UXをデザインするときに起こりがちな「もどかしい現実」についての記事です。
UXデザインの真正性や信憑性に影響する事柄ですが、長い間受け入れられてきたそうです。
具体的には・・・
使われることのないリサーチ。
期待に沿わないという理由で棚上げされた調査結果。
安くて早いという理由でスタッフがユーザーのふりをして行うワークショップ。
デザインを改善するには遅すぎるタイミングでの検証。
・・・などのこと。
こういうことを「UX劇場(UXシアター)」と呼ぶそうです。
ユーザーをプロセスに参加させずに、あるいは単にショーのためだけにユーザーを参加させて、何らかのデザイン方法論を決めていくこと。
日本だと「茶番劇UX」「御手盛UX」「忖度UX」といったところでしょうか。
ユーザーもデザイナーもいないUXデザインのことのようです。
どうしてそういうことになるのか。
以下はいくつか抜粋です。厳しい指摘です。
「ユーザー中心設計を謳う多くのプロジェクトの表面を見てみると、実際にユーザー中心設計を行っているプロジェクトよりも、ユーザー中心設計のブランディングを行っているプロジェクトの方が多いように思えます。」
「誰もがユーザーの役割を演じているだけで、要件は架空のものなのです。その結果、ユーザーは使いにくくなり、時間やお金、プライバシーや安全性を犠牲にすることになるのです。」
「「UXデザインとは何か?」一般的には、ユーザーエクスペリエンスデザインとは、対象となるユーザーが製品やサービスを利用する際のインタラクションを定義するプロセスであるという点で一致しています。しかし、UXデザインの範囲をさらに定義しようとすると、プロダクトデザイン、デジタルデザイン、インタラクションデザイン、サービスデザインなど、さまざまな議論に発展します。」
「デザイン思考は、経営者が新しいサービスや製品の革新に向けて、より慎重なアプローチをとるためのコンサルティングツールとして開発されました。このモデルには5つのステップがあります。「共感する」「定義する」「アイデアを出す」「プロトタイプを作る」「テストする」。一見、堅実なアプローチのように見えますが、デザイン思考はユーザー中心設計の代用として採用されることが多く、ユーザー不在のまま社内で活動が進められ、結果的にUX劇場になってしまうのです。」
「UX劇場につながる2つ目の問題は、デザインが誰にでもできるものとして喧伝されていることです。・・・組織が「誰もがデザイナーである」という認識を持つと、ユーザーエクスペリエンスデザインは、熟練した実務家が主導するプラクティスとしては認識されず、誰もが実行できる思考プロセスとして認識されるようになります。」
「デザインを理解しないまま、デザインへの投資を最小限に抑えている組織では、デザインの成果や結果が乏しくなりがちです。最終的なデザインがユーザーのニーズを満たさず、クレーム、返品、悪い評価、さらには利益の低下を生み出します。その結果で、ユーザーエクスペリエンスデザインをさらに低く評価することになるかもしれません。」
「批判ではなく批評の視点からUX劇場にアプローチすれば組織の改善につながります。・・・テストやリサーチがどのように役立っているかを示すことができます。結果を広く共有し、デザインに関わる意思決定に意見ではなくデータを用いることを強化することができます。」
元記事はカナダ政府のユーザーエクスペリエンスデザイナーTanya Snookさんによるものです。
正直で力強い記事だと思います。ただし、UXデザインの信憑性や真正性を担保するためにすべきことが「ユーザーの参加」と「組織のリーダーの協力」だとしたら、UX劇場を終わらせるのは難しいような気もしました。
記事にあるように、会計や法律やまたは建築のように検証可能な明確なプロセスが必要な気がしました。
ユーザー調査のデータではなく、UXデザインのプロセス自体が信憑性や真正性を担保するようになるといいのかも。
元記事はこちら
UX design has a dirty secret >>
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