この質問に世界的なグラフィックデザイナーが答えてます。その答えのそれぞれにプロフェッショナルの個性があって興味深いです。
こういう有名デザイナーでもそういうことがあるんですねー。
「クライアントが私に視覚的に酷いデザインをするように依頼してきたとき・・・『どうして出来ないのか説明しかねますし、もしそのデザインをあなたが気に入ったとしも、私には出来ません。もし私が弁護士だとしたら、弁護士資格を失い、プロとして永遠に恥じることになるような明らかに違法な依頼のようなものです。』と伝えたことがあります。」— Paula Scher, Pentagram
ここでは、心情、プライド、倫理観といったデザイナーの内にある理由を述べています。
主観的に思えるかもしれませんが、主観が介在しない創造・制作は有り得ないので、それらはデザインにとって積極的に扱うべき重要な要素なのかも。
「好きか嫌いかでなく役に立つかどうかです。私たちの経験からしてビジュアルアイデンティティ・デザインについての最初の感情や反応は無意味です。私たちは永続的で象徴的なアイコンになる可能性のあるものを確立しようと努力します。そのために会話の主題を(丸いのが好き、青いのがいい、といったような)個人的な趣向や主観的な好悪から離れて、もっと戦略的な『そのデザインは機能するのか?』という話題に仕向けます。日常生活の中にそのデザインが入り込んできたときに私たち自身が我慢できないようなデザインは、クライアントに提示しません。」— Sagi Haviv, Chermayeff & Geismar & Haviv
こちらでは戦略的な視点に立つことでデザインの方向性を見出だそうとしています。
積極的な姿勢です。なおかつ、我慢できないデザインは提示しない姿勢にこそ、プロフェッショナルがある気がします。
「クライアントのデザインセンスの酷さを指摘することはありません。プロジェクトの中身に明快に結びつくベストのデザインをオススメするだけです。なぜそのようにデザインされているかを、事例、可読性、機能性に基づいてクライアントに教育するのは私たちデザイナーの仕事です。もしクライアントが私たちに『デザインのしかた』を強要しているなら、おそらく彼らは持つべきクライアントではないでしょう。」— Jesse Reed, Pentagram
これも Sagi Haviv と同様のようです。
クライアントを「説得する」のではなく「教育する」という自負心がポイントでしょう。
「取り組んでいる仕事に情熱を傾けているほど悪趣味なデザインセンスのクライアントにはガッカリさせられます。私は口論しないようにしています。いずれにしろ、そのブランドは彼ら自身のものであり、私のものではありませんから。そこでこんな戦術を試してみます。
1.彼らが私に依頼した理由を思い出してもらうために、費用を節約して彼ら自身で日曜大工のように取り組んでいただきます。
2.私の「専門家」としての知識をお望みなら、それは「非専門家」の知識とは一致しないことを理解していただきます。
3.他の企業が同じような失敗をした事例を見つけておきます。
4.彼ら自身の取り組みによる失敗は私の言葉よりも雄弁でしょう。彼らが私に立て直しを依頼してくるのを待ちます。
5.同意できない事をハッキリと伝えて、プロジェクトから身を引くことにします。」— D’Wayne Edwards, Pensole
これは少し意地の悪い方法のような気もします(笑)。
しっかりしたプロジェクト契約ができている状況でなければできない戦術かも。
「私たちはクライアントに対して直裁的で正直に対応します。もしクライアントから役に立たない申し入れがあったら『それは良いアイデアとは思えません』と伝えます。」— Jessica Walsh, Sagmeister and Walsh
まったくその通りです。クライアントとの信頼関係があってこその対応です。
デザイナーがクライアントの悪趣味や行儀の悪さを正せるかといえば、それは相当に難しいと思ってます。だからといって、クライアントの奴隷になって、間違った関係のなかで自己嫌悪になるような仕事はしたくないものです。
元記事はこちら
How Top Designers Tell Clients That Their Taste Sucks
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