「美術は虚構のライセンスだけではないことを人々にも知ってもらいたい。審美的なプラクティスは非常に有用かもしれませんが、私たちが建築家、映画制作者、アーティストとしての非常に基本的なツールやテクニックを使ってできることがあります。私たちのノートパソコンに搭載されているソフトウェアは、国家と政府の嘘を突き詰める非常に強力なツールになる可能性があります。」
とても力強いステートメントです。
フォレンジック・アーキテクチャーの作品(調査?)の「RAFAH: BLACK FRIDAY」は昨年東京でも展示していたようですが残念ながら見逃しました。
データ、テクノロジー、コミュニティ、ジャーナリズム、などなど現代のアートやデザインの重要なテーマを扱ってるようです。
もうこれからは美的センスや制作技術よりもデータを扱うリテラシーとか倫理観のほうが必須なのかも。
FORENSIC ARCHITECTURE | Tate >>
こちらの記事による紹介がとてもおもしろいです。
2018 ターナー賞 展示 | Forensic Architecture >>
最初は展示の意味がよくわからなかったのですが、途中から「思うようにならないコミュニケーションのもどかしさ」といったことがテーマなんだと理解したら、おもしろく鑑賞できました。
メディア・アートの展示でよくある「鑑賞者が作品の一部になって体験する」タイプの演出は何か気恥ずかしい感じがするのですが、そこに「コミュニケーション」というテーマが入るとさらにハードルが上がります。
これを敢えて面白がれるようにならないと、この展示のテーマを理解したことにはならないかも。
犬の風船がついたデバイスが振動して経路をガイドする作品があって、何かメタファーがあることでユーザーが「とっつきやすく」なるんだとあらためて実感しました。
あと個人的には、メディア・アートにおける感傷的な演出や凝りすぎたビジュアルは古く感じるようになりました。
特別展 OPEN STUDIO リサーチ・コンプレックス NTT R&D @ICC 「“感じる”インフラストラクチャー 共感と多様性の社会に向けて」>>
それほど理屈っぽくない、わかりやすい展示でした。
若い頃の絵画作品から年代順の展示。そういえばデュシャン作品をまとめて年代順で見るのははじめてかも。
絵画作品もレディメイドも、とにかくカッコイイです。
アーカイブや取扱説明書のような作品もじっくり見るとおもしろそうでした。
あまり時間がなくて急いで見てしまったので、会期中にもう一回見に行こう。
Miyasaka Neonです。今日は個人的に気になる作品をまとめてみました。映像が多いので、スマホなどはデータ容量に注意、リサーチのきっかけにもなれば幸いです。
(1)Zimoun
(2)Stephen Cornford:Migration
Migration from Stephen Cornford on Vimeo.
公式ウェブ
http://www.stephencornford.net/index.html
(3)渡辺孔明
公式ウェブ
http://www.yoshiakiwatanabe.com/index.html
(4)河原温
(5)CYMATICS: Science Vs. Music – Nigel Stanford
(6)大城真
オートマチックまたはアナログな手法など、
表現の仕方は色々あるようですが、面白くもあり、でもなんだかもうおなかいっぱいです。
制作者に男性が多いのもひっかかります。
制作のヒント、リサーチの取り掛かりなどにご参考まで。
ロンドンのアーティスト ANNA RIDLER の「Mosaic Virus 」という作品。美しいだけでなく、知性と批判と物語があって、とてもおもしろい作品。
昔のオランダで起こった最古の金融バブル「チューリップ・バブル」と現代のビットコイン・バブルをAIで引き合わせています。
1万本のチューリップの画像をデータセットとしてAIに学習させたそうです。
チューリップは「モザイク・ウイルス」によってその色や形を変えるそうです。チューリップ・バブルもそうやって始まったようです。
作品では2017年の7月〜12月のビットコインの価格変動をチューリップの色や形を変える「ウイルス」としています。
作者はオランダ絵画史を引用して「21世紀のオランダ静物画」と紹介してるようです。
作者である ANNA RIDLER のサイトにはこの作品の動画があります。
くわしくはこちら
This AI dreams in tulips >>
「カフェ」の絵を見てくて猛暑のなか行ってみました。
とにかく描線が美しく質感の描写がすばらしかったです。
初めて見ましたが、中南米での水彩画がとても良かったです。
学生時代から晩年まで時代ごとの展示構成で、藤田の人生を見る展示でした。
生涯にわたって、ほとんどブランクなく描き続けたこと。
時代ごとに作風を変えて生き抜いてきたこと。すごいことだと思います。
動乱の時代に作品を描いて生きてゆくことのしたたかさを見た気がしました。
強烈な作家性というよりも、コマーシャルな仕事にも情熱を傾ける器用な人だったのかも・・・という印象でした。
没後50年 藤田嗣治展
Foujita: A Retrospective ― Commemorating the 50th Anniversary of his Death >>
切断された家の作品の他はほとんど何も知らないまま見に行きました。
1970年代だからなのか、ちょっとパンクな感じもしました。(これは誤解かも)
想像していたよりも瑞々しい感覚に思えて楽しかったです。
扱っている問題、
それに対するアプローチと作品のコンセプト、
最終的な作品自体、
これらの繋がりが明快に感じられて解りやすかったです。
当時のアートのトレンドをうまく取り込んでいたようにも思えました。
作品の過程をちゃんと記録してそこから派生した作品があるのもよかったです。
オリンピックを控えている東京においても、こういったアプローチの作品を誰かが計画していて、オリンピック終了後に発表されたりするのかな。
Lonneke Gordijn と Ralph Nauta によって2007年に設立されて、最新テクノロジーを駆使した詩的なイメージのインスタレーション、彫刻、映像を発表しているそうです。
この『CODED NATURE』という展示、なかなか素晴らしいようです。
人、自然、テクノロジー、現実と仮想 などのテーマを、工芸的な手業と素材とテクノロジーで作品にしているようです。
会場全体にプロジェクターで投影するような展示ではなく、こういう展示を日本でも見たいです。
まったく誤解かもしれませんが、タイポグラフィの起源のようなものを見た気がしました。
文字を石に刻むときに端が余計に欠けないようにする工夫からセリフなどの要素が誕生したと何かで読んだ気がしますが、本当にそうかもと思えました。
イスラム文化ということもあるのでしょうが、交易が盛んだったのにローマの影響以外では「写実」というものが発達しなかったようなのが興味深いです。西洋美術の「キアロスクーロ」がない感じ。
乾いた砂漠の日差しの下ではすべてがハイコントラストなのでしょうか。
ほのぼのとしたディストピアという感じで、どこか90年代的な印象でした。
最近のfacebookで起きていることや、Googleの寡占状態などはもっと速く大量で不可視なディストピアなのかもしれない気もしましたが、アートとしてのこの展示は楽しかったです。
メディアアートのようなテクノロジーに熟達したアーティストによる作品ではテクノロジーを積極的に受け入れて賛美する傾向があるのかも。文脈にもよりますが、テクノロジーを批判する作品があることは健全な気もしました。
ビットコインとブロックチェーンのもたらす社会変革についての作品は、10年後にもう一度見たらどんな印象になってるか楽しみです。
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