オランダのアイントホーフェンを拠点とするスタジオRaw Colorの作品。
気温の変化や海面上昇、排出量などのデータを柄に織り込んだニットのコレクション。
ブランケット、スカーフ、ソックスまで幅広く、気候データを纏って暖かさを提供するようにデザインされてるそうです。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)がモデル化した4つの排出シナリオの予測に基づくデータから、2000年から2100年までのあいだの、気温、海面、排出量の上昇が年別に織り込まれています。
色が壊れたダッシュボードみたいですが、テキスタイルになるとカッコイイです。
クリスチャン・マークレーと一緒に見てきました。こちらはまた別のチルアウトな音楽が鳴っているような感じでした。
詩的でセンシティブですが、物質的で大掛かりな展示でした。
焼け落ちた「2001年宇宙の旅」のホテルの部屋は圧巻でした。
絵画作品もインスタレーションもコンセプトに的確な感じで、わかりやすくて心地よくて、展示全体にラグジュアリーな雰囲気があって、人気があるのがよくわかります。
毎年の展示です。「世界で最も美しい本コンクール」のほか、日本、ドイツ、オランダ、スイス、中国、各国のコンクールに入選した本を実際に触れる展示です。
今年はクラシックな美しさの組体裁とレイアウトが多かったような気がしました。
その本の成り立ちと内容を厳格に整理して、コンセプトを明確にした演出になってました。
ウェブデザインにも参考になりそうです。
手に取って触れることで、造本設計のさまざまな工夫がわかります。
複雑な折りで漢字の成り立ちをインタラクティブに紹介した本、
光沢のある黒いカバーの原油流出についての本、
黒い紙に銀色のインクで印刷されたアポロの月面着陸の本、などなど、
読者に向けてその本の内容を、色や質感でうまくガイドしてくれてます。
簡易な綴りに見えても手の込んだ造りです。どれも希少で贅沢な本。
「矛盾してるようだけど、私は音について、それがどう聞こえるかということだけでなく、どう見えるかということにも興味があるんだ。」というインタビューからの一文のとおりの展示。音楽の視覚化ということで、グラフィックデザインとしても参考になる感じでした。
タイポグラフィ、写真、コラージュ、ドローイング、プリンティングの楽しさに溢れていました。
なんとなく80〜90年代くらいのアナログな雰囲気があって懐かしかったです。
「サンプリング」の感覚を身につけたくなります。
2022年に向けてのトレンドに、少し冷水を浴びせるための記事だそうです。
おもしろそうなので読んでみました。
厳しいコロナ禍を経て、それまでの過剰な熱が冷めて、いくつかの呪いが解かれるような2022年になる気がしてきました。
以下は抜粋です。
■メタバース
「人々が仮想の世界で交流するために「現実の世界」から逃れることを選ぶ、あるいはその選択肢があるという勝手な前提に基づいています。」
「私たちはコンピュータの中に入りたいとは思っていません。むしろ、夕食の席、電車の中、友人との外出など、生活が起きている場所で、コンピュータに働いて欲しいと思っているのです。」
「人々の行動様式を大きく変えることになるでしょう。どのようなインターフェイスであれ、コンピューティングの未来は逃げることではありません。それは私たちのことであり、私たちがすでに生きている世界において、私たち自身の能力を増幅させる力なのです。」
■Z世代とミレニアル世代への対応
「ミレニアル世代をターゲットにしたソフトで親しみやすいデザインは ミレニアルピンクやその他の中間色やパステルカラーの大きく平らな面、インスタグラムに適した写真、風変わりな文字のイラスト、独特のレトロな雰囲気を持つフォントなどを思い浮かべてみてください。」
「Z世代に向けたデザイントレンドは2022年に本格化し、大胆で、より実験的で、力強い外観と感触が特徴になります。」
「Z世代はミレニアル世代よりも注意力が短く、8秒から12秒と言われており、生涯をオンラインで過ごす最初の世代である。彼らは、性別やその他の規範を超えた柔軟性、ブランディングにおけるパーソナライゼーション、そして使いやすく消化しやすいオンライン体験を求めいます。」
■NFT
「NFTはまだ実験的な黎明期に過ぎない。長期的な価値は、短期的な欲望に勝たなければならない。」
「最終的には、今日NFTで行われているテストと学習が、メタバースの長期的なロードマップを設定し、そこではNFTがデジタル所有権に関してより大きな文脈を持つことになります。しかし、それは何年も先の話です。」
■効率化のカルト
「私たちが効率にこだわる理由のひとつは、トレンドの分析や未来予測がうまくいけばいくほど、より効率的になり、結果的に成功につながるという考え方です。・・・あらゆる形で予測力と効率性の崇拝に執拗に焦点を当てた結果、現在のように大きなストレスがかかると簡単に崩壊してしまう、極めて脆弱なシステムを作り出してしまったのです。」
「『効率的』なサプライチェーンの問題を考えてみてください。・・・予想外のわずかな購入量の増加と、もちろん世界的な大流行が重なって、サプライチェーン全体が事実上一夜にして崩壊してしまったのです。」
「将来、複数の不測の事態に対応できるシステムを構築し、効率性よりも敏捷性、適応性、回復力を優先させた組織だけが残ることになるでしょう」
■バーチャルリアリティ
「VRとARは、世界的なパンデミックによってすべての人が家に閉じ込められたことで、ヘッドセットに300ドルも払える人は、技術の塊を顔に装着するモチベーションをこれまで以上に満足させることができた。・・・VRコンテンツの売上は、全ビデオゲーム売上の0.5%であり、丸め誤差に満たない。」
「VRとARは確かに私たちの未来に欠かせない要素ですが、どうかこれをVR技術とコンテンツに関する最後のニュースサイクルとし、それがなかったことになった最後の大きなものになることを認めましょう …次のものではないのです。」
■D2Cと ”サステナビリティ”
「私たちは教育する必要があります。ライフサイクル分析は必須であり、食品ラベルの栄養成分と同じように透明であるべきです。私たちは、削減する必要があります。私たちは、より少ない画面、より少ない部品、より少ないパッケージングで、より少ない移動距離の製品を作らなければなりません。修理が可能で、再利用や再生が可能な材料を使用する必要があります。私たちは、説明責任を果たす必要があります。ブランドを強化するために製品を作ってはいけません。」
「そして、倫理的に製品を生産することは、決して安いものではありません。」
■リモートワーク/ハイブリッドワーク
「未来の職場はトラウマに配慮した職場であり、この『トラウマに配慮した』という部分が重要なのです。」
「トラウマとは感情的、身体的、精神的、心理的な危害、苦痛、障害につながるあらゆる出来事や経験のことで、これが職場を苦しめています。トラウマに配慮した職場とは、組織レベルでトラウマの害を最小化し、制限しようとするものです。」
「リモートワークやハイブリッドワークをより良いものにするために、組織はトラ ウマが個人だけの問題ではなく、組織の問題であることを理解する必要があ ります。・・・包括的な行動や自己認識は最終的に無視されてしまう人格の問題ではなく、ビジネスに影響を与えるパフォーマンスの問題として扱われる必要があるのです。」
「労働者の人間性のニーズを優先させる時なのです。」
メタバースは「セカンドライフ」のセカンドチャンスのような気もしますが、Oculusのヘッドセットさえあればうまくいくのかも。
NFTも過熱気味のようですが、そこにある技術は今後に残っていく重要なものになるような気もします。
Z世代はテクノロジーがもたらす恩恵を積極的に受け入れて、その未来に楽観的なようです。
90年代にインターネットの未来が輝いて見えたのと同じかもしれませんが、そこは当時のようにオープンで茫漠とした場所ではなく、Z世代に向けて綿密にデザインされたプラットフォームでできているようです。
それは羨ましくもあり、少しだけ残念な気もします。
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電子ペーパーに使われる「E Ink」を利用しているそうです。
クルマの生産工程で大きな設備投資が必要で、しかも環境負荷が大きいのは、ボディ塗装の工程だと聞いたことがあります。
コスト面でも環境面でも、できるだけ塗装をしないデザインができれば理想的なようです。
ニーズ、生産工程、環境負荷などなどの要件から、ボディカラーと素材をどのように扱うのかはクルマのデザインの課題なのかも。
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ぜんぜん知らない本でしたが、ぜひとも読んでみたくなりました。
資本主義(キャピタリズム)に囚われたグラフィックデザインとデザイナーについての本のようです。
「○○としてのデザイナー」と題された4つの章で構成されているようです。
書評としてとてもいいと思います。
現代のグラフィックデザインを考えるうえで重要な本のようです。
日本語版の出版をお願いしたいです。
毎年恒例のトレンド予測です。
ここで言う「ファブリック」は布地というだけの意味ではなく、織り、重ね、繋がり、構成される、社会の形を意味しています。個人やブランドはその社会の縦糸横糸のひとつとして相互に関与して支えあっているというメタファーのようです。
コロナ禍で変わりつつある関係性の変化に対応しなければならない現状を踏まえて、人、ビジネス、そして地球にとって新しい生活の布を創り出す方法を定義する必要が・・・あるそうです。
そして今年のトレンド予測としては「配慮」「信頼」「気遣い」といったワードが重要なようです。
コロナ禍から回復しようとする社会の変化に、何が起きていて、何が必要とされてるのかを考えさせられます。
以下は抜粋です。
■ ありのままの自分
「『me over we』という考え方によって強調される個人主義の高まりは、企業内の同僚間の共感を強調し、人々の顧客としての願望を変化させ、雇用者とブランドオーナーに新しい課題と機会をもたらしています。」
「このトレンドの根底には、個人主義と集団主義との間のより広い社会的緊張があります。この緊張は世界中に不均一に広がっていますが、私たちは、この緊張が今後も決定的な文化的議論となり、経済的・経験的な影響があらゆる場所で感じられると信じています。」
「自己責任論や『me vs we』という考え方の台頭と、組織への影響について考えてみてください。この新しい状況下で、人材や顧客を惹きつけ、維持することができるでしょうか?」
■ 豊かさ思考の終焉?
「コーヒーから半導体チップに至るまで、さまざまな素材や部品、商品が供給不足に陥り、多くの国で「豊かさ」に対する考え方にブレーキがかかった。多くの国で、このような問題が発生すると、『豊かさ』に対する考え方にブレーキがかかり、『欠乏』が人々の予想の対象になったのです。」
「必要なのは、イノベーションを『新しい』という概念から切り離すという発想の転換でしょう。人々は行動を変えなければならないとよく言われますが、常に別の影響を受けている状態では、これは難しいことです。・・・今後は、従来の『取って、作って、捨てる』というビジネスモデルから、より循環型のアプローチによる『再生ビジネス』の機運が高まると予想されます。」
「サプライチェーンの混乱が、あなたのビジネスや顧客にとって何を意味するのか考えてみてください。既存の製品の寿命を延ばすことで、新しいビジネスモデルを生み出すことができますか?」
「イノベーションチームや製品開発チームには、イノベーションは新しいものである必要はないことを伝えてください。制約の中で仕事をすることで、最も創造的なソリューションが生まれることはよくあることです。」
■ 次なるフロンティア
「メタバース熱は世界中に広がり、約束と興奮と未解決の疑問をもたらしています。」
「ルネッサンス期のフィレンツェ、1900年代のウィーン、スウィンギング60年代のロンドンなど、文化の大きな変化は、ある場所から始まることが多いようです。その次の場所は、メタバースです。アート、音楽、映画、そしてもちろんブランドなど、人々の体験に影響を与えることでしょう。」
「あなたの製品がメタバースでどのように見られ、どのように購入され、どこに行き、メタバースの顧客によってどのように使われるかを考えてみてください。製品、ブランド、体験のライフサイクルには、完全なマインドセットの転換が必要です。メタバースは場所であり、単なるチャネルの一つではありません。」
「好奇心と遊び心を持ちながら、常に誠実さと倫理観を持ち、環境への配慮と敬意をもって、メタバースにアプローチする。」
■ そのとおり
「ソーシャルメディアのような多くの情報源から答えを得るようになると、大量の偽情報によって、私たちは見つけた答えを疑わなければならなくなります。・・・信頼性が試されています。」
「コンシャス・コンシューマリズム(Conscious Consumerism)は、倫理的価値や持続可能性に特に重点を置きながら、成長を続けています。人々は、購入する商品に対して満足感を得たいと考えており、労働者や動物の倫理的扱い、フェアトレードなど、販売時に答えが必要な質問をすることが多くなっています。」
「ブランドは約束の塊であり、顧客はその約束についてこれまで以上に知りたがっている。・・・そのブランドがどのように機能しているかを顧客に対して明確かつオープンに示すものであるべきです。」
「ブランドは、人々の質問に答えるために、どの情報レイヤーを展開し、どのようにタッチポイントに設計すれば信頼を築けるかについて、戦略的な選択をする必要があります。・・・ブランドは、ますます情報レイヤーで競争するようになる。このように、デザインの細かな判断が直接的に戦略的な意味合いを持つようになり、デザイナーの仕事の幅が広がっています。・・・証明することで真実が示されます。すべての顧客が提供された情報の信憑性を吟味することは期待できないため、ブランドには、顧客の精神的負担を軽減するために、情報レイヤーで述べていることを立証することが期待されています。これはまた、強力な信頼構築の機会にもなり得ます。」
■ 取扱注意
「配慮と思いやりは人間の本性に根ざしており、人間性を定義する性格特性であると言っても過言ではありません。思いやりは、共感を通り越して信頼を築き上げるものです。セルフケア、他者へのケア、ケア提供のためのチャネル(デジタルと物理の両方)など、あらゆる形態で、この一年、ケアはより顕著になりました。」
「パンデミックは、世界中の精神衛生に大打撃を与えました。・・・また、同僚の健康を気遣うために割く時間や注意の量も増えたと思われます。精神的な問題、悲しみ、病気による突然の中断など、同僚の個人的な苦悩に直面したときの思いやりと優しさは、もはや常態化しています。」
「多くの国でCovid-19パスが必然的に使用されたことで、ケアにテクノロジーを使用することへの寛容さはさらに加速されました。・・・これはまた、以前はプライベートだった健康情報を公に共有するという、もう一つの重要な行動の変化を示唆しています。」
「今後、他者への優しさや思いやりを浸透させることは、デザインが支援できるビジネスチャンスです。デザインを通じて、思いやりのある新しい価値を生み出す方法はたくさんあります。」
「人々の精神的な幸福と安全に配慮したデザインは非常に重要です。このアプローチは新しいものではありませんが、人々のデジタル行動に影響を与えるダークパターンの無責任な使用は、社会的な監視の目が厳しくなってきています。」
「気遣いは常に人間にとって重要な要素ですが、現在ではより目に見えやすく、オープンに語られるようになったという点で、歓迎すべき変化といえます。・・・ケアを意図的にデザインし、システムの中に組み込むことです。」
「ケアは重要な仕事であり、精神的に負担のかかる仕事であることを認識する。ケアを日常業務としている人のニーズに合わせて、製品やサービス、そしてそれらに関連するKPIをどのように開発できるかを考えてみましょう。」
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