ポスター

混乱して緊迫した社会情勢のなかでデザイナーは何ができるのかを考えさせられる記事でした。
戦争が激化する中、ウクライナのデザイナーは、希望のメッセージや正確な情報を広め、支援を行うために仕事を再編成しているそうです。
2022年3月11日時点の記事。以下は抜粋です。

ウクライナ人デザイナーのアレクサンドラ・ドログンツォワさんはデザインコンサルタント会社Bandaのクリエイティブディレクターです。

「現在、Bandaの85人のチームは、バーチャルでコラボレーションを行っています。多くのスタジオメンバーもキエフからの脱出を決めたが、中には年老いた親戚のもとに残った者もいました。」

「商業的な仕事はすべてストップしています。その代わり、散り散りになったデザイナーたちは、主に3つの分野のプロジェクトに取り組んでいます。」

「1つめは、国内にとどまる人々やボランティアに力を与えるための動機付けのための資料を作成することを優先しています。2つ目は、クライアントとのコミュニケーションプロジェクトです。例えば、Bandaは最近、高級ファッションブランドに対してロシアとの取引停止を呼びかけるビデオを制作しました。最後に、スタジオは、何が起こっているのか「聞こえない、見えない」状態のロシアの一般市民を対象としたプロジェクトに取り組んでいます。・・・例えば、ロシア人女性に送られたステッカーは、表向きはお祝いカードですが、ロシア兵の彼女の息子はもう死んでいるかもしれないということを知らせているのです。・・・どれも暗い話ばかりで、中には攻撃的なものもあります。私たちは、すべてのボタンを押そうとしているのです。」

イリヤ・パブロフは2年前にハリコフからオーストリアに移り住み、仕事をしています。マリア・ノラジアンと共同設立した彼のスタジオ「グラフロム」は、まだハリコフに事務所を構えている。

パブロフさんは、以前からデザインのレンズを通して戦争を考えてきた。2014年にドンバスで戦争が勃発した際には、ポスターデザインと詩を組み合わせたプロジェクトに取り組みました。
ウクライナの現場でのコミュニケーションデザインは、今、本領を発揮しているそうです。

「明確で的確な情報が求められ、避難所での道案内システムなど実用的な用途もある。ビジュアルコミュニケーションの役割は何かという点について、非常に強い刺激を受けました。ビジュアルコミュニケーションとは、実は物事を伝えることであって、モノを売ることでも、モノを美しく見せることでもないのです。」

多くのデザイナーがそうであるように、パブロフさんも母国を応援するポスターを制作してきました。これは、90年代にグラフィックデザイナーの団体によって設立されたポスターフェスティバル「4thブロック」と関連しています。

「戦時中に軽薄な印象を与えるのではないか?でも、危機的な状況だからこそ、文化は重要なのです。何のために戦っているのかを思い出させてくれるのです。」

パブロフさんのデザインは、QRコードでファンディングサイトに誘導するのが特徴です。
「QRコードは何十年も前から存在していましたが、最近になって復活し、このような情報を素早く伝えるのに役立っているます。」

ウクライナを支援するポスターがソーシャルメディアのフィードに溢れています。多くの場合、ウクライナの国旗の青と黄色を使い、通常は平和の鳩とひまわり(同国の国花で、現在は抵抗のシンボル)をモチーフにしています。多くのポスターは抽象的または哲学的な表現をしており、それはパブロフさんが目にしている流血の恐ろしいイメージと並置されているのです。

「ポスター、色彩、タイポグラフィ、これらはすべて、実際に起こっていることに対して美しすぎる。今、どんなに恐ろしいことが起きているかを伝えるには、実際の写真を見せるのが一番だと思うことがあるんだ。」

ウクライナ人デザイナーのヤナ・ヴォコさんは、現在住んでいるフランスに住んでいます。
グラフィックデザイナーとして最初に考えたのは、ウクライナのデザイナーからポスターを集めて印刷し、街頭に出すことでした。
当初はデジタルプラットフォームを立ち上げましたが、巨大化し手に負えなくなりました。
デザインコミュニティProjectorのメンバーがこのリソースを引き継いで再開させました。

「これらのビジュアルが作成され、配布されるスピードは、ウクライナのクリエイティブ・コミュニティの強さと協調性を物語っています。デザイナーたちは皆、自分たちのネットワークがいかに金銭的、精神的、そして物流的なサポートを提供しているか、口を揃えて言っていました。それはコミュニケーションワークの制作支援であったり、離職したデザイナーへのフリーランスとしての仕事のオファーだったりします。・・・国際的なデザイナーは、ポスター以外でも支援を表明しています。ペンタグラムのマット・ウィリーは、LT2 Stencilという書体をデザインし、利益の100%をウクライナの難民支援に充てています。」

ヴォコさんは、ビジュアルはウクライナのメッセージを広める上で大きな役割を担っていると言います。

「プロパガンダや信頼性に欠ける情報がまだまだ多いです。私にとって、私たちの役割は、さまざまな観客の注意を引く媒体を見つけることです。例えば、フランスではウクライナの監督を紹介するドキュメンタリーフェスティバルの構想があります。」

“We’re trying to push all the buttons”: how Ukrainian designers are supporting a country in crisis >>

2022年3月22日 デザイナー

ロンドンで始まったこのブリックアートインスタレーションは、ミラノ、メルボルン、ニューヨーク、ソウルなどで、2022年3月の毎晩20:22に上映されます。

日本では東京新宿大ガード近くのユニカビジョンで上映されてるようです。

「想像することは、そこに到達する方法について異なる意見がある場合でも、私たち全員ができること。」だそうです。

CIRCA >>

Yoko Ono interrupts the world’s biggest screens to share a message of peace >>

この椅子は梱包を解いたときの板の状態から、自然に形を変えるようにデザインされています。この自己形成は木材の吸湿性の収縮を利用しています。
作業や道具や説明書なしに、静かに、簡単に行われ、一晩でスムーズに展開されるそうです。
一度成形されたあとは安定するようです。

『素材プログラミング』という手法を導入しているそうです。
木材が伐採されたあとの体積や剛性の変化を含水率の変化と正確に関連付けて計算してデザインしているそうです。

IKEAなどで売られている家具の多くは木材をチップを粉状に繊維化してから成形した板なので、膨大なエネルギーと労力がかかっています。
ハイグロシェイプは、木材の自然な性質を維持するだけでなく、実際にその性質に依存して家具を形成しようというプロジェクトです。

研究者は木材を手に入れます。それを板状にスライスし、木目と含水率をスキャンします。(これは大変な作業に思えるかもしれないが、実は、ほとんどの製材所がすでに行っているそうです)この木目と水分を分析し、自然乾燥したときにどのように曲がるかを解析するソフトウェアを開発したそうです。

製品としては個体差がありそうな気がしますが、それも含めておもしろいデザインです。

HygroShape: Self-Shaping Wood Furniture >>

Watch as this unbelievable wood furniture assembles itself >>

ジュリ・ネステロフ_01

ジュリ・ネステロフ_02

ジュリ・ネステロフ_03

ジュリ・ネステロフ_04

ジュリ・ネステロフ_05

東ウクライナに生まれたジュリ・ネステロフさんの写真は、同国の首都キエフの生活を描いています。

「この写真はどこで撮ったのか、どんなカメラで撮ったのか、どのレンズで撮ったのか・・・という質問をよく受けますが、私は『人々の想い、失望、希望が詰まった場所で撮った』と答えたいのです。」

Thoughts, Hopes And Disappointments in Kyiv: A Street Photographer’s Photos of Ukraine, 2001-2021 >>

2022年3月10日 写真

クリエイティブ・フォー・ウクライナ

ウクライナ戦争に反対を表明するために世界のクリエイティブ・コミュニティに写真、画像、イラスト、アートを共有することを奨励する新しいオープン・プラットフォームが開設されました。

このプラットフォームは3つのリトアニアの企業によって運営が始まったそうです。
そのひとつリトアニアのデザインエージェンシーFolkのJustina Muralytė-Kozlovėのコメントです。
「多くのことが言われていますが、私たちが持つ力、ツール、影響力を使って行動することがとても重要だと感じています。フェイクニュースと戦うために有意義な方法で貢献し、事態の深刻さを理解させる視覚的な何かを提供することができるのです。私たちは、深刻で困難な題材に注目させることができるデジタルアートやイラストに焦点を当て、ウクライナの人々に対するこの戦争の本当の姿を世界に示し、苦しんでいる国民との連帯を表明したいのです。」

Creatives for Ukraine >>

Creatives For Ukraine: A free platform invites the creative community to use art and design to fight for good >>

クレイグ・グリーンによるスタンスミス 01

クレイグ・グリーンによるスタンスミス 02

クレイグ・グリーンによるスタンスミス 03

クレイグ・グリーンによるスタンスミス 04

クレイグ・グリーンによるスタンスミス 05

イギリス人ファッションデザイナー、クレイグ・グリーンの2022秋冬コレクションでのアディダスとコラボしたスタンスミス。

ボルトで固定したり膨らませたりしてますが、お馴染みのタグや3本のドットのラインでスタンスミスになってます。

CRAIG GREEN AW22 MIGHT HAVE PERFECTED THE ADIDAS STAN SMITH >>

BMW 8 X JEFF KOONS

BMW 8 X JEFF KOONS

1台のBMW 8 グランクーペにペイントしただけではなく、99台限定で米国で350,000ドルで販売されるようです。
ポップアートっぽいペイントワークに、シートはスーパーヒーローっぽいカラーリングになってます。

jeff koons pops limited edition BMW ’dream car’ at frieze los angeles 2022 >>

2022年2月28日 アート

民主的探求としてのデザイン

デザイナーとクライアントの間の食い違いや、デザインの先生と生徒の関係についても、おもしろい示唆を含んだいる気がしました。
「民主的なデザインをする」または「民主的なプロセスでデザインする」ということではなく、「民主主義のためにデザインを使う」という考え方のようです。この本も日本語で読みたいです。

デザイナーであり教育者でもあるカール・ディサルヴォの新著『Design as Democratic Enquiry』では、民主主義社会においてデザインが果たすべき役割について書かれているそうです。

ディサルヴォが過去15年間勤務してきたジョージア工科大学周辺の地域コミュニティで行われた一連の実験からデザイナーが言うところの「植民地的」なものから脱却を促進することを目指してるそうです。

この実験のデザインプロセスは、他の多くのデザインプロジェクトとは明らかに異なっていて、
「一つの固定された最終的な製品に向かって作業するという前提がなかった。」
「それと同じように、民主主義は、具体的な終着点のない、厄介な概念なのです」
とのことです。

ディサルヴォは、問題解決は多くのデザイナーの根底にある欲求であると認めています。しかし、最終的な結論が決まっていると思い込んでいると「デザインは英雄的な行為とみなされる」のだそうです。
(とてもわかる気がします。これはデザイナーの自意識についての問題にも思えます。)

「この地域やその他多くのコミュニティにおける資金不足の問題は、何十年にもわたる体系的な人種差別に起因するものであり、アプリで解決できるものではありません。」
「しかし、すべての状況をデザインで解決できないからといって、デザインが助けにならないわけではありません。」

ディサルヴォ「普遍的な方法としてのデザイン」という考えはくだらないと言ってるそうです。
「人々は普遍的なデザイン手法という考え方を好みますが、それはどこに行っても権威を主張することができるからです」
と言っています。。

「デザインは、市場との関係、販売できる製品・サービス、成果をいかに生み出すことができるかということで、自らを定義しています。」

「デザインを民主主義と一緒に使うことは、必ずしもすべてが解決するような気持ちの良い瞬間を生み出すわけではありません。」

「失望があることを認識し、時には成功は単に耐えることであるというアプローチでデザインする方法を、人々に問い始めてもらいたいのです。」

この著書の目的は、デザインジャスティスをめぐる会話に貢献することだそうです。
「そうすれば、民主主義の中で何が本当に可能なのかを探ることができると思うのです。」

Design as Democratic Inquiry: “Design isn’t the universal tool we think it is” >>

シカゴを拠点とするアーティスト周雨歌の作品。
描かれる円形は「月」を象徴しているそうです。

中国の漢詩では「望郷」は「月」をモチーフにして描かれます。
周雨歌はコロナ禍で北京の家族に会いに行けない状況が続いているそうです。
これらの作品は「待ち時間の祈り」なのだそうです。

美しい儀式。

YUGE ZHOU >>

Ritualistic ‘Moon Drawings’ by Yuge Zhou Etch Patterns in Snow and Sand >>

2022年2月21日 アート

『資本主義後のデザイン』

3月に出版される本だそうです。おもしろそうです。ぜひとも日本語で出版してほしいです。

以下は紹介文の日本語訳です。

私たちが日常生活を認識し、理解し、実行するために用いているデザインされた物、経験、シンボルは、単なる小道具以上のものです。それらは、私たちの生き方を直接的に形成している。マシュー・ウィジンスキーは、『Design after Capitalism』の中で、モダンデザインを生み出した産業資本主義の世界が劇的に変化していることを論じている。今日のデザインは、日常的な政治、社会関係、経済の意図的な変遷に向けて方向転換する必要があります。ウィジンスキーは、デザインを政治経済学のレンズを通して見ることにより、この分野が資本主義の論理、構造、主観を超越し、日常生活を構成する物、象徴、経験を生み出す新しい方法を促進するために、デザイン起業家精神を社会的エンパワーメントと結びつけることを求めています。

資本主義とデザインの並行する歴史を分析した後、ウィジンスキーはデザイン実践の反資本主義、非資本主義、ポスト資本主義モデルの歴史的事例をいくつか挙げています。これらの例は、19世紀のイギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動から、家具やバイオテキスタイルの栽培、生産の自動化といった現代の実践に至るまで、多岐にわたっています。社会学、哲学、経済学、政治学、歴史学、環境・持続可能性学、批評理論など、通常デザインの中心とは見なされない分野からの洞察をもとに、ポスト資本主義デザインの基本原則を示し、これらの原則をプロジェクト、実践、規律の3層に適用する戦略を提供し、デザイナーが出発点として使用できる一連の実用ガイドラインを提供しています。資本主義の終焉を待つ必要はありません。ポスト資本主義デザインは今日から始められるのです。

マシュー・ウィジンスキーは、コモンズを育て、協力と交換のためのツールを作ることによって、資本主義を内側から侵食する方法をデザイナーに示しています。とりわけデザイナーは、包装や廃棄物から、クリエイティブ層の拡大し続ける労働時間まで、あらゆるものを縮小する手助けをすることができます。

Design after Capitalism Transforming Design Today for an Equitable Tomorrow

2022年2月17日