がないのでストーリーが追いにくそう。あと、有名な映画のワンシーンや有名な俳優のような顔が登場するのは問題になりそう。
Waymark社は早く安くCM映像を作る方法を探している企業向けに、動画作成ツールを作っているスタートアップです。大規模言語モデル、画像認識、音声合成など、いくつかの異なるAI技術を組み合わせて、ビデオ広告をその場で生成するそうです。月額25ドルからだそうです。
1分程度のコマーシャルを数秒で作成できて、ユーザーは希望すれば、台本をいじったり、画像を編集したり、別の声を選んだりできるそうです。
作例はこちら >>
正直な感想としては、AIの映像を広告や宣伝に使うのは、その映像がどういう責任を果たさなくてはいけないかを考えれば、現実性はとても低いと思います。そういう提案をする映像制作者が信頼を得られるとも思えません。
でも、『The Frost』の続編もあるようですし、他にも実験的な作品はたくさん作られていくようです。
「絵文字やグリッチ効果に代表されるデジタルカルチャーのイメージとは一線を画すものです。新しい美学がどこから生まれてくるのか、とても楽しみです。ジェネレーティブAIは、私たちを映す壊れた鏡のようなものです。」
Welcome to the new surreal. How AI-generated video is changing film | MIT Technology Review >>
ソフィア・コッポラによる昭和の匂いがする映像は東京の新宿で撮影されたそうです。
過去のTVCMの映像のほかに、映画「ロスト・イン・トランスレーション」の映像も使われています。
この豪華なCM出演者の許諾を取り直してるんでしょうか?
かっこいいTVCMにテレビ全盛の時代背景があって、昭和から平成にかけてのサントリーの企業イメージは素晴らしいものでした。
映像には独自のスタイルがあり、明確に想起される企業イメージがあり、ひとつのカルチャーになってました。
各業界にそれぞれサントリーのような企業があって、業界のイメージを先導して、広告美術を牽引していた気がします。
時代が変って、ウェブやYouTubeやSNSなどなど映像を掲出するメディアは増えて、映像制作の過程はデジタル化されて表現手法が増えたのに、なぜ企業の映像は平板になって、企業イメージはテンプレート化してしまったのか・・・という大きな疑問が横たわっている気がします。
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