twitterで見かけるループアニメーションの作者ルーカス・ザノットさんのインタビュー。
NFTで作品を売って1万ドルの収益があったそうで、その経験について話しています。
うらやましいだけの話ではなく、アーティスト活動と作品とマーケットについての話でもあります。
イタリア出身のザノットさんは、子供向けアプリブランド「Yatatoy」の共同設立者であり多方面で活躍するクリエイターです。
4年ほど前、ザノットさんは自分のアニメーションをツイッターなどのソーシャルメディアに投稿し始めました。自分が好きで作っていたものの、他に行き場のない短いループアニメーションの作品でした。
「その結果、多くの人に見てもらえるようになり、それがやりがいになって、多くの仕事を得ることができました。しかし、私はいつも ”これをどうにかして収益化できないだろうか ”という疑問に悩まされていました。私はたくさんの時間をループアニメーション注ぎ込んでいるので、それだけで生きていきたいと思っています。」
「ポスターを売ろうとしましたが、正直なところ、ポスターを数枚売るのはあまりにも面倒です。印刷代を払うと2〜3ドルにしかならない。長期的な収入にはなりません。」
2020年の9月頃、ザノットの友人がNFTの話をしてきました。NFTで作品を販売すれば、「クリエイター・シェア」と呼ばれるオプションで自分の名前を署名することができ、最初の販売だけでなく、作品の価値が高まったときには、その後のすべての販売額の一部を収益とすることができると知って、やってみることにしたそうです。ちょうどNFTがブームになりかけた頃だそうです。
ザノットさんが最初のループアニメーションの作品集をNifty Gatewayに出品したところ、10分で約1万ドルで売れたそうです。
売れたのは喜ばしいですが「NFTとの関連性がアーティストとしての評価を下げるのではないか」「デジタルアート売れたことで、他の媒体での作品が真剣に受け止めてもらえなくなるのではないか」と考えたそうですが、1ヶ月間考えてNFTを復活させ、その後も安定したペースで作品を発表し続けているそうです。
彼は戦略的に作品をリリースし、オークションサイトでのNFT市場の動きを研究しているそうです。
「正直に言うと、これはゲームです。アート自体はそれほど大きな役割を果たしていません。人脈と名前で勝負するのです。・・・インスピレーションを感じたコレクターを見つけて、最初の作品を安く買い、2作目を(もっと)高く買う。その大きな買い物で、突然、他のコレクターが興味を持ち、次の作品を買うのです。」
これは伝統的なアートの世界のそれと「まったく同じゲーム」だと、ザノットさんは指摘しています。
アートの価格を上げるのは大富豪や億万長者であって、それ以外の人たちではない。ダミアン・ハーストがブレイクしたのは、広告代理店「サーチ・アンド・サーチ」創業者のひとりのチャールズ・サーチが彼の最初のホルマリン漬けの彫刻作品の制作に興味を持ち、資金を提供したときでした。
ザノットさんはNFT市場の構造について深く理解しようとしているようです。
初期のNFTの多くはひどい作品が多かったと思うかもしれませんが、ザノットさんによるとそれらは市場の需要に応えていただけだそうです。
初期のNFTの多くは、インターネットの美学や掲示板で見られるミームアートをハイアートと同じように評価する人たちの作品でしたが、最近では、無数の新しいアーティストが参入して多様な美学が反映されてレベルが上がっているそうです。
経済的な恩恵があってもNFTだけに時間を費やすことはしないことにしたそうです。
今年の12月には、上海の大聖堂で個展もやるそうです。
「デジタルとフィジカルのアートを分けて考えたくありません。一緒になって一つのメディアになる。デジタルアートと伝統的なアートを区別するのは奇妙なことだと思います。」
How one artist used NFTs to do what he loved—and made a six-figure salary in the process >>
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