とてもタイムリーなオークション出品。いまのNFTをアートとして楽しむヒントのような気がします。
1958年、イヴ・クラインはパリの画廊で「The Void(空虚)」と題する作品を発表しました。その作品は誰もいない空間に空のキャビネットが置かれているというものだったそうです。
「私は画廊の中に感覚的な絵画の状態を作り出し、確立し、公衆に提示したいと考えた。言い換えれば、ドラクロワが日記の中で言及した「定義できないもの」、つまり絵画の本質であると考えたものの精神に則り、目に見えないが存在する雰囲気、絵画的風土を作り出そうとしたのである。」ということだそうです。
その後、クラインはこのコンセプトを「Zones of Immaterial Pictorial Sensibility」というプロジェクトに発展させました。
このプロジェクトは、空の空間(非物質的ゾーン)の所有権の書類を販売し、買い手が希望すれば、買い手が領収書を燃やし、クラインは受け取った金の半分をセーヌ川に投げ入れるというものだったそうです。
「クラインの領収書は、目に見えない作品の存在を証明するものであり、それは正式な販売が行われたことを証明するものです。非物質的ゾーンの買い手には二つの選択肢があります。第1の選択肢は、領収書と引き換えに合意した金額の金を支払い、クラインはその金をすべて保管し、買い手は作品の「本物の非物質価値」を実際に獲得することはない。第2の選択肢は、金を支払い、その領収書を焼却することである。この行為によって、買い手(による購買行動)は非物質的なものの中に完全に包含され、完璧で決定的な非物質化が達成されることになる……。クラインは資本主義的な取引戦略を提示し、芸術の定義不可能な、計算不可能な価値についての彼の考えを提示しています。」
ということだそうです。難しいです。
1959年の発表から1962年6月6日に死ぬまでの間に8つのゾーンが販売され、領収書が発行されたそうです。
2022年4月6日にこの領収書のひとつがサザビーズのオークションに出品されるそうです。
1959年12月7日付で、ジャック・クーゲルという骨董商に宛てられた領収書で、オークションでの推定落札価格は50万ユーロ(549,000米ドル)だそうです。
サザビーズは、この実験的な作品のオークションに相応しく、暗号通貨でも入札できるようにするそうです。
NFTについてあまりわかってないのですが、とてもNFT的な感じがします。
ダミアン・ハーストの「The Currency」の意味がなんとなく理解できた気がします。
また、どちらも「絵画」に結びついていくのが興味深いです。
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