MIT テクノロジーレビューによる毎年恒例の「ブレイクスルー・テクノロジー10選」。今後数年間で世界に最も大きな影響を与える技術の進化を紹介しています。今年で21年目だそうです。
どれも社会を大きく変える可能性がありそうです。
パスワードの終焉
何十年もの間、私たちはオンラインで何かをするためにパスワードを必要としてきました。しかし、新しい認証方式によって、ついにパスワードが不要になります。その代わりに、電子メール、プッシュ通知、生体スキャンなどによって送られてくるリンクが使われるようになります。これらの方法は、顔を覚える必要がなく簡単であるだけでなく、より安全である傾向があります。
コロナウイルス変異のトラッキング
パンデミックにより、ゲノム解読への投資がかつてないほど行われ、世界中でこの種のモニタリングの能力が劇的に拡大しました。監視の強化により、科学者はコロナウイルスを追跡し、新しい亜種を迅速に発見して警告することができるようになりました。
長寿命なグリッドバッテリー
私たちは、これまで以上に再生可能な電力を利用しています。しかし、太陽が沈んだり、風が止まったりしたらどうなるのでしょう?送電網の運営者は電気を蓄える方法を必要としています。鉄を主成分とする新しい電池は、その役割を果たすかもしれません。鉄を主成分とする新しい電池は、豊富な材料を使って作られており、他のタイプの蓄電池よりも安価で実用的である可能性があります。
タンパク質の構造をAIで実現
私たちの身体は、ほとんどすべてのことをタンパク質で行っています。そして、タンパク質の構造は、その活性を決定します。しかし、タンパク質の構造を解明するには、何ヶ月もかかることがあります。AlphaFold2と呼ばれるAIが、この長年の生物学的パズルを解いたことで、さまざまな病気の治療薬を迅速に設計できるようになるかもしれません。
マラリアワクチン
マラリアは年間60万人以上の命を奪っており、そのほとんどが5歳以下の子どもたちです。世界保健機関(WHO)が承認した新しいマラリア・ワクチンは、毎年何十万人もの命を救うのに役立つ可能性があります。
プルーフ・オブ・ステーク
ビットコインのような暗号通貨は膨大な電力を使用します。これは取引の検証方法によるもので、かなりのコンピューティングパワーを必要とします。「プルーフ・オブ・ステーク」は、それほど多くのエネルギーを使わずに取引を検証する方法を提供します。イーサリアムは今年中にこのシステムに移行する予定で、エネルギー使用量を99.95%削減することができます。
コロナに効く飲み薬
ファイザー社の新薬は、最新の亜種を含むコロナウイルスに対して効果的かつ広範囲な防御を提供する。現在、他の企業も同様の薬を開発している。ワクチンと組み合わせることで、これらの錠剤は世界が最終的にパンデミックから脱却する方法を提供する可能性があります。
実用的な核融合炉
カーボンフリーの無限の電力が期待できることから、研究者たちは何十年にもわたって核融合発電の実現に挑んできた。現在、ある新興企業が2030年代初頭までに、この電力を送電網に供給することを計画している。その設計は、記録を塗り替えた強力な新しい磁石に依存しており、その会社はより小型で安価な原子炉を建設することができるはずです。
AIのための合成データ
AIを鍛えるには、膨大なデータが必要です。しかし、そのデータは雑多であったり、現実世界の偏りを反映していたり、含まれる情報にプライバシーに関する懸念がある場合が多い。こうした問題を回避するために、合成データを作成・販売する企業も出てきています。完璧ではありませんが、AIを訓練するためのより良い方法となるかもしれません。
二酸化炭素除去工場
排出量を削減することは、気候変動を緩和するための重要なステップです。しかし、国連によれば、それだけでは十分ではありません。将来の壊滅的な温暖化を避けるためには、空気中の二酸化炭素を除去することも必要なのです。そのための世界最大の炭素除去工場が、最近アイスランドにオープンしました。
11番目のブレークスルーの投票も募集しているようです。
本当に役に立つAIを作るために、ネット上の画像から学ばせるのではなく、生活する人間の視線(文字通り一人称視点の動画素材)から学習させるプロジェクトだそうです。
Facebook AI Research が世界の13の大学と協力して史上最大の一人称映像のデータセットを作成してます。
「機械は、人間の目を通して世界を本当に理解してこそ、私たちの日常生活を助けることができるのです」
「このデータセットの映像は、人間が世界を観察する方法にかなり近いものです」
収集された一人称映像データセットは、9カ国(米国、英国、インド、日本、イタリア、シンガポール、サウジアラビア、コロンビア、ルワンダ)の73の異なる場所で855人が記録した3025時間のビデオから構成されています。
映像が収集されたあと、ルワンダのクラウドワーカーは、何千ものビデオクリップを合計25万時間かけて見て、撮影されたシーンや活動を説明する何百万ものテキストを書き込みました。これらは、見ているものをAIに理解させるために利用されます。
おもしろいことになりそうなプロジェクトですが、ここで問題視されているのは、Facebookがユーザーのプライバシーへの配慮を欠いていて、広告主へデータを売ってしまってきたことのようです。Facebookはこのプロジェクトについて、幅広い科学コミュニティの発展を促進するための純粋な研究であり、製品への応用や商業利用については、現在のところ何も計画がないとコメントしてるそうです。
Facebook wants machines to see the world through our eyes >>
あくまで噂話のレベルのようですが・・・
iOS14から部分的に稼働されたApple自社製の検索エンジンは、Googleのような広告ベースのビジネスモデルを目指していないようです。
Appleのデバイス、Appleのサービス、Applrのサブスクリプションの収益を最大化させるための検索エンジンになりそう。
このビジネスモデルの場合には、ユーザーのプライバシーについての問題も回避できるようそうです。
このApple検索でGoogleの支配が終わることないでしょうが、もしApple検索がiPhoneユーザーに浸透したら、ネット広告業界は大きく変わっていくことになるかもしれないそうです。
iPhoneユーザーの検索行動がGoogleから見えなくなるなら・・・ネット広告のバランスも変わってくるかも。
Appleは「自社製」を増やしていく方針のようで、これから大きく変わってく気がしてます。
Why an Apple search engine has a real shot at competing with Google >>
イスラエルのプライバシー関連のスタートアップ企業『D-ID』のサービスだそうです。
どういう技術でネット上や防犯カメラの動画を「再合成」するのかわかりませんが、ヨーロッパのGDPRを曲解したうえで違反してるサービスだと議論を呼んでるようです。
「D-ID独自のアルゴリズムは、最先端の画像処理とディープラーニング技術を組み合わせて、特定の写真を保護されたバージョンに再合成します。 D-IDで保護された写真は、反顔認識ソリューションとして機能し、顔認識アルゴリズムでは認識できません。 しかし、人間は違いに気付かないでしょう。 」
B級SFのようなテクノロジー・サービスですが、マーケティングとか世論形成とかで悪用されそうな気もします。
悪用されていることに気づくことすらできないかも。
「ディープ・フェイクは権力者の新しい武器になります。権力のない人々が腐敗を示すために提示しようとしている証拠を『それはフェイク・ニュースだ!』と言えるようになることです。」
ディープ・フェイクが簡単にできるようになるとニセモノであることを立証するために膨大な手間とコストが掛かるようになるそうです。
でも、本当の問題は、本物を本物であると証明するためにはさらに膨大なコストが掛かること。
さらに、本物を一般大衆に本物だと認識してもらうことが著しく困難になることだそうです。
メディアリテラシーが大切とされますが、ディープフェイク後の社会では、自分が受け取る情報のすべてを疑ってみる必要があるようです。
情報の検証をユーザー負荷にしないように、「オリジナル」であることを立証できるインフラが必要になるのかもしれません。ブロックチェーンとかがもっと利用されるようになるのかな。
The biggest threat of deepfakes isn’t the deepfakes themselves | MIT Technology Review>>
https://www.technologyreview.com/s/614526/the-biggest-threat-of-deepfakes-isnt-the-deepfakes-themselves/
80年代にグラフィックデザイナーのミュニエル・クーパーがMITで行ったワークショップが発端となったようです
そこから現在のp5.jsに至るまでの、John Maeda、David Small、Lisa Strausfeld、Golan Levin、Ben Fry などによる講演のような、思い出話のような、興味深い内容です。
MITでのことなので、当初はグラフィックデザインの勉強もあまりしてなかったらしく、著名なグラフィックデザイナーから酷評されたこともあるようです。
「コンピューターはデザインの未来だと言い続けていました。」
「あなたが何をしているのかわかりませんが、グラフィックデザインではありません。」
(マイケル・ビアラットのこの指摘は正しいとも言えそうです。)
「ソフトウェアを芸術やデザイン教育に統合する方法を変えたかったのです。学校が生徒にPhotoshopやIllustratorの使い方を教える方法は完全に表面的なものであり、新しいメディアの可能性を模索することさえしなかったと思いました。単にツールとして使用するのではなく、メディアをより深く理解してもらいたかったのです。」
「多くの人は、画像を生成するためにコードを書かなければならないことは、実際にそれを行うツールを持つことから大きく後退していると言うでしょう。しかしジョンは、自分で絵具を混ぜたり素材で作業したりする方法を知らない画家はいないという考えでした。」
きっと先駆者としてのミュニエル・クーパーの先見性は素晴らしいものだったのでしょう。
競争ではなく共有によって発展してきたことも素晴らしいことだと思います。
いままた、ツールと制作者とコミュニティの関係には新しい問題が起きているようです。
How Computer Code Became a Modern Design Medium—an Oral History | Eye On Design>>
ヒーリングビデオのようなナレーションで facebookやinstagramの世界とWordPressの世界の違いを語りかけてきます。
ちょっと騙されているような気にもなりますが、語っている内容は正しい気がします。
WEBはオープンなものとして始まりましたが、そこに登場したSNSなどのサービスは、それまでオープンだったWEBを限定的に「閉じる」ことでサービスを提供して、ユーザーのコミュニティを形成しました。
この閉じたコミュニティをブランドにしたうえで、セグメント、格差、競争などを展開することで利益を生むようになったと思ってます。
もちろん、SNSはその利便性で恩恵ももたらしてくれます。
SNS以前に登場したWordPressは、WEBがオープンであることが前提だった時代のものでしょう。この前提条件はWEBにとって大切なことだと思っています。
これからも、失われないことを願ってます。
このサイトもWordPressを利用しています。
週末だけの開催でしたが、行ってよかったです。
それぞれの展示が独創的で楽しかったですし、展示している皆さんも楽しそうでした。
技術的に詳しくないので最初はどういう展示なのか解らないのですが、説明されるとおもしろくなります。
Raspberry Pi とか使えると楽しそうです。
下記のサイトの [出展者情報] に詳しい紹介があります。
これを見てから会場に行ったから楽しめたかも。
最終日に行きましたが会場は大混雑でした。
微妙な動きから感じる「人らしさ」をパラメータで変化させるのはおもしろいのですが(混雑していたせいもあるのですが)どこか見世物小屋っぽい感じがしました。学天則 を思い出しました。
木片をCGデータにしてAIで歩かせる学習をさせて実物の木片に歩かせる(?)作品が調整中だったのは少し残念。この作品は他の作品と少し違うようにも思えました。
「不完全ながら人っぽいもの」を見て楽しむ感覚について考えさせられるものがありました。
こういう感覚がUIとかに示唆を与えるのかな。
それから、初めて行ったけど東大のキャンパスっていいところ。
いままでも似たようなモノがありましたが、ちょっとおもしろそうです。
線描だけというのがいいです。ここに機能を追加したらダメですね。
画面をタップして描くほかにも、スマホを振り回しても描けるようです。
さらに、描いた結果を他のユーザーと共有できるみたい。
まだいろいろ不具合があるようですが、大きな可能性がありそう。
ARが実社会の中に浸透して役に立つような使い方を提案できるかも。
元記事はこちら
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