UIのためのデザインシステムの構築・運用・評価について、いいお手本だと思います。じっくり理解したいです。
なぜデザインシステムが重要なのか、どのような利益をもたらすのか、どのように運用するのか、などを紹介してます。
デザインシステムの成功には継続的な努力が必要であり、その結果として継続的なリターンを生み出すようになるようです。
「Hawkins」はNETFLIXの人気ドラマ「ストレンジャー・シングス」に登場する架空の田舎町の名前です。(このドラマおもしろかったです。)
この名前をデザインシステムの名前にしたのはとてもいいです。
以下、概略と抜粋です。
基礎層となるモックを作るための「Figma」
ユーザー・インターフェースを構築するための JavaScript ライブラリとして「React」
を利用しているようです。
ゼロから自分たちで作るか、または既存のソリューションを利用するかを検討して、Material-UIを利用してカスタマイズすることにしたようです。
各コンポーネントはさまざまな組み合わせで使用できるようにしています。
各コンポーネントは小さく軽量にすることで、より大きなコンポーネントに組み立てることが容易になります。
デザインシステムは、アプリケーションに一貫性を持たせ、各アプリケーションのエンジニアリング負担を大幅に軽減することができます。
デザインシステムは下記のような利益をもたらすそうです。
・ユーザーの直観に沿った一貫性を提供する
・チームの連携や新規開発メンバーの受け入れをスムーズにする
・エンジニアの負担を軽減する
・バグの数を大幅に減らす
最初に設計システムを作るのに多くの時間を費やすことになりますが、設計システムが完全に実装され、組織全体で信頼されるようになれば、大きな利益を得ることができるようです。(これを辛抱できるかどうか・・・)
デザインシステムが成功したかどうかを判断するための指標として、各コンポーネントの使用数、パッケージのインストール数、実運用でHawkinsを使用しているアプ リケーションの数などを検証することにしたそうです。(これはデザインシステムの評価についての適切な指標かも)
エンジニアが見つけた問題点を報告できるようにしました。エンジニアがより多くのサポートを受けていると感じるほど、エンジニアはデザインライブラリを利用することに寛容になるでしょう。
・・・などなど、詳しくわからない箇所もありますが、勉強になりそうな内容です。
このデザインシステムはまだまだ成長し続けているようです。
この成長がさらに利益をもたらすのでしょう。
元記事はこちら
httpsHawkins: Diving into the Reasoning Behind our Design System >>
志し高いステートメントです。
1964年と2000年に発表された「First Things First」のマニフェストと比較して紹介されています。
いくつか抜粋・・・
「ブルックリンのデザイン会社Isometric StudioのAndy ChenとWaqas Jawaidは、より良い世界を構築するためにグラフィックデザイナーの役割を再考しています。ChenとJawaidは、資本主義を批判するマニフェストを書いたり、デザイナーの役割について大々的に宣言したりすることには興味がなく、デザインそのものを、取り残されがちな人々に力を与えるためのツールとして使うことに興味を持っています。」
「私たちは、あらゆる分野の人々と協力して、ポジティブなインパクトを与えることができる場所を見つけようとしています。」
「私たちは、本物のインクルージョンがどのようなものであるか、疎外された物語を前景化することがどのようなものであるかを考えたいという欲求を示すあらゆる種類のクライアントを引き受けます。」
最初はプロボノのコラボレーションとして非営利団体と仕事をすることから活動を始めたそうです。
2020年の米国の社会状況のなかでは、リアルに響くステートメントになってるようです。
これからの世の中で、デザインの仕事をして社会とどのように関わるのか、少し考えさせられる記事でした。
元記事はこちら
Isometric Studio is Rethinking What it Means to Design for Social Good >>
何年も前に公開されていたようですが、彼のバックグラウンドと考え方がわかる、おもしろいドキュメンタリーでした。
タイトルの通り「デザインによるアート」であることがよくわかります。
「デザインはアートではない」という言説は正しいと思いますが、近い将来それでは足りなくなるのかも。
それにしても、彼のスタジオはすごい。
どこにも出掛けられない夏休みにいかがでしょう。
上の画像は、デザイン業界全体の人種差別問題を取り上げた「WHERE ARE ALL THE BLACK DESIGNERS?」のYouTubeライブのアーカイブです。
ほかにも、ミルトン・グレイサーの I♥NYのドキュメンタリーや、予告編が紹介されてます。
コロナ禍やBlack Lives Matter以降は、デザイナーやデザインそのものだけでなく、デザイン業界の体質や在り方が問われはじめてるようです。
日本のデザイン業界の体質も問われることになるかも。
9 must-watch design documentaries you can stream right now >>
IDEOの有名なメソッド「デザイン思考」についても、デザインによる問題解決の大部分が白人のアプローチであると指摘されているそうです。デザイン産業の構造についても批判されているようです。
IDEOがツイッターに掲載した謝罪文は、「制度的人種差別はデザインによるものです。」という言葉で始まっています。これは重要なことだと思います。
正直なところ、自分がこの問題を正しく理解できているか自信がありませんが、いま起きている社会の変化のあとには、20世紀からのデザイン論は生き残れないのかも。
以下はツイッターに掲載された謝罪文です。
制度的人種差別はデザインによるものです。黒人は何世紀にもわたってこの現実と共に生きてきました。ジョージ・フロイドが苦しんでいるのを見て、残りの社会が目を覚ますのに8分46秒かかるべきではありませんでした。
IDEOでは、社内でも、より広い世界でも、私たちは十分に耳を傾けていませんでした。この2週間、同僚や皆さんからいただいたコメントに感謝しています。
先週インスタグラムで反レイシズムのリソースを共有したとき、それは白人の罪悪感を中心にしたもので、それは間違っていました。私たちははっきりと言うべきだった。Black Lives Matter.(黒人の命を軽んじるな)
IDEOはデザインのリーダーとして問題の一端を担ってきました。私たちには、新しいシステムをデザインする一員としての責任があります。私たちの価値観、人間関係、そしてデザインそのものについて再検討するまで、私たちに成功はありません。
私たちは、完全に謙虚に立ち、白人の特権と向き合い、人種差別のシステムを維持するために私たちが社会化されてきた方法を学び直すために、会社として私たちの先にある長い旅路を認識しています。
私たちの旅のこの時点で、私たちはより公平な組織に向けて努力することを約束します。
【関連記事】
デザインを脱植民地化するとはどういうことか? >>
経営者の理解も大切ですが、デザイナーが自分の得意分野に逃げ込むことなく、企業活動に対してデザイナーとしての職能を拡張させていく必要もありそうです。
経営者向けとしてはいい内容だった気がします。
デザインにおける倫理観のようなことについても触れておくべきだった気もします。
下記のリンクに2つの公表資料がpdfで用意されています。
テーマは「♡」 1,377点の応募からグランプリ1点と優秀賞3点が決まったそうです。
テーマのとおり素敵な感じのデザインが受賞してます。
時代を反映して、サステイナブルに配慮したコンセプトが選ばれています。
ユーザーと物語を共有して、ユーザーのファンタジーを満たすような・・・そういう要素が盛り込まれているのが人気のようで、文具やプロダクトだけでなく、いろいろな分野の「デザイン」がそういう方向に向かってる気がしています。
それは時代に則したデザインの方向なのですが、例えば、それは「文具のデザイン」なのか? という気もしてます。
より公平なシステムのために、デザインが果たせる役割についての記事です。
米国では裁判が始まるまで容疑者が拘留されるできかかどうかを「釈放査定」というアルゴリズムで裁判官が決定するそうです。この決定過程はわかりにくく、不透明で、公平さを欠いていたそうです。
そこで、「法廷とニューヨーク市が不必要な公判前拘留を減らすよう支援する」するために、ウェブサイトのインターフェイスをデザインし直したそうです。逮捕されたとき拘留されるかどうかの「釈放査定」の過程をシミュレートするコンテンツも提供されているようです。
このリデザインには、4つの原則を用いたそうです。
(1)言語を簡素化し専門用語を最小限にします。
(2)明確な情報階層とインタラクションにより、シンプルさと効率性を強調します。
(3)情報を適切に分割して、ユーザーエクスペリエンスの工程を構築します。
(4)明確な”サインポスト”でユーザーをガイドします。
どれも情報アーキテクチャの基本のようにも思えますが、それによって「公平」「公正」「透明性」がもたらされるのですから、すばらしいことです。
New York City Criminal Justice Agency >>
手掛けたのは Hyperakt というデザイン・エージェンシーだそうです。
いい仕事してる感じがします。
Hyperakt | Design to shape our future >>
元記事はこちら。リデザインの過程が紹介されています。
The justice system is a black box. Can this redesign make it more transparent? >>
「デザイン・ビジネスは、デザインがビジネスもらすほどの利益を得たたことがありませんでした。 ベンチャーキャピタルののチューズデイ・キャピタルと提携することで、フロッグはそれを変えたいと考えています。」
フロッグ・デザイン社長 Andrew Zimmerman のインタビューです。
かつてフロッグ・デザインは、Oculusという会社のVRヘッドセットに関する知的財産権を放棄するように求められたことがあったそうです。
フロッグ・デザインはOculus社のVRヘッドセットのデザイン・コンサルティングをしていました。
フロッグ・デザインの優れたデザインのもたらした価値によって、Oculus社はfacebookに20億ドル(!)で買収されましたが、フロッグ・デザインが受け取ったのはデザインコンサルティング料の20万ドルだけだったそうです。
Andrew Zimmerman 社長はこういうビジネスを問題があると考えているそうです。立派な社長だと思います。
そこで、フロッグ・デザインは、チューズデイ・キャピタル社と提携して、ベンチャー企業への投資ビジネスに参入することにしたようです。
フロッグ・デザインはチューズデイ・キャピタルによるベンチャー投資の利益の一部を受け取り、チューズデイ・キャピタルはベンチャー企業にフロッグ・デザインによるコンサルティングを無料で提供できるようになるそうです。
ベンチャー企業からすれば、チューズデイ・キャピタルからの出資を得られれば、フロッグ・デザインによるコンサルティングも受けられるということのようです。
(※ここまでのなかに、いくつか英文からの読み間違いがあるかも・・・)
とてもいいことのように思えますが、ベンチャー企業がこれから取り組む自分たちのビジネスにコンサルタントを受け入れるかどうかは、微妙な気もします。
フロッグ・デザインというブランドがあるからこそできるビジネスモデルではありますが、世界中の有名なデザイン会社がAccentureなどに買収されていることを考えると、これからデザイン会社が独立してビジネスを続けていくためのビジネスモデルのようです。
元記事はこちら
Exclusive: Frog and Tuesday Capital unveil new partnership >>
【関連記事】Frog Design の創設者 Hartmut Esslinger のデザイナーへの5つのアドバイス
【関連記事】『未来のデザインの3つの波と、それにどう乗ってくか』というfrog design の Mark Rolston による記事
社会・経済・テクノロジー・デザインを俯瞰していて説得力あります。
悲観的だったり教訓的だったりすることなく、現状を観察して、捉え直して、再考して、よりよい状況へ向かうための予測になっていると思います。
知りませんでしたが、2019年には日本にもFjordのスタジオができたそうです。
以下は気なった箇所を抜粋した意訳です。間違っているかもしれません。
■Many faces of growth(多面的な成長)
企業の「成長」を定義し直す傾向を予測しています。
「顧客価値」「従業員への投資」「株主価値の提供」よりも「多様性と包括性」の育成が第一義になりつつあるそうです。
それは顧客にも従業員にも株主にも適用されるテーマであり、多様なステークホルダーとのさまざまな価値の「成長」を測るための指標が必要になるそうです。
■Money changers(お金が変わる)
お金の体験が変化しています。ここには多くの新製品と新サービスの機会が生み出されます。
指紋や顔認証の支払い、レジのない小売店、Apple Card などの環境で新しいユーザーエクスペリエンスが提供されつつあるそうです。
■Walking barcodes(5Gの普及と身体による認証)
顔、指紋、網膜などがデジタルで読み取られるようになって、私たちの身体は私たちのシグネチャー(認証)になりつつあります。
ここにはプライバシーやセキュリティの問題もあります。
2020年以降の5Gの普及を背景にして、これらを利用したインターフェイスを再考する必要があるそうです。
■Liquid people(流動的な人々)
消費者や従業員の要望やニーズは流動的になるそうです。
健康、精神衛生、ウェルビーイング、気候変動などへの関心の高まりを背景にした彼らの文脈を理解して、彼らの価値観をサポートする消費体験が望まれているそうです。
さらには、「顧客」「従業員」の枠を超えて製品・サービスを再考することが提案されています。
■Designing intelligence(AIとのコラボレーション)
企業のAI導入が自動化のステージから人間とのコラボレーションへ進むそうです。
AIはシミュレーションや意思決定支援などのより複雑な活動に適用されるようになりイノベーションを加速します。
AIを戦略的な意思決定プロセスにどのように組み込むことができるか。
AIと人間はどのように分担できるのか。
AIと人間のインターフェイスはどのようにデザインされるのか・・・。
■Digital doubles(データ上の人格)
新しい「エージェント・サービス」としてのデジタル上の別人格を、ユーザー自身が管理するようになるそうです。
(これについては、意味するところがよくわかりませんでした。)
■Life-centered design(すべての生物の デザイン)
ユーザー センタード デザインは利己的になりすぎていて、デザインの重点を切り替える必要があるそうです。
すべてが何らかの形で他のすべてに影響します。デザインはその影響を考慮する必要があります。
口先だけでなく、すべての分野で「害を及ぼさない」ようにしてください。
昨年と同様に、デザインの取り扱うテーマの領域拡大と、デザインの及ぼす影響範囲の認識についてのメッセージが見てとれます。
昨年に比べると、企業寄りで現実的な予測になった気がします。Fjordというよりもアクセンチュアの色合いが濃くなった感じ。
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