展示室の入口にあった『ギルバート&ジョージ、2人の若者がいた(1971年4月)』という映像がまた良かったです。
みんな知ってる有名でアイコニックな作品だけど、その意味や背景を理解するヒントとしていい映像でした。
シンプルで圧倒的な3面の展示。
初めて見たのですが、グリッドごとの小さな額装の集合体のようでした。
よく見るとグリッドごとにうまくポイントが配されてます。
COP26気候変動枠組条約締約国会議に合わせて開催されたそうです。
人類の歴史の中では、石器、青銅器、鉄器など、さまざまな素材の時代がありましたが、遠い未来の考古学で現在は『廃棄物の時代』と呼ばれるようになるそうです。
たしかに地層としてそうなってるかも。
キュレーターのインタビューでは、世界がプラスチックを「まったく不適切に」使用していることを指摘しています。
「プラスチックはその耐久性と寿命のために非常に便利な素材ですが、使い捨てでは全く意味がありません。・・・プラスチックはここに展示されている安全保護のためのものには最適な素材です。しかし、蓋やボトルキャップには向いていません。」
「廃棄物はデザインによる問題であり、デザインによる解決策があります。」
「新世代のデザイナーたちは、私たちと日用品との関係を再考しています。ファッション、食品、電子機器、建築、そしてパッケージに至るまで、廃棄物の中に失われた価値を見出し、クリーンな素材と循環型経済の未来を想像することが、廃棄物時代からの脱却の道を示すことになるでしょう。」
「これは単なる展示会ではなく、キャンペーンであり、私たちは皆、未来に積極的な役割を担っているのです」
来場者にデザインの在り方について考えてもらう展示になってるようです。
日本でもこういうデザイン展があっていいかも。
Waste Age: What can design do? >>
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コロナ禍が終わったかのような演出は時期尚早かもしれませんが、おもしろいCM。
東京の街のようですが、なぜかロックダウンされたことになっていて、すべてフィクションで、すべてが冒頭のゲームの世界の続きような感じがしてきます。
また、最後はちょっと意外な終わり方になってます。
偶然がいっぱいの日常に戻っていく・・・ということなんでしょうか。
この楽曲の「Be My Baby」のプロデューサーであり「ウォール・オブ・サウンド」で有名なフィル・スペクターの今年1月の死去を思うと、また奇妙な感じです。
いろいろと現実感にズレがあって、外出できないコロナ禍の夏の夜の夢のようなCM。
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なるほど、工業製品におけるデジタルツインがどういうことなのか、はじめてわかりました。
2022年にポルシェ・タイカンのオーナーに提供されるサービスだそうです。さすが。
クルマの仮想的なレプリカである「デジタルツイン」を作成し、クルマに組み込まれたセンサーによってデータを記録して愛車の性能を監視。愛車に必要なサービスや点検をレコメンドして、不具合が発生する前に予測することもできるそうです。中古車を正しく査定して適正な価格を提案できるそうです。
デジタルツインはスゴい可能性があることかも。
Porsche Creates ‘Digital Twin’ Of Your Car So You Can Tell When To Get Repairs >>
「UXデザイン」「ヒューマン-センタード デザイン」などの言葉を生み出して、数々の有名企業で活躍し、デザイン教育にも大きく貢献したドン・ノーマンですが、通常のデザイン教育を受けているわけでなく元はエンジニアだったそうです。
これは2020年のインタビューですが、「美しさ」のためのスキルに偏重したデザイン教育を変えてゆく必要があると語っています。デザインがサービスや体験のために使われるようになるためには、社会、経済、政治、工学、医療などの他分野と一緒にデザインに取り組む必要があるそうです。
ここでは「サービス・デザイン」という言葉を使って、ジャーニーマップの手法も紹介しています。
いくつか抜粋です。
「気候変動は、デザイナーが生み出した問題です・・・しかし、デザインが解決策を提供しようとするならば、学生がこれらの問題に取り組めるようにデザイン教育を変える必要があります。」
「デザイン教育は「学問的な深さ」よりも「美学」や「クラフト」が重視されていることに問題があります。私たちが知っているようなデザインを生み出すためには重要なことですが、それだけを学ぶべきではありません。」
「デザインが最も重要なのは、それがサービスや体験のために使われるときです。・・・もし私が病院を設計しているとしたら、その建物が患者や医療従事者にどのようなサービスを提供できるかを考えることは、美観を考えることよりもずっと重要です。」
「未来に向かって楽観的に考えています。問題は、今日のデザインにあるのではなく、そのデザインが置かれている世界にあるのです。世界は変化しており、私たちはその世界に合わせてデザインの仕事を拡大する必要があります。」
デザインにはまだカバーできていない分野がたくさんあって、考慮しなくてはいけないことがたくさんあるようです。
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Metaの最初のブランド広告。
Meta社内のCreativeXグループがDroga5と共同で制作したそうです。
アンリ・ルソーが1908年に描いた「虎と水牛の戦い」を3Dにして、ファンタジックな没入感で「これは楽しいことになるよ」というセリフで締めくくられてます。
これがMetaのビジョンであり将来のメタバースなのかもしれませんが、「デジタルなものはすべてアナログなものよりも自動的に優れている」という独善的な考え方だと批判されてるようです。
楽観的な演出は、SNSが若者にもたらした悪影響やfacebookが指摘されてきた多くの問題をすべて置き去りにしているとも受け取られているようです。
Z世代はバカにされてると思うかも。
A Classic Painting Becomes a 3-D Music Video in Meta’s Vision of the Metaverse >>
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ロンドンとニューヨークで広告の黄金時代を生きた人。
デザイナー、イラストレーター、作家、演出家、映画監督、教師・・・幅広い活躍です。
1962年にアラン・フレッチャー、コリン・フォーブスと一緒に設立した会社は、現在のPentagramの前身です。
その会社でグラフィックデザイナーとして働いていた若い頃のチャーリー・ワッツに「君はグラフィックデザイナーよりもドラマーになるべきだ。」とアドバイスした伝説があるそうです。
「最高のデザインとは、スタイルではなく、優れたアイデアに根ざしている」という信条で、
「自分のステートメントを素直に面白いと思えるなら、まさに奇跡が起きる。そのステートメントに耳を傾ければ、ステートメント自体がそれをデザインしてくれるのだ。」
と、インタビューでも語っています。
アイデアとユーモアに溢れたイラストが素晴らしいです。
作品集だけでなく、この人の著作が日本語で出版されてほしいです。
In Memory of Bob Gill, 1931–2021 >>
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懐かしいロゴが新しくなるそうです。なんかちょっと残念な気もします。
最終日に見ることができました。
「実現しなかったデザイン案や実在しないアーティストの作品などをテーマに集めた展示」ということで、個人的に好きなテーマでした。
実現しなかったデザインの積み重ねこそがイノベーションであり、続いてゆく現実の人生なのだという気がしてきます。
デザインの成功がサクセスストーリーとして語られてブランド化されていくことのほうが虚構なのだと思えてきました。
「東京藝術大学の学生たちがキュレーターたちとともに同展のこれまでの展示内容を日本に『翻訳』する。」とあります。この「翻訳」に含まれるユーモアがもっと洗練されていたらさらに良かったかも。
陳列館はたぶん10年ぶりぐらいで行きましたがいいところでした。
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Windows11のデザインディレクターChristina Koehnのインタビューです。
プロダクト全体のコンセプトを策定して、具体的には壁紙、テーマ、サウンド、アイコンなどの見た目を左右する要素を担当しているそうです。UXデザイナーやインダストリアルデザイナーとソフトウェアとハードウェアの垣根を越えて取り組む仕事です。
10億人が使うプロダクトをデザインするために、多くのデザイン分野を横断しながら進めるダイナミックなデザインプロセス。
しかも、そのプロセスをコロナ禍のなかで進めたのは素晴らしいです。
以下は抜粋です。
最初のステップとして、チームは一連のデザイン原則を特定して設定しました。これが作業の指針となります。
原則には、「楽」「落ち着き」「パーソナル」「一貫性」などがあり、これらはユーザーエクスペリエンスだけでなく、製品の外観にも影響を与えます。
例えば、「落ち着き」を原則としたのは、新しいOSを使うユーザーの不安を軽減するための試みでした。そのために、チームはWindowsのグラフィック要素の角を丸くし、色を和らげました。
もう一つの原則である「パーソナル」とは、ユーザーが自分のデバイスでどのように作業するかにシステムを適応させる必要があることを意味します。これは特にアクセシビリティに影響します。多くの人々のためにデザインすることの難しさの一つは、”デフォルト ”にこだわらないことです。
それでもチームは、必要に応じて原則にとらわれず、リスクをとって活動しています。
10億人が見ることになるプロジェクトに取り組んでいる以上、自分が出したものを評価してくれない人がいることを理解しなければならない。
「私の73歳の母をはじめ、多くの人がWindowsの使い方を熟知しているので、いたずらに要素を変えるわけにはいきません」
Koehn氏によると、チームではこれを「チーズを動かさない」と表現しています。
「デザインに終わりはありません。それは旅のようなもので、私たちはこの時間を利用してお客様の声に耳を傾け、設計プロセスを継続しています」
元記事はこちら
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