ミルトン・グレイサーが亡くなった

プッシュ・ピン・スタジオからの永年の活躍は、世界中のグラフィックデザイナーの憧れだと思います。
システムに則ったルールが重視されるビジュアルデザインの現状では、60年代や70年代にミルトン・グレイサーのやっていたことをもう一度参考にしてみるのもいいかも。

91歳だったそうです。

httpsMilton Glaser, Master Designer of ‘I ♥ NY’ Logo, Is Dead at 91 >>

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2020年6月29日 デザイナー

IDEOがWhite Guilt(白人の罪悪感)を表現したインスタグラム投稿を謝罪

IDEOの有名なメソッド「デザイン思考」についても、デザインによる問題解決の大部分が白人のアプローチであると指摘されているそうです。デザイン産業の構造についても批判されているようです。

IDEOがツイッターに掲載した謝罪文は、「制度的人種差別はデザインによるものです。」という言葉で始まっています。これは重要なことだと思います。
正直なところ、自分がこの問題を正しく理解できているか自信がありませんが、いま起きている社会の変化のあとには、20世紀からのデザイン論は生き残れないのかも。

以下はツイッターに掲載された謝罪文です。

制度的人種差別はデザインによるものです。黒人は何世紀にもわたってこの現実と共に生きてきました。ジョージ・フロイドが苦しんでいるのを見て、残りの社会が目を覚ますのに8分46秒かかるべきではありませんでした。

IDEOでは、社内でも、より広い世界でも、私たちは十分に耳を傾けていませんでした。この2週間、同僚や皆さんからいただいたコメントに感謝しています。

先週インスタグラムで反レイシズムのリソースを共有したとき、それは白人の罪悪感を中心にしたもので、それは間違っていました。私たちははっきりと言うべきだった。Black Lives Matter.(黒人の命を軽んじるな)

IDEOはデザインのリーダーとして問題の一端を担ってきました。私たちには、新しいシステムをデザインする一員としての責任があります。私たちの価値観、人間関係、そしてデザインそのものについて再検討するまで、私たちに成功はありません。

私たちは、完全に謙虚に立ち、白人の特権と向き合い、人種差別のシステムを維持するために私たちが社会化されてきた方法を学び直すために、会社として私たちの先にある長い旅路を認識しています。

私たちの旅のこの時点で、私たちはより公平な組織に向けて努力することを約束します。

IDEOのインスタグラム投稿 >>

IDEOのツイッター投稿 >>

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2020年6月24日 デザイン

東京都現代美術館『ドローイングの可能性』展

p5.jsに触れるようになって、ドローイングについての理解とか見識とかに確固たるものが必要な気がして見てきました。ひさしぶりの展覧会。

彫刻に根差した戸谷成雄のドローイング理論はとても興味深く、チェーンソーによる彫刻作品は空間とドローイングのつながりを理解できる明快さがありました。
草間彌生の50年代のドローイングは(本当は全然違うと思いますが)スクリプトによる描画の方法論のようでした。

なんだか勉強になった気がします。

ドローイングの可能性 | 東京都現代美術館 >>

2020年6月22日 アート

獄中の人が描いた、社会を破壊している企業のCEOのポートレート集「CAPTURED」

ビジネスで、環境、経済、社会を破壊する犯罪を暴くためのプロジェクトだそうです。
獄中にいる人が描いた、獄中にいるべき人のポートレート。
企業が犯した犯罪と、肖像を描いた作家が犯した犯罪を、並べて見ることができます。

米国では、大きな貧富の差によって司法が正しく機能しなくなっていることが問題視されているようです。

「企業は一般人なら誰でも投獄されるような犯罪を頻繁に犯しています」
「これらの企業犯罪は環境、経済、社会を荒廃させているにもかかわらず、犯罪を犯した企業は和解金を支払うだけで済むことが多いのです。これらの支払いは企業の収益にはほとんどダメージを与えず、ビジネスを行うためのコストとして予算に組み込まれています。」
「Capturedは、ビジネスの犯罪に光を当てます。」

ジョージ・フロイド事件への抗議行動で逮捕者が出たことを受けて、ソフトカバー版の売り上げの利益をすべてブルックリン保釈基金に寄付するそうです。

Support the Brooklyn Bail Fund With CAPTURED >>

CAPTURED people in prison drawing people who should be >>

2020年6月18日

アストンマーティンが「007 ゴールドフィンガー」の装備をつけたDB5を手作りで再生産

55年前にDB5を生産していた工場で、レストア専門チームによってほとんど手作業で制作されるようです。
しかも、映画「ゴールドフィンガー」に登場するDB5のガジェットたちが装備されてます。
ツインフロントマシンガン や タイヤスラッシャー(もちろんダミー)。
ギアノブの操作ボタン。
着脱可能な助手席ルーフパネル。
切り替え式のナンバープレート。
インパネにはレーダースクリーン。
運転席のドアには電話機があるそうです。

ただのオモチャではなく、クルマとしても本物です。
スチール製のシャシーに、アルミニウムのボディパネル。
294馬力の4.0リッター自然吸気直列6気筒エンジンに、後輪駆動の5速マニュアル トランス ミッション。
オリジナルと同じシルバーのボディカラーです。

1台生産するのに4,500時間掛かるそうで、価格は3億7千万円くらいだそうです。

aston martin crafts limited edition of james bond’s DB5 goldfinger | design boom >>

ヨーロッパ(たぶん英国)のいくつかのクリエイティブ・エージェンシーへのインタビューだそうです。
コロナ禍でクリエイティブの仕事にどんな変化が起こって、いままでとこれからはどう変わっていくのかを答えてくれています。
インタビューの内容からすると、よい変化が起こっている気がします。

1. お互いに気を配る
「私が気付いたことの一つは、人々がお互いに共感し合っているということです。離れていることで、ある意味では、社交的になったとも言えます。チームがお互いを気遣っているという実感があります」
「そのおかげで、クライアントとの距離も縮まりました。みんな一緒にこの状況に置かれています。会話には以前はなかったような温かみがあり、多くの人がこれを仕事との関係を変える機会と捉えているように感じます」

2. 企業文化
「ロンドンとリーズのスタジオスペースに戻り、それらを最大限に活用することを楽しみにしています」
「毎日のスタジオにアクセスできないということは、生産的なオフィスを作るための本質が問われます」
「クリエイティブな雰囲気の中で一緒に仕事ができることは、素晴らしいことでしょう」
「戻りたいのは場所だけではありません。自分たちの企業文化に戻るのが待ちきれないです」

3. 出張が減る
「この経験には確かにネガティブな面がありました」
「しかし、私たちは在宅勤務が完全に可能であることを証明しました」
「私が期待しているのは、業界がビデオ通話で簡単にできた会議のために長距離便を利用する必要性を再考することです。これは、危機からもたらされる可能性のある、地球にとっての利益の一つです」

4. オフィスでの誕生日ケーキ
「スタジオとして、私たちはより直感的かつ柔軟に仕事をしなければなりませんでした。同じ部屋で仕事をしていないと、共同作業をするのは非常に難しいと思っていましたが、私たちはそれに適応しています。」
「とはいえ、物理的なオフィスに戻ることをとても楽しみにしています」
「ズーム通話ではまだ世間話をすることはできますが、それは確かに同じではありません。残念ながら、Zoomはチームの誕生日を手作りのケーキで祝う代わりにはなりません」

5. より良いメンタルヘルス
「間違いなく、対面での交流を切望していますが、リモートで仕事をすることで、より柔軟なエージェンシーとなり、生産性も向上しています」
「このような状況になったことで、自然とウェルビーイングが重視されるようになり、全員のメンタルヘルスに配慮するようになりましたが、これは良いことです。私たちはより健康的なランチを食べ、机から離れて昼間の散歩をするようにしています」

6. 新しいマインドセット
「エージェンシー全体のコミュニケーション、サポート、共感のレベルは、信じられないほど強力でした」
「人間関係が深まり、社員の連帯感が強まっているのを見ました」
「リモートワークによって、喧噪を離れて、熟考する時間が得られました。それは自分のためだけでなく、お互いのための時間です」
「我々はこのマインドセットを携えてスタジオに戻るようにします」

What to expect from post-pandemic work culture in the creative industries | CREATIVE BOOM >>

英語でよくわかりませんが、かっこいいです。
60年代のイギリス最先端のカッコ良さ。
小道具もおもしろいです。

裾野にできる未来都市も数十年後にはこんな感じに見えるのかな。

2020年6月8日 映像・映画

むずかしいですが、いろいろ考えさせられる記事でした。欧米のデザイン理論が世界に広まっていった過程で形成された「権威」「支配」「認識」「差別」などについての記事です。現在の私たちのデザインにおける価値観の多くは欧米のデザインの価値観の影響を受けていて、欧米のデザイン理論の教育を受けて、それを規範としたデザインをしています。

「“植民地化”とは、先住民族の抑圧体験に根ざしたものであり、具体的には、先住民族の資源を奪われること、西洋のイデオロギーが社会に埋め込まれていくことなどです。」

「“脱植民地化”という言葉は、もともとは、かつての植民地から宗主国が撤退することを意味する言葉として使われていました。今では、「脱植民地化」は様々な思想を表すようになりました。
欧米では、社会は他国の植民地化の上に成り立っており、欧米社会は特権と抑圧のシステムの中に存在しており、欧米人が自分たちのものと見なしてきた文化の多くは、実際に流用されたり盗まれたりしてきたことを欧米人自身が認めています。」

1. デザインの歴史を脱植民地化する。
「デザインの価値観や歴史は「カノン(規範)」を通して教えられています。・・・規範の権威は、西洋以外の文化やより貧しい背景を持つ人々の作品を貶め、例えばガーナのテキスタイルはデザインではなく工芸品として扱われるようになっています。」

2. デザインの価値観を脱植民地化する。
「異なる民族の人々が自分のデザインしたものにどのように共感してくれるかを考えたことはありますか?脱植民地主義の一つの側面は、解決策がどのように体験されるのかを相手の身になって考えることです。」

3. デザインワークを脱植民地化する。
「脱植民地化のプロセスを日常の実践に組み込む方法がある。例えば、マイノリティが経営する印刷会社と仕事をすることは、デザイン労働を脱植民地化する一つの方法である。」

日本で働く者なので、正直なところ、うまく理解できていない部分があります。
身近な感覚としては、“植民地化”がデザイン業界の構造として組み込まれていることに問題がある気がします。
“植民地化”のルールで搾取されたり排斥されたり差別されたりせず、そういう業界構造に加担しないようにしたいです。

What Does It Mean to Decolonize Design? >>

イラストレーターとして自分のスタイルをつくりあげるための10の方法 Tom Froese

イラストレーターの Tom Froese さんが、イラストやドローイングのスタイルを確立していく過程について説明してくれています。スタイルは生まれつきではなく、特別な能力でもなく、魔法の薬の効果でもなさそうです。
探して、見つけて、理解して、少しずつ育てるもののようです。

1.あなたの目標を定義する。
あなた自身のスタイルで達成したいこと、または他の人の仕事で何を賞賛するかを理解すること

2.あなたの仕事に自分自身を注ぐ。
時間をかけて、自分が好きなものやうまくいっていると思うものを見極める努力をしましょう。

3.あなたのヒーローを見つけてる。
彼らを研究し、模倣し、彼らからインスピレーションを受けましょう。

4.日常から描く。
被写体を注意深く研究する。

5.心から描く。
記憶の中から直感的に描いてみましょう。現実的ではなく、新しいことをやってみましょう。

6.真似をするのではなく、通訳になりましょう。
良い絵は対象の根本的な理解や創造的な解釈を示しています。

7.自分の気持ちを確認する。
特定の方法で描画するときに私が経験する非常に特定の自信と喜びがあります。そのモードで描いている時が一番いい仕事をしている時です。

8.ひらめきを捕らえる
最初のスケッチが最も新鮮で生き生きとしています。そこから多くを学び、最善を尽くすことができます。

9.制作時の迷いを最終的な画面に残さない
自信を持った簡潔なストロークでドローイングをトレースしてみましょう。これが、あなたの作品を即興的に見せるコツです。

10.あなたの作品を共有しましょう。
他の人があなたの作品にどのように反応するかは、あなたが描く方法に影響を与えます。

「個人的には、成功したスタイルにたどり着くのは、たまたまだと思っています。私たちは、他の人が惹かれるように見えることを、私たちが好きなこと、それが動作する何かを発見します。そして、時間をかけて有機的にそれに取り組み、それが成長し、独自のものへと進化していくのです。」

「要約すると、あなたのスタイルを開発するには、自己認識、規律、忍耐が必要です。残念ながら、これは新しい概念ではありません。」

「視覚的なものがあなたをどのように感じさせ、どのように反応し、自分の「徴」がどのように見え、他の人にどのように感じさせるか、これらはあなたのスタイルの材料であるだけでなく、あなたのスタイルでもあるのです。」

10 Ways to Develop Your Drawing Style >>

TOM FROESE >>